想像以上に大きく変わった新型セレナ
先代のC27でもe‐パワーが追加されるや高い販売比率を占めるようになったのと同じく、新型も40万円超の価格差ながら、受注は半分をだいぶ超えているという。やはりe‐パワーに魅力を感じるユーザーは多いようだ。
排気量を1.4Lに拡大した新開発の発電専用エンジンは、先代の1.2Lに対して最高出力が14ps、最大トルクが20Nmも向上している。モーターも27ps増だ。
外見は全体としては従来のイメージを踏襲しているが、フロントが大きく変わったのは見てのとおり。ランプ類はフルLED化されており、ボディカラーは全14色も用意される。
インテリアもガラリと雰囲気が変わり、質感向上とデジタル化が図られている。スイッチタイプの電制シフトを日産で初めて採用したのも特徴だ。
セレナの強みである広々とした変幻自在の車内空間や見晴らしの良い視界はこれまでどおり。ガソリン車でないと設定のなかった8人乗りがe‐パワーでも選べるようになったほか、100VのAC電源(1500W)が装着できるようになったのもうれしい。
新設の「ルキシオン」は、プロパイロット2.0をはじめ、大画面ディスプレイや合皮シートなどを標準装備し、価格差にふさわしく装備類も差別化されている。
新世代のe‐パワーの進化ぶりは走り出してすぐにわかる。発進してもエンジンがなかなかかからず、いつかかったのか意識していないとわからないほどエンジンの停止から再始動がスムーズだ。車両状態や走行環境により、カーナビと連携してエンジン作動タイミングを制御するという世界初のエネルギーマネジメント技術が効いているようだ。
走りはより滑らかで力強く静かになり、e‐パワーの美点であるリニアなアクセルレスポンスにもさらに磨きがかかった。先代で見受けられた高速道路での登坂や再加速でもたつく印象もない。
静粛性も、エンジンのケース剛性向上やバランサーの新規採用、遮音ガラスの採用などが効いて、より前後席間で会話しやすくなった。高回転域になると3気筒っぽい音が耳に入るのは否めないが、それが気になるシーンは現実的にはそれほど多くなさそうだ。
クルマ酔い軽減のための一環として、全方位の視界や後席用モニターの位置にこだわり、乗り心地の面でも突き上げによる頭部の急激な動きや不規則な揺れを軽減したことで、全乗員がより快適に乗れるようになっている。
フットワークもプラットフォームが従来の改良版とは思えないほど洗練され、直進安定性に優れ、正確で一体感のあるハンドリングを実現している。箱型の背高ミニバンでありながら走りを楽しめてしまうほどの仕上がりだ。
もちろん、プロパイロット2・0搭載車ならシステム作動時に車線変更をアシストしてくれたり、条件がそろえばハンズオフドライブもできてしまうのだ。
実は想像以上に大きく変わっていたというのが率直な印象。持ち前の優れた利便性に加えて、先進技術と基本性能の進化で、より快適で安全にドライブを楽しめるミニバンに仕上がっている。
SPECIFICATION
グレード名 | e-POWER LUXION | |
全長×全幅×全高(㎜) | 4765×1715×1885 | |
室内長×室内幅×室内高(㎜) | 3135×1545×1400 | |
WLTCモード燃料消費率(㎞/L) | 18.4(2WD) | |
エンジン排気量・種類 | 1433cc・直列3気筒DOHC+モーター | |
最高出力[kW(ps)/rpm] | 72(98)/5600 | |
最大トルク[Nm(kgf・m)/rpm] | 123(12.5)/5600 | |
モーター | 最高出力[kW(ps)] | 120(163) |
最大トルク[Nm(kgf・m)] | 315(32.1) | |
乗車定員(名) | 7 | |
タイヤサイズ | 205/65R16 |
STYLE WAGON 2023年8月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]