【WORKS TUNINGの世界●TRD・TOYOTA YARIS編】気軽に走りを楽しもうというTRDの思いを具現化

TRDでカスタムされたトヨタ・ヤリスは、グイグイ曲がり、ただただ楽しい!|新車レビュー

・日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員「工藤 貴宏」氏がインプレ
・ジムカーナ仕様改のストリートモデル
・軽自動車並みの車両価格で楽しめる
・使い切れるパワーが楽しい

軽さ×適度なパワー×6速MT、リーズナブルなストリートモデル

トヨタテクノクラフト社がトヨタカスタマイジング&ディベロップメント社に統合され、現在はその傘下のブランドとなっているTRD(ティーアールディ)。ルーツとなる組織が設立されたのは日本のモータースポーツの幕開け(トヨタがクラウンで豪州1周ラリーに初参加し同社のモータースポーツの歴史がはじまったのが1957年)よりも早い1954年で、そこから70年にもわたって日本のモータースポーツともに歩んできたトヨタ直系のブランドだ。

現在、トヨタカスタマイジング&ディベロップメント社が展開するスポーツパーツは「TRD」のほかに「GRパーツ」が存在。GRパーツがディーラーでの販売を基本とするストリート向けのアイテムを中心とするのに対し、TRDブランドで展開する用品は競技部品が中心。快適性や耐久性よりも性能を重視した商品なのだ。

そんなTRDが今回の試乗会に持ち込んだ車両は2台あり、そのうち1台はコンパクトカーのヤリス。しかも、グレードはもっとも質素な「X」だ。

何を隠そうそんなクルマ選びの背景には理由があり、それはこの車両が実際の競技を想定した車両だから。ジムカーナ仕様として作られている車両である。ただし、今回はミニサーキットでの走行に合わせてサスペンションの設定を変更し、ストリート用のセッティングを施工。「手軽に購入できて楽しめるクルマの提案」とTRDは説明する。TRDパーツを装着しないノーマル状態車両価格は2WDで154万8000円。軽自動車並みのプライスで購入できる。

1.5L自然吸気エンジンは120psを発生し、車両重量は1トン切り。それを6速マニュアル(試乗車はノーマルより35%軽い試作品のフライホイールを装着しレスポンスを高めている)で操るのだから、楽しくないわけがない。今どきのクルマは「高い」と言われそれは否定できないが、こういう楽しみ方もあるのだ。

主な装着パーツ
GTエアロタービュレーター
エアロスタビライジングフィン(GRヤリス純正オプション品)
CUSCO スポーツアクセルペダル
OKUYAMA ヒールアジャストプレート
OKUYAMA フットレスト
TRD バケットシート(2024年1月発売予定)
TRD×Sabelt 6点式シートベルト
ホイール:ボルクレーシング TE37 SONIC(F16×7.0J+25,R16×6.5J+38)
タイヤ:ダンロップ ディレッツァ β11(195/50R16)
ブレーキパッド&シュー:プロジェクトμ
TRD 軽量フライホイール(試作品)
TRD GYMKHANA-SPEC DAMPER
KYB ピロアッパーマウント
CUSCO製LSD
MEGA LIFEバッテリー MR-20

「リーズナブルに楽しめる」

いまや、このクラスの新車でMTを選べるのはヤリスに「マツダ2」そして「スイフト」くらい。このヤリスでTRDが提案したかったのは「手軽にクルマを楽しむ」ということで、確かにサスペンションやLSDとブレーキなど最低限の手を入れるだけなら200万円強で楽しく走れるマシンが手に入るのは魅力的だ。

TRDのデモカーでありながら興味深いのは、TRDブランド以外のパーツも数多く装着されていること。「トヨタ車を使ってこんな仕様も作れますよ」という提案だ。走りはただただ楽しい。グイグイ曲がるし、LSDのおかげで立ち上がりはハンドルをしっかりと定めてくれるから、アクセルを踏み込めば力強く前へ進んでいくのだ。エンジンは自然吸気の120psだからパワー不足と想像するかもしれないけれど、高低差のないミニサーキットなら十分に楽しめる。というか、MTを駆使してパワーを引き出す喜びにあふれた快速仕様となっている。

TEXT:工藤 貴宏

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