排気量125cc以下のバイクは走行NG

法律上、高速道路を走行できるバイクは、125cc超~250cc以下の「軽二輪(二輪の軽自動車)」と250cc超の「小型二輪(二輪の小型自動車)」という決まりがある。つまり、125cc超のバイクでないと走行不可。原付一種や原付二種といった原動機付自転車は走行できない。

また、運転免許は、400ccまでのバイクであれば普通二輪免許、400cc超のバイクであれば大型二輪免許が必要。ただし、スクーターやAT機構を持つなどで、クラッチレバーやシフトペダルの操作が不要なバイクであれば、AT限定普通二輪免許(400cc以下のバイク)、AT限定大型二輪免許でも運転できる。

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スクーターなどはAT限定免許で運転可能

なお、もし125cc以下のバイクで高速道路に進入・走行した場合は通行禁止違反となり、罰則は以下の通りだ。

【通行禁止違反の罰則】
・反則金:原付二種6000円、原付一種5000円
・違反点数:2点

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原付バイクで高速道路を走るのも違反

2人乗りできる条件もある

バイクで2人乗りをするためには、そもそも最初に取った普通二輪免許(小型限定普通二輪免許を含む)や大型二輪免許を交付された日から1年以上が経過している必要がある。

また、高速道路で2人乗りをする場合は、それらに加え以下の条件をクリアしなければならない。

【高速道路で二人乗りするための条件】
・「年齢20歳以上」
・「大型自動二輪車免許又は普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算3年以上」

つまり、20歳未満や普通自動二輪車免許または大型自動二輪免許を取って3年未満のライダーは、高速道路で2人乗りはできない決まりなのだ。

ただし、例えば、普通二輪免許を取得後に、大型二輪免許を取った場合。普通二輪免許を取って3年以上が経過していれば、大型二輪免許を取って3年以内でも、高速道路などで大型バイクに乗って2人乗りをすることは可能だ。

ちなみに、東京都心を通る首都高速道路、いわゆる首都高の一部には、2人乗り禁止区間がある。この区間は、上の条件をクリアしていたとしても、バイクで2人乗りはできないので注意しよう。

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首都高の一部には、2人乗り禁止区間がある

なお、高速道路の2人乗りに関し、免許取得後3年未満の場合、ライダーが20歳未満の場合、2人乗り禁止区間で行った場合などには、「大型自動二輪車等乗車法違反」となる。

【大型自動二輪車等乗車法違反の罰則】
・反則金:1万2000円
・違反点数:2点

50km/h未満で走るのも違反!

高速道路では、スピード違反の取り締まりも多い。そして、スピード違反といえば、いわゆる速度超過、法定速度の100km/h(80km/hや120km/hなどの場所もある)を超えるケースが一般的だ。だが、それだけでなく、法定の最低速度よりゆっくりと走ることも違反となる。

高速道路の最低速度は、原則として50km/h。だが、たとえば40km/hで走ると「最低速度違反」となるので注意したい。

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高速道路では、法定の最高速度はもちろん、最低速度も守る必要がある

なお、速度超過と最低速度違反それぞれの罰則は以下の通りだ。

【速度超過の罰則(二輪車の場合)】
・超過速度15km未満→反則金:7000円、反則点数:1点
・超過速度15km以上20km未満→反則金:9000円、反則点数:1点
・超過速度20km以上25未満→反則金:1万2000円、反則点数:2点
・超過速度25km以上30km未満→反則金:1万5000円、反則点数:3点
・超過速度30km以上35km未満→反則金:2万円、反則点数:3点
・超過速度35km以上40km未満→反則金:3万円、反則点数:3点

ちなみに、高速道路で40km/hオーバーで取締りを受けると、赤色キップ(告知書の色が赤い)で一発免停(免許停止処分)だ。その場合、反則点数が40km以上50km未満で6点、50km以上なら12点。前歴がなくても6点で免停30日、12点では90日の免停となる。

また、反則金はないが、これは刑事上の責任が問われるためだ。そのため、処罰はより重く、裁判を受けて、その結果によって罰金刑(場合によっては懲役刑)を課せられる。この場合は「6ヵ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金」だ。

