「スタイルワゴン」×「よろしくメカドック」のコラボ表紙！ 【次原隆二先生特別インタビュー 後編】

スタイルワゴン特別コラボ企画！ チューニングだけじゃなくドレスアップも！ 【よろしくメカドック】の名場面をプレイバック

1982年に連載をスタートした「よろしくメカドック」。クルマのチューニング＆カスタムとしては、いわゆる「走り」の作品となり、いまもなお根強いファンを持つ作品を生み出した、次原隆二先生。今回新型アルファードのエアロカーを新規描き下ろしで、表紙を飾ってもらった。そんな次原先生の特別インタビュー後編は「よろしくメカドック」の名場面をプレイバック！
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「よろしくメカドック」名場面をプレイバック

時代背景は1980年代、町のチューニングショップ「メカドック」の主人公・風見潤、経理担当・中村一路、板金塗装担当の野呂清の3人を中心に、市販車ベースのチューニングを施し、レースなどを通じて成長していく。3つの大きなレース関係だけでなく、ストリートや日常のカーライフも描かれている。次原先生は「クルマってこんなにおもしろいんだよってことを伝えたかった」と語っている。

【1】キャノンボール・トライアル編

物語前半、ひょんなことから那智と出会い、このキャノンボールの話を聞く。記念すべき最初のレースだ。大手ショップと雑誌メディアが企画したもので、九十九里浜から江の島までの140kmの公道をタイムアタック。メカドック・風見潤は、ツインターボのセリカXXで出場。チューナーとしてだけでなく、ドライバーとしても高い能力を発揮。

【2】全日本ゼロヨングランプリ編

富士山の特設会場で行われた0-400mタイムアタック。風見はフルチューンのGT-Rに余裕で勝ってしまうミッドシップ化したCR-Xを完成させたが、テスト走行終了後、ヘリでクルマを盗難されるという事態に……。しかし、プロショップ「美酒蘭」の協力もあり1週間で新たにもう1台、CR-Xを製作。しかも勝つためにはと、ボアアップの追加チューンも施工した。

【3】東日本サーキット編

低迷する日本のモータースポーツ界に一石を投じるために誕生した「夢幻」が企画。筑波、富士、鈴鹿の3つのサーキットを結ぶ公道レースなんと一般道も貸し切りという超絶規模のレース。風見はフェアレディZをチューンして参戦。那智、紫電改はもちろん夢幻からは引退したはずのナベさん、そして天才、五十嵐充が参戦。ファイナルレースに相応しい豪華メンバーで競い合う。

いち早く「ドレスアップ」も題材に！

キャノンボール編の後では、当時はまだまだ発展途上だった「ドレスアップ」というキーワードで営業しているプロショップ美酒蘭が登場。オーナー南条久子に触発されて、メカドックでも女性仕様のドレスアップカー「小町スペシャル・シティ」を製作。

メカドックが南条久子に言われて作ったホンダ・シティ。女性でも安全かつ操作しやすいメカチューンを加えた1台だ。美酒蘭オーナーの「いまやクルマはファッションの一部」といったセリフにも注目。
PROFILE
次原隆二（つぎはら りゅうじ）。1958年生まれ、福岡県出身。1982年「よろしくメカドック」を週刊少年ジャンプで連載スタート。市販の国産車をベースにしたチューニングカーを中心に、爽快な人間ドラマも描かれた人気作。2級整備士免許を取得していて、クルマのメカニズムに明るく、その知識をわかりやすく漫画で描いた。2001年には、クルマのカスタムにも通ずる「レストアガレージ251 車屋夢次郎」を連載。現在の愛車はレヴォーグレイバック。ランカスター、レヴォーグ、レイバックなど、SUBARUを乗り継いでいる。現在は、出版やデジタルコンテンツ配信などを手掛ける、株式会社コアミックスに在籍。取締役を務める他、後進育成に尽力を注いでいる。

