エルグランドフェイスでついにデビュー! 新型セレナはどこが変わった? エクステリア、インテリア、サイズ、仕様を徹底比較!【新型セレナ新旧比較】

2022年11月28日、ミドルクラスミニバンのベストセラー・日産セレナの新型が発表された。5代目である現行モデルが2016年に登場以来、6年ぶりに6代目へとフルモデルチェンジとなる。一見するとキープコンセプトにも見えるが、これまでのモデルとはどこが変わったのだろうか? トップグレードとハイウェイスターの新旧モデルを比べて詳細に見ていこう!
PHOTO:新型セレナ・井上 誠(INOUE Makoto)/旧型セレナ・平野 陽(HIRANO Akira)&神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

日産セレナと言えばミドルクラスミニバンの人気モデルで、トヨタ・ノア/ヴォクシーやホンダ・ステップワゴン、少しキャラクターが異なるが三菱デリカD:5と共に子育て世代のファミリー層から支持が厚い。従来のモデルは2016年にデビューで、2018年にe-POWER搭載モデルを追加しているが、すでにモデル末期。にも関わらず堅調な販売台数を維持しているのはe-POWERの走りと経済性、そしてプロパイロットによる安全性とイージードライブと言えるだろう。

新型セレナ「LUXION」

そんなセレナが2022円11月28日に新型へのフルモデルチェンジが発表された。
従来からのハイウェイスターとXV、Xといったグレードに加え、最上位モデルとして新たに「LUXION(ルキシオン)」が追加された。e-POWER専用グレードで、ミニバン初のプロパイロット2.0を標準装備とした特別なグレードだ。

フォルムやサイドビューなどに大きな変化は見られずキープコンセプトのように思われるが、新旧セレナにはどのような違いがあるのだろうか? 従来のハイウェイスターと新型のハイウェイスター、従来のXVとLUXIONを軸に詳細に比較していこう。

エクステリア:セレナ・ハイウェイスター

初代セレナから続く伝統あるグレードで、専用のエクステリアとインテリアが与えられスポーティな雰囲気を演出している。従来モデルでは特別仕様やオーテックを除いたトップグレードとして設定されていた。もちろん、今回のフルモデルチェンジでもハイウェイスターは健在だ。

セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV
新型セレナe-POWERハイウェイスターV
新型セレナe-POWERハイウェイスターV

新型では日産のVモーショングリルを従来モデル同様に大きくあしらいつつもメッキ加飾を抑えて落ち着いた雰囲気になったように感じられる。メッキだけでなく全体的にキャラクターラインもシンプルになり従来モデルよりクリーンなイメージとなった。

セレナe-POWERハイウェイスターV(左:新型/右:従来型)

■フロントビュー
Vモーショングリルは従来よりメッキ加飾を減らし中央の広い面積をブラックアウトしたことにより精悍な顔つきとなった。設置位置を従来型より低くし、小型化された縦型三段式のヘッドランプ、その下に続く控えめなメッキ加飾がスポーティな印象だ。
ヘッドランプからフロントグリルのラインが連続しておりボンネット前端のラインも緩やかな弧を描いている。バンパーサイドのインテークは形状こそ継承しているものの、その周辺の凹凸は従来よりシンプルで、フォグランプが小型化されて開口部端に設置されたことと合わせてかなりスッキリしている。
そして、このどこかで見たようなマスクは……日産ミニバンのトップモデルであるエルグランドに通じるデザインだ。

セレナe-POWERハイウェイスターV(上:新型/下:従来型)

■サイドビュー
全体的なフォルムは大きく変わっていないが、印象はかなり変わっている。
フロントマスクのデザインが変わったことによりフロントエンドは従来よりも垂直に近くなった。あわせてヘッドランプのラインが下がり、ヘッドランプからサイドのガーニッシュ、ウインドウのウェストラインまで連続したラインを描き、そこから続くリヤクォーターウインドウの屈曲も従来の二段から一段に変わった。
何よりサイドでもキャラクターラインが整理され、リヤコンビネーションランプがサイドに回り込まなくなったことと合わせて全体的に平滑なシンプルデザインとなっている。
フロアから跳ね上がりボディ下端が絞られるキャラクターラインは、前席乗降時に足捌きが良くなるような位置にしているそうだ。また、e-POWERが当たり前になったからなのかサイドにはe-POWERのバッジを付けていない。
リヤエンドは若干ではあるが下方向に広がるようなシルエットになっている。