【最低速度違反の罰則(二輪車の場合)】
・反則金:6000円
・違反点数:1点

路側帯の走行はNG

高速道路で渋滞に遭遇すると、ついつい路側帯を走りたくなる人もいるだろうが、これも違反だ。高速道路では、一番左側の白線外側は緊急事態に対応するためのエリアということで、クルマはもちろん、バイクも走行禁止。走行すると通行区分違反となる。

【通行区分違反の罰則】
・反則金:二輪車7000円
・反則点数:2点

ちなみに、一般道でも、歩道のない道路で一番左にある白線の外側にある「路側帯」は通行禁止。二輪車の罰則は上記と同様、原付車は反則金6000円、反則点数2点だ。

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高速道路の路側帯は走行禁止

すり抜け運転は違反か?

高速道路の「すり抜け」も、渋滞している場合についついやってしまいがち。たとえば、同一車線内で止まっている(またはのろのろと低速で動く)クルマの列を、バイクが左側から抜いていくケースなどがある。

この場合も、もし路側帯を走っている場合は通行区分違反。ただし、路側帯に入らずにすり抜け走行しているケースでは、車線変更をしていなければ、左からの追い抜きに該当。制限速度などを守っていれば法的には違反とならないというのが一般的な解釈だ。

ただし、すり抜けすること自体が危険なケースもあり、もし事故を起こしてしまった場合は安全運転義務違反になってしまうこともありえる。その場合、罰則は以下の通りだ。

【安全運転義務違反の罰則】
・反則金:二輪車7000円
・違反点数:2点

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すり抜け走行でもし事故を起こしてしまったら、安全運転義務違反になることもありえる

追い越し車線は長距離走行できない

高速道路の一番右側の車線は、前を走る車両を追い越すための車線、いわゆる「追い越し車線」だ。そのため、前車の追い越しが終わったら、すみやかに左側の走行車線に戻ることがルールだ。

そのため、ずっと追い越し車線に入ったまま、長距離を走ることは違反となる。ただ、具体的に何km以上走行すると違反になるという規定はないため、これに関しては取り締まる警察官の判断次第のようだが、一般的には2kmを目安にすることも多いといわれている。

なお、こうしたケースで捕まった場合は、車両通行帯違反となり罰則は以下の通りだ。

【車両通行帯違反の罰則】
・反則金:二輪車6000円
・違反点数:1点

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右側の追い越し車線を長い間走行し続けるのは違反

三角停止版の非表示も違反行為

4輪車では積載するのが当たり前の「三角停止板」。高速道路などを走行中に、事故や故障、ガス欠などのトラブルにより、路側帯にやむを得ず停車しなければならないときに、後方からの追突を防ぐために設置する表示板だ。

では、積載スペースの少ない2輪車の場合はどうかというと、実は、高速道路上で緊急停止時などをする際は、車体後方に三角停止板を表示することが法的義務となっている。もし、設置していないと「故障車両表示義務違反」となり、罰則は以下の通りだ。

【故障車両表示義務違反の罰則】
・反則金:二輪車6000円
・違反点数:1点

なお、表示義務は高速道路や自動車専用道路のみなので、一般道では不要だ。また、三角停止板を常に携帯する必要もない。あくまで、緊急停車時に必要なものなので、ツーリングなどで高速道路を走る予定があるときに携帯すればいいことになる。

といっても、4輪車用の三角停止板は大きくて、バイクだと積載しづらいのも確か。そのため、最近はバイク専用のコンパクトなタイプも一部のメーカーで販売されているので、できればそういったものを使った方がいいだろう。

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筆者はエマーソンの「バイク専用三角停止表示板 EM-359」を利用。コンパクトに折りたためるから持ち運びも便利。アマゾンで購入。価格(税込み)は1777円だった

このように、意外とNG行為も多いのが高速道路。長距離移動に便利ではあるが、一般道よりも速度域が高いぶん、危険も多いため、きちんとルールを理解し、安全・安心に利用することを心がけたい。