マカダム式ロードローラーってご存じですか? 『トミカ』にあるんです!

道路を踏み固めるあの建機も『トミカ』に登場だ! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.77 日立建機 マカダムローラ ZC125M-5

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.77 日立建機 マカダムローラ ZC125M-5 (希望小売価格550円・税込)

『No.77 日立建機 マカダムローラ ZC125M-5』は、それまでの『No.77 日野プロフィア 日本通運トラック』に代わって2022年10月第3土曜日に『トミカ』に加わったばかりの新車です。

日立建機 マカダムローラ ZC125M-5 実車。右前方、下方より。

マカダムローラとは一般にマカダム式ロードローラーと言い、ロードローラーと呼ばれる、地面を押し固めるために用いられる建設機械の一種です。ロードローラーは正式には“締固め(しめがため)用機械”と言い、車体についている円筒状の回転物(ローラー)を用いて道路(ロード)をならすので、ロードローラーと称されています。この地面をならすための円筒状回転物は一般にロードローラーの自走用車輪と兼用されており、重く作られた車体の重量を、接地面の大きな車輪にかけることで地ならしを効果的に行ないます。通常、ロードローラーはアスファルト道路の舗装や土壌整備などを行なう際によく用いられ、道路や建造物の基礎の建設、ガレキやコンクリートなどを押し固める際に使われます。このロードローラーには様々な種類があり、目的や工事条件に応じて使い分けられていますが、その代表的なものの一つがマカダム式ロードローラーになります。

日立建機 マカダムローラ ZC125M-5 実車。左前方、上方より。

マカダム式ロードローラーは、大きく重い車輪(一般に鉄輪)を前方1輪/後方2輪の三輪車型、あるいは前方2輪/後方1輪の逆三輪車型に配置したロードローラーです。マカダムとは19世紀の初頭、砕いた石を敷き詰めて道路の耐久性を高める道路舗装法を考案したスコットランド人技術者のジョン・ラウドン・マカダムにちなんだ名前です。この砕石を用いた道路舗装法のことを考案者の名前にちなんで“マカダム式舗装法”と言い、その舗装法に用いられたロードローラーである事からマカダム式ロードローラーと呼ばれます。ちなみにモータースポーツのラリー競技などで舗装道路のことを“ターマック”などと呼びますが、これは“タール・マカダム式舗装”のことで、砕石を踏み固めた後に砕石と砕石との間にタールをしみ込ませて固める舗装法のことを指します。現在ではアスファルト舗装が一般的ですが、モータースポーツの世界では舗装路のことを慣例的に“ターマック”と呼んでいます。

作業中のZC125M-5 。マカダム式ロードローラーは自重が重いため、走行することで地面に圧力をかけて地面を押し固める。

さて、マカダム式ロードローラーは自重6~16tと重量があるため、走行することで地面に圧力をかけて地面を押し固めます。平坦な仕上げが可能とされており、一般にはアスファルト舗装や路盤の締め固めを行なうなど、道路工事初期の転圧(土砂やアスファルトなどに、力を加えて空気を押し出し、粒子同士の接触を密にして密度を高めること)に向いている重機です。砕石の締固めやアスファルト混合物の初期転圧などに適しており、建設現場で最も使用されているロードローラーであるともいえます。

日立建機の『マカダムローラ ZC125M-5』は同社の代表的なマカダム式ロードローラーで、三輪車型ではなく前輪2つ、後輪1つの逆三輪車型の車体が特徴です。HST(静油圧式変速機)駆動によるスムーズな発進/停止性能やオペレーター(操縦者)の要求に応える巧みな操作性、一歩踏み込んだ安全設計など、高い環境性能と優れた締固め性能を誇るZC125Mシリーズの新世代機です。

ZC125M-5に搭載されているクボタ製のV3307-CR-TE4B型ディーゼル・エンジン。

エンジンは燃料最適化技術『コモンレール式噴射システム』、排出ガス後処理技術『クールドEGR』を新採用してNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の排出量を大幅に低減、特定特殊自動車排出ガス2014 年基準に適合したクボタ製のV3307-CR-TE4B型ディーゼルで、『マフラフィルタ』に代表される排出ガス浄化装置が装備されて高い環境性能を誇ります。騒音に関しても超低騒音型指定を受けている静かなエンジンなのも特徴です。

ZC125M-5には先進的な安全装備が用意されている。上は『後方ガードセンサ』とその検知エリアを示す。下はオプション設定された『衝突被害軽減アシスト装置』。いずれも安全に作業を遂行するためには欠かせない。

また、直進転圧作業や車庫入れなどに効果を発揮する、車体がまっすぐになるとランプが点灯して知らせる『直進インジケーター』や視認性を高めた新型モニターが装備されるなど、作業効率を高める各種装置が備えられているだけでなく、超音波式に比べて信頼性の高い赤外線を利用し、検知エリア内に人や障害物が入ると回転灯が作動、さらに内側に入るとブザー音で作業員に危険を知らせる『後方ガードセンサ』や2021年4月からオプション設定された、作業中に障害物を検知した際に、車体速度と物体までの距離に応じて段階的に衝突被害の軽減を支援する『衝突被害軽減アシスト装置』など、高いレベルの安全性を実現しています。

ZC125M-5のコクピット。視認性が高められた新型モニターが設置されているほか、『1×1(ワンバイワン)視界基準』をクリアした良好な視界性を誇る。

『トミカ』の『No.77 日立建機 マカダムローラ ZC125M-5』は、この最新のマカダム式ロードローラーのユニークなスタイリングを上手く再現しています。ユニークなコレクションとなること間違いなしの1台ですね。

■日立建機 マカダムローラ ZC125M-5主要諸元

全長×全幅×全高(mm):5020×2100×3140(キャノピ折り畳み時:2600)

ホイールベース(mm):3400

トレッド(前/後・mm) :1100/1550

運転質量(kg):10125

運転質量線圧(前/後・Nm(kgm):462(47.1)/441(45.0)

エンジン形式:クボタ V3307-CR-TE4B 水冷直列4気筒直噴ディーゼル

総排気量(総行程容積):3331cc

定格出力:54.6kW(74.2PS)/2200rpm

走行速度(低速/高速)(km/h):7.0/15.0

変速機・差動機:静油圧変速式2段

最小回転半径:6.2m

最大登坂能力:47%(25度)

燃料タンク容量(軽油):120ℓ

散水タンク容量:670ℓ

主ブレーキ:静油圧式ブレーキ/湿式多板型

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