セレナe-POWERハイウェイスターV(左:新型/右:従来型)

■リヤビュー
コンビネーションランプが小型化され、メッキのガーニッシュとドアハンドルが一体化してメッキ加飾の面積が減っている。ナンバープレートから左右に続くキャラクターラインはボディ両端まで緩やかな角度で広がり、プレスラインは薄い。
リヤゲート下端も絞り込みもほとんど無くなり、積載性も向上してそうだ。
バンパーはわずかに括れてから下方向に広がるエアロテイストなデザインながら、こちらも従来よりシンプルなラインになっている。
フロント、サイドと同じく、スッキリとした印象がリヤでも貫かれているようだ。

エクステリア:セレナ・ルクシオン/XV

従来型ではスポーティなハイウェイスターとベーシックモデルのX系があり、上位グレードはそれぞれに「V」を追加したハイウェイスターVとXVが用意された。これまでXVがベーシックモデルのトップグレードであったが、今回のモデルチェンジでハイウェイスターとXVのさらに上位グレードとして新たに「LUXIO(ルキシオン)」が設定された。

セレナe-POWER XV
セレナe-POWER XV
新型セレナLUXION
新型セレナLUXION

従来はハイウェイスターとベーシックモデルでフロントグリルやバンパーのデザインが大きく異なっていたが、新型ではLUXIONとハイウェイスターのエクステリアの差異は大きくないようだ。

左:新型セレナLUXION/右:セレナe-POWER XV

■フロントビュー
従来型ではe-POWERモデルはフロントグリルにブルーのラインを入れてe-POWERであることを主張してきたが、実質e-POWERの方がメインになってきているからか新型ではこのようなブルーの加飾は施されていない。
また、Vモーショングリルのメッキは従来の大判なものから細かいものに変わった。新型ハイウェイスターと異なりLUXIONはグリル最上段もメッキ加飾として上質感を演出しているのが両車のさりげない違いだ。

上:新型セレナLUXION/下:セレナe-POWER XV

■サイドビュー
LUXIONのサイドビューはハイウェイスターとほとんど変わらない。ただし、ヘッドランプから続くサイドのガーニッシュがハイウェイスターではブラックであったが、LUXIONではグレーになっているのが違いだ。
フロントクォーターウインドウの下側のラインはウェストラインに合わせて前方に下がっているのが従来との違いだが、ウインドウの面積自体は変わっていないようにも見える。
また、従来はフロンドドアの下端にドア開閉時にフロントフェンダーと干渉しないようにエアロパーツに切り欠きがあるが、新型ではそれも無くなりスッキリしたサイドビューになっている。
ホイールは16インチでハイウェイスターとLUXIONで同じデザインのものを装着していた。タイヤサイズはどちらも195/65R16で、撮影車両はハイウェイスターがダンロップ・エナセーブ、LUXIONがブリヂストン・トランザだった。

左:新型セレナLUXION/右:セレナe-POWER XV

■リヤビュー
従来のXVとハイウェイスターではリヤ子ンビネーションランプやバンパーのデザインが異なっていたが、新型のハイウェイスターとLUXIONではリヤまわりのデザインに違いはないようだ。
従来のメッキ加飾されたガーニッシュとリヤドアハンドルが新型では一体化されたことから、デュアルバックドアの開口面積が広くなっている。

実用性はそのままに先進性を高めたインテリア

新型セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV
新型セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV

■インストゥルメントパネル&メーター
インストゥルメントパネルは完全に新しくなった。センターコンソール最上段のナビなどを表示するディスプレイは横長となり、前後にオフセットしつつ運転席側のメーターにつながっている。
そのメーターもディスプレイ化され、ハンドルの内側から覗く形になった。これにより従来のメーターフードが無くなったことで、より優れた前方視界を実現したという。
確かに、ダッシュボード全体が低くなったことから、クォーターウインドウの視界も若干広くなっているように感じられる。

横長の液晶ディスプレイ。直下にディスプレイの電源とカメラの切り替えスイッチが配置されている。
エアコンとドライブ系はタッチパネルとスイッチ、ダイヤルによるスッキリとしたデザインに。
無線充電機能付きの小物入れとUSBソケット。USBの隣は無線充電機能のスイッチだ。