作品に登場したあの名車達 メカドックチューン

セリカXX
ベースはなんと解体屋から安く買ってきた事故車。当時としてはハイスペックのDOHCである2.8Lエンジンは、ボアを3mm拡大して2960ccへとアップしている。さらにツインターボ化だけでなく、瞬発力アップのために、ニトロキットも装着しているのが注目だ。当時先進的だったEFIも劇中では大いにアピール。ちなみにボア拡大の3mmはニトロの使用を想定したギリギリの数値である。最終的にはノーマルの280psに対して、400psにまでパワーアップされた。またブレーキも大型化されている。
CR-X ミッド
FFライトウエイトスポーツの代表格、ホンダのバラードスポーツCR-Xを大胆にもミッドシップ＆後輪駆動化している。完成直後に盗難に遭い、急きょ、もう1台が作られた。チューニング内容はメカドックの定番技を存分に注ぎ込んだもので、ボアアップによって1488ccを1652ccへと拡大しただけでなく、なんとツインターボ化もしている。その結果、270psを発揮しつつ、シルエットフォーミュラのような空力ボディは、車重たったの570kgだった。
RX-7スペシャル
ゼロヨングランプリで風見に負けてしまった那智が約束通りにメカドックの一員になった。そんな新生メカドックの第一号車がこのRX-7スペシャル。風見と那智のコンビが、メカドックのシンボル車として3ローターチューンを施す。テスト走行では、首都高や湾岸でシルエットカーと熱いバトルを繰り広げた。
小町のヨタハチ
1980年代当時、すでに旧車だったトヨタ・スポーツ800。マドンナの女暴小町（すけぼうこまち）の愛車としてファンも多かった。激しいチューニングはされていない模様で、CDIやフルトラ化、ハイテンションコードへの交換などでファインチューニングしていたようだ。また、キャブレターの調整もメカドックに頼んでいる。
松桐坊主の初代セリカ
1巻からズッコケキャラ全開、3人組の暴走族、松桐坊主の愛車が初代セリカ、通称ダルマセリカだ。ヨタハチ同様、当時すでに旧車だったこともあって、チューニングも昔ながらで、シリンダーボーリング、クランクシャフトの軽量化、ポート研磨などが施され、ヘッドライトのレーシングジャケットも涙モノ。その後、ゼロセン参戦時にはV8に換装され、ボンネットには大型のバルジも付けられるなど大変身した。
グレーサーZ
グレート・レーサー、略してグレーサー。出たばかりのZ31がベースとなる。それまでのL型からV型へと切り替わったZ31の可能性を風見が見事引き出して仕上げられた「史上最強のZ」。シングルターボをツインターボ化しつつ、インタクーラーも装備している。V型では限界があるボアアップにあえて挑戦していて、燃料系も当然強化。さらにアウディのクワトロを参考にしつつ、レオーネの駆動系を使ってフルタイム4WD化されている。

バスを喫茶店にカスタマイズ！

メカドックのスタッフや松桐坊主たちの行きつけの喫茶店がその名も「パドック」。近所にスーパーができたことから人の流れが変わり、廃業も考えるほどに……。復活にはインパクトが大切ということで考えついたのが、バスをカスタムして喫茶店にするという大胆なアイデアだった。カスタムはお手のものということで、メカドックの手によって見事完成した。

立ちはだかる好敵手も続々魅力的なチューニングカーが登場

レーシングワタナベ フェアレディZ
谷田部の最高速でも記録を作った伝説のZ。ミッションは商用車を流用したトルク重視の仕様。またボディは風洞実験まで行って空力を徹底的に煮詰めている。そのほか、4輪ディスクを強化したり、タイヤにもこだわっている。全日本ゼロヨングランプリでは2980ccから360psを発生、車重710kgとなっている。ただし、軽すぎたのか、準決勝でハイドロプレーニングを起こしてリタイア。そのまま渡辺も引退してしまったが……。
チャンプサバンナ RX-7
風見のライバル、那智の愛車が初代RX-7。キャノンボール・トライアルでは12Aから13Bへと換装しつつ、サイドポートからペラフェラルポートへと変更。さらにニトロも装着している。さらに東日本サーキットGPでは恐らく同じ車両を使い、ボディを徹底的に強化し、心臓部は3ローター化して550psを発揮するモンスターマシンに仕立てられた。もちろんコスモロータリー登場以前の話しである。
紫電改 ソアラ
渡辺の師匠であり、戦争中は戦闘機のチューニングを手掛けていた伝説のメカチューナー露崎武士が率いるショップ「紫電改」が放った当時先進のソアラ。レース車両並みの375psにまでパワーアップされ、車体については徹底した軽量化を施すことでパワーウエイトレシオは2.0kg/psを誇った。それゆえ、瞬発力にも長け、ライトウエイトのCR-Xとのゼロヨン対決では互角とされたが、ターボラグが発生してしまい失速、敗れてしまった。

次原先生ならではのメカ解説

整備士免許を持っているだけあり、メカに詳しい次原先生。作中に時々入っているメカ解説などはイラスト付きで非常にわかりやすい。当時、次原先生は整備士としての知識だけでなく、オプションやオートメカニックといった雑誌も参考にしてメカドックを作っていた。ちなみに、我がスタイルワゴンの編集長は若い頃、メカドックでチューニングの基礎を学んだとか（笑）。
次原先生のアトリエには資料や掲載誌はもちろん、ミニカーやプラモデルがたくさん。

STYLEWAGON（スタイルワゴン）2024年11月号　　©次原隆二／コアミックス 1982

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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