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バイクの法律交差点での優先はどう判断すべきか?
住宅街や交通量の少ない道路などには信号のない交差点も多く、日常生活ではそうした場所を通過するケースは珍しくない。とくに、慣れていない道を走っていて、こうした交差点に出くわすと、どちらが優先かわからなくなることはありがちだ。
では、どう判断すべきか。まず、信号がない交差点では、基本的に、優先道路の標識があるかどうかを確認してみる。青地に白の太い矢印が縦方向に伸び、細い線が交差しているマークが入った標識がそれだ。

もし、この標識が自分の走る道路に設置されていれば、交差点では自分のバイクやクルマに優先権があることが分かる。ただし、そうした場合も、周囲を確認して安全に運転することが大切。詳しくは後述するが、とくに見通しが悪い交差点では、徐行または一時停止をするぐらいの用心をした方がいい。
逆に、自分の走る道路に優先権がない場合。例えば、道路に逆三角のマークを描いた道路標識がある場合がそうだ。これは「前方に優先道路あり」といった意味の標識で、交差している道路の方に優先権があるということとなる。そのため、交差点では徐行や一時停止をし、優先道路を通行しているクルマの妨害をしないようにする必要がある。また、この標識がない場合でも、「止まれ」や「徐行」の標識がある場合も同様。前方に優先道路があることを示しているので、十分な注意が必要だ。

信号も優先の標識などもない道路の走り方
では、信号だけでなく、優先の標識もないような交差点の場合はどうだろう。こうしたケースでは、基本的に以下のいずれかを判断基準にする。
1,センターライン(中央線)の有無
2,道幅で判断する
1は、どちらかの道にセンターラインが続いている場合。基本的には、その場合、センターラインがある道が優先道路となる。
2は、道幅で判断する方法。交差している道の幅が見てわかるほど異なる場合、広い方の道が優先となる。

では、信号や優先道路の標識、センターラインもなく、交差する道路の道幅も同じくらいの交差点ではどうだろう。
基本的に、そうした道路には「停止線」や「止まれ」の表示、「一時停止」などの標識がある場合も多い。前述の通り、それら標識が自分の走る道路にあれば非優先なので、相手側を優先と考えて標識の指示に従った運転(一時停止など)をする。


だが、もしそれらもない場合は、道路交通法36条第1項の規定により「左方優先」となる。つまり、左側の道路を走る方に優先権があるということだ。これは、交差点はもちろん、丁字路なども同様。その場合、左側から直進してくる車両が優先となり、右左折する車両は一時停止する必要がある。
優先道路を走るクルマを妨害すると違反になる
以上が、信号がなく、走行の優先権が分かりにくい交差点を走る場合の基本的な判断基準だ。そして、もし優先道路を走るクルマを妨害してしまうと、「優先道路通行車妨害等」に該当し、捕まると
・反則点数:2点
・反則金:普通車7000円/二輪車6000円/原付5000円
が課せられる。
また、こうした交差点で事故を起こした場合、先に挙げた判断基準となる原則の有無にもよるが、基本的に右側を走っていた車両の方が、優先権がないなどの理由で過失割合も大きくなることが多いといわれている。
そう考えると、もし、優先順位の判断に不安を感じたら、交差点では徐行することが一番。そうすることで、事故を未然に防いだり、もし事故になっても被害を最小限に抑えることが可能だからだ。
また、信号や標識がない交差点で、自分が(交差する道路の相手側から見て)左側の道路を走っている場合、つまり優先権があるときでも、見通しが悪い交差点の通過には十分に注意が必要だ。
先に述べたように、徐行または一時停止をして、安全確認をしてから交差点に進入するべきだ。見通しが悪い場所では、右側から来る車両が自分のバイクの存在に気づかず交差点に入ることもある。そうなると、出会い頭の事故に遭う危険性も大で、命に関わるような大ケガにつながるケースもあるからだ。
ちなみに、道路交通法42条第1項には、「左右の見通しがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見通しがきかない部分を通行しようとするとき」は、徐行すべき義務があると定めている。見通しの悪い交差点での徐行は、法律にも定められているのだ。

ともあれ、信号や標識などの有無に関わらず、事故が起きやすいのが交差点だ。慣れない道はもちろん、走り慣れている場所であっても、危険は必ず存在するため、十分に注意して通過するように心掛けたい。