エアコンはオン/オフスイッチ、左右シンクロスイッチ、エアコンスイッチ、温度調節ダイヤル以外はタッチパネル化され、ボタンの少ないスッキリとしたインターフェースになっている。
さらにその下にはドライブセレクターのスイッチが並ぶ。シフトレバーを排した大胆なレイアウトだ。
コンソール下部の小物入れはスマートフォン用の無線充電も備えられており、その下にはタイプCとタイプAのUSBソケットも用意されている。

新型セレナe-POWERハイウェイスターV
新型セレナe-POWERハイウェイスターV
新型セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWERハイウェイスターV
セレナe-POWER XV
セレナe-POWER XV
セレナe-POWER XV

■シート
シート表皮のデザインが新しくなった以外、一見すると特に大きな変化は感じられないシートまわりだが、1列目と2列目のシートは新たなゼログラビティシートとなり、頭部の揺れを20%低減。同時に腰をしっかり支え負荷を減らすことで疲労も低減している。
また、シートアレンジや操作方法も従来から変更はなさそうだ。ハイウェイスターは前後スライドによりシートの1列目にも2列目にも移動でき、コンソールボックス付きアームレストにもなるスマートマルチセンターシートを従来より受け継いだ8名乗車。一方でLUXIONは2列目シートをアームレスト付きのキャプテンシートとした7名乗車となる。
大きなスライド量とスマートマルチセンターシート(LUXION以外)による多彩なシートアレンジ、豊富に用意されたUSBなどの電源とテーブルやドリンクホルダーなど、全席で快適に過ごせるセレナの美点は確実に受け継がれている。

スマートマルチセンターシートを倒して1列目に移動すれば、センターコンソールボックスになると同時に、2列目と3列目のウォークスルーが可能になる。(新型セレナe-POWERハイウェイスターV)
スマートマルチセンターシートは2列目で倒せば2列目シートのアームレストにもなる。また、1列目足元のトレイに気を付ける必要はあるが、1列目と2列目のウォークスルーも可能。(新型セレナe-POWERハイウェイスターV)
LUXIONはシート表皮も高級感溢れる素材になっている。(新型セレナLUXION )
LUXIONの1列目は固定式のセンターコンソールボックスを備え、その後端にはAC電源のコンセントが用意される。(新型セレナLUXION )

従来同様に使えるラゲッジルーム

通常時(新型セレナe-POWERハイウェイスターV)
3列目格納時(新型セレナe-POWERハイウェイスターV)
3列目格納+2列目最前(新型セレナe-POWERハイウェイスターV)
通常時(セレナe-POWERハイウェイスターV)
3列目格納時(セレナe-POWERハイウェイスターV)
3列目格納+2列目最前(セレナe-POWERハイウェイスターV)

ラゲッジルームも従来から大きな変更はないようだ。3列目シートの格納は左右跳ね上げタイプ(ベルト固定)。2列目は格納せず前方にスライドして荷室長を確保できるのは変わらない。
また、ラゲッジルームのフロア下には大きなボックスがあるのも従来から変わらず、開けた状態で保持できるフックも用意されている。また、新型のトピックとしては、デュアルバックドアが下方向に拡大されたため、デュアルバックドアを開けた状態からこのフロア下のスペースにアクセスできるようになった点が挙げられる。

跳ね上げ格納の3列目シート。ラゲッジルーム右側面には3列目中央席のヘッドレスト格納スペースとAC電源が備わる。
ラゲッジルームフロア下には大きめの収納スペースが用意されている。フックを使って蓋を開けた状態で保持できる。
ガラスハッチを開けた際のラゲッジルームフロア下収納へのアクセスが容易になった。
リヤゲートの上半分だけが開くセレナならではのデュアルバックドア。開口面積が従来より大きくなり、ラゲッジルームへのアクセス性が向上している。

e-POWERは第2世代へ進化

新型セレナLUXION
セレナe-POWERハイウェイスターV

新型ではe-POWERのエンジンを日産初の発電専用エンジン(1.4L/HR 14DDe)とし、駆動用の高出力モーターと組み合わせる。エンジンの出力は従来から16%アップの72kW、モーターは20%アップの120kW/315Nmとなっている。
この新型エンジンは作動音を抑制し、最先端のエネルギーマネジメントシステムによりエンジン作動頻度も低減、遮音構造車体と合わせて1クラス上の静粛性を実現。
このエネルギーマネジメントシステムは、ナビとも連動して効率の良い充放電制御を行なうと共に、モーターらしい優れたレスポンスと滑らかな加減速を可能とした。

エンジンルームを見比べてみると、鉛バッテリーの搭載位置が若干ながら後方に移動しているほか、吸気経路もシンプルになっている。配管やケーブル類もかなり整理されたように見え、エンジンルームはかなりスッキリした。

新型セレナ ハイウェイスターV

通常のガソリンエンジン車も用意されており、こちらは2.0LのMR20DD直列4気筒DOHCエンジンを搭載しており、スペックは従来から数値的な変更はない。
樹脂製インテークやエンジンルームを広く覆うカバーがいかにも当世風だが、吸気口からエアクリーナーボックス、バッテリカバーに至るパーツが一体成形されているのが面白い。このため、ガソリンエンジン車のエンジンルームもかなりスッキリして見える。

諸元と価格は

■e-POWER
最大の違いは、これまでe-POWERバッテリーの搭載位置の関係からe-POWER搭載車は7名乗車しかなかったのだが、搭載位置を工夫することで8名乗車も可能となった。
またごくわずかではあるが全長と全幅は減少。逆に全高とホイールベースは上がっている。
価格はハイウェイスターV同士で約10万円高。8名乗車可と16インチホイール標準装備と考えればむしろ安くなっていると考えることもできる。

モデルe-POWERハイウェイスターVe-POWERハイウェイスターV(新型)LUXION
乗車定員7名8名7名
駆動方式FFFFFF
全長4770mm4765mm4765mm
全幅1740mm1715mm1715mm
全高1865mm1870mm1885mm
ホイールベース2860mm2870mm2870mm
ホイールサイズ
タイヤサイズ
15インチ
195/65R15
16インチ
195/60R16(オプション)
16インチ
205/65R16
16インチ
205/65R16
最小回転半径5.5m
16インチ装着車は5.7m
5.7m5.7m
エンジン形式HR12DEHR14DDeHR14DDe
最高出力62kW/6000rpm72kW/5600rpm72kW/5600rpm
最大トルク103Nm/3200-5200rpm123Nm/5600rpm123Nm/5600rpm
モーターEM57EM57EM57
最高出力100kw120kW120kW
最大トルク320Nm315Nm315Nm
価格(税込)3,582,700円3,686,100円4,798,200円

■ガソリンエンジン車
e-POWERではないモデルは従来はシンプルマイルドハイブリッド仕様であったが、今回公開されたe-POWERではないハイウェイスターVのスペックにはモーターに関する記載がなかった。
公開されているスペックでも従来から変更がないため、販売の主力はやはりe-POWERになるのは間違いないだろう。また、従来モデルで設定されていた4WD車が用意されるかも現時点ではわからない。
また、これはe-POWERにも言えることだが、従来まであった「X」や「XV」といったハイウェイスターやLUXIONではない標準モデルや、15インチホイール装着車などの比較的廉価なグレードがあるのかも不明だ。
今後新たに公開される情報に期待したい。

モデルXVハイウェイスターVハイウェイスターV(新型)
乗車定員8名8名8名
駆動方式FF/4WDFF/4WDFF
全長4685mm4770mm4765mm
全幅1695mm1740mm1715mm
全高1865mm/1875mm1865mm/1875mm1870mm
ホイールベース2860mm2860mm2870mm
ホイールサイズ
タイヤサイズ
15インチ
195/65R15
16インチ
195/60R16(FF用オプション)
15インチ
195/65R15
16インチ
195/60R16(FF用オプション)
16インチ
205/65R16
最小回転半径5.5m
16インチ装着車は5.7m
5.5m
16インチ装着車は5.7m
5.7m
エンジン形式MR20DDMR20DDMR20DD
最高出力110kW/6000rpm110kW/6000rpm110kW/6000rpm
最大トルク200Nm/4400rpm200Nm/4400rpm200Nm/4400rpm
モーターSM24SM24
最高出力1.9kW1.9kW
最大トルク48Nm48Nm
価格(税込)-※-※3,269,200円
現在、日産オフィシャルサイトのWebカタログでは福祉車両を除きe-POWERモデル以外は取り扱いがなし。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部