ただいま爆発的ヒットの軽ハイト系! その元祖は、初代ワゴンRだ!【スタワゴ的ミニバンヒストリー 軽自動車編 前編】

カスタム業界のエースにも君臨! 一家に一台、それが「初代ワゴンR」だった

現在、軽自動車はワゴンR、ムーヴ、Nワゴンなどに代表されるハイト系と、Nボックスやタント、スペーシアなどの超ハイト系が二大勢力を形成している。しかし、大昔からそうだったのではない。きっかけは、ある大ヒットモデルの存在だった。それは1993年に登場した初代ワゴンRである。

スズキらしいアイデアが詰まった新ジャンル

日本の戦後復興を象徴する物事のひとつに、軽自動車規格の制定が挙げられるだろう。日本でもっとも小型で小排気量なクルマの規格であり、その理由は広く国民に自動車を普及させることにあった。

1955年に初の軽自動車となるスズキ・スズライトが登場。だが、軽自動車が本格的に普及し始めるのは1958年、スバル360の登場からだった。「てんとう虫」の愛称で親しまれたこの軽自動車は、ご存じのように爆発的なヒットとなり、マイカー時代の先鞭となった。

さらに1979年、軽自動車から日本の自動車史に名を残す名車が登場する。それがスズキ・アルトだ。「47万円」という衝撃の低価格路線を打ち出し、空前の大ヒット車となった。後席などの装備を簡素化して商用車扱いにして、当時税制面で有利だった「軽ボンネットバン」での登録だった。ボンバンとも呼ばれ、初代アルトの大ヒットは他メーカーにも飛び火、1980年には早くもダイハツからミラが登場するなど、ボンバンブームがしばらく続いた。

その後、1980年代後半に軽でもパワー戦争が勃発し、1987年には現在まで続く業界自主規制値、64psに達したアルトワークスが登場するなど、軽自動車のジャンルはますます多様化、パーソナル化していく。

このように軽自動車というジャンルは時代毎に変わっていくユーザーのニーズにしっかりと応えて、魅力的なモデルを市場へと送りだしてきたと言っていい。

そして1993年、衝撃的なクルマが登場する。そのモデルは、一見背が高いだけで内外装に派手さは微塵もない。スズキも見誤っていたらしく、当初は月販4000台を予定していた。だがフタを開けてみれば月販1万台オーバー。スズキの関係者が「まるで初代アルトのときのようだ」というほどの爆発的なヒットモデルへと成長していく。

そのクルマこそ初代ワゴンRである。特筆すべきはその全高。当時のアルトの全高は約1.4mだったのに対し、ワゴンRの全高は1.64m。背の高いクルマは不格好と思われていた時代にである。着座位置も高くし、大柄な大人4人でも乗れる室内スペースを確保していた。軽自動車もパーソナル化が進み、セカンドカー、買い物用、通勤用に使う層が増えていたが、ワゴンRは一家に一台のファミリーカーとして十分な資質を満たしていた。この点は今改めて振り返ると画期的なことだったと言えよう。

さらに若者からの支持も高かった。ワゴンRをカスタムして楽しむユーザーが続出したのだ。初代ワゴンRはカスタム業界でもエースの座に君臨した。

ワゴンRは2代目も不動の人気で2000年3月には平均月販3万台を初めて突破。他社も追従し、軽自動車の勢力図を一気に塗り替えることに成功した。

それまでの軽の常識とは?

生まれては消えたワゴンRまでの道のり

FF乗用車ベースのスペース重視モデルとしては、1972年に登場したホンダのライフステップバンが元祖的存在。トラックもあったが商用バンが主力だった。しかしスペースという点でワンボックスにかなわず短命に終わる。クルマの前半が乗用車で後半が広大な荷室、というフランスで「フルゴネット」と呼ばれるタイプの日本版もあり、1990年の三菱ミニカトッポ、1991年のスズキ・アルトハッスルなどが挙げられる。だが、いかんせん配達用のイメージが強く、人気車となることはなかった。ただしワゴンR的発想が存在したことは注目だ。

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