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初代とその後、変わりすぎ!?
クルマは何年かごとにモデルチェンジが行われるものだ。モデルチェンジが繰り返されることで、初代モデルとは似ても似つかないクルマになってしまうことが少なくない。どうしてそうなってしまうのだろうか?
理由のひとつは初代モデルが不人気だったから。これは理解しやすい。不人気ならそのコンセプトを引き継いでも不人気であることも予想され、だったら大きく変えてしまうほうがよい、と考えるのが自然だ。どの自動車メーカーも、なんとかして売れるクルマを作ろうと必死なので、コンセプトを変更することもやぶさかではない。
ところがこの限りではない場合も多い。初代モデルが大ヒット、もしくはヒットしたモデルでも、その何代か後にはまったく違うクルマになっていることもあるのