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スペーシアの乗り味を公道試乗
2013年3月発売の初代から数えて3代目となる新型スペーシアは、17年12月登場の2代目のスーツケースから大容量コンテナにデザインモチーフを変えたキープコンセプトモデル。オットマンやレッグサポート、荷物ストッパーになる一石三鳥の「マルチユースフラップ」をはじめとしたアイデア装備などの付加価値が盛り込まれている。
走りを支えるプラットフォームは先代から流用するものの、超高張力鋼板の使用範囲を拡大したり、バックドア、センターピラーなどの大開口部を環状骨格とすることで、剛性を高めている。さらに、構造用接着剤の採用やリアバンプストッパーの特性を変えることで突き上げを抑制するなど、操縦安定性や乗り心地の改善が図られている。荒れた路面でも上下動の動きは小さく、軽スーパーハイトワゴンにありがちな上屋の大きな動きが抑えられている。
パワーユニットの進化は、主に燃費の向上だ。ハスラーやワゴンRに採用される自然吸気エンジンのR06D型を引き継ぎつつ、先代から2.9km/Lもカタログ燃費を向上。ターボは定評あるR06A型で、こちらも2.1km/L燃費を向上させている。各パワートレインには、マイルドハイブリッドを搭載する。自然吸気車は、長い上り坂ではアクセルを踏む込む量が大きくなることもあり、モーターアシストはあまり感じられなかったが、平坦な一般路では発進から加速に移る際に、スーと前に出るモーターの加勢を感じる。ストップ&ゴーの多い街中を中心に、高速道路でも流れに乗る程度であれば、自然吸気エンジンでも十分。一方のターボ車は勾配のきつい長い上り坂でも力感にあふれていて、高速域のパンチ力もある。アクセル開度も大きくならないこともあり、静粛性の面でも断然有利だ。音振動面のストレスは、ターボ車の方が小さい。
ターボ車は165/55R15タイヤ(自然吸気車は155/65R14)を履くこともあり、低速域では揺すぶられるような感覚が若干残る。ネックはこれくらいだろう。コーナーでの安定感は一段上手で、ロール剛性も高く感じられる。山道や高速を含めた長距離移動が多いのであれば、動力性能の利点はもちろん、コーナーでの安定感も含めてターボ車が適任だ。
静粛性の高さも新型の美点。アンダーボディの接合面に減衰接着剤が、後席まわりの計4カ所に遮音バッフルをスズキとして初採用した恩恵で、ロードノイズが低減。さらに、40〜50km/hという速度域での嫌なこもり音などもあまり感じさせず、街中での静粛性は高い。高速域では、新型N-BOXよりもロードノイズはやや高め。
新型にはミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」を搭載し、ブレーキホールド付き電動パーキングブレーキもスペーシアの「X」「G」を除き標準化。(「X」はセーフティプラスパッケージ装着車に標準)。アダプティブクルーズコントロールは全車速追従式で、停止保持機能により渋滞時に自動でブレーキを保持する。短時間の高速道路走行だったが、車線維持機能の精度も高く、ドライバーサポート機能の進化により街中から高速道路まで快適な移動が楽しめるようになっている。
前後にメッキガーニッシュを搭載した「スペーシアカスタム」
スペーシアカスタム PRICE
180万1800円(HYBRID GS/2WD)〜219万3400円(HYBRID XSターボ/4WD)
おしゃれ感の高いデザインで魅了する「スペーシア」
STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年2月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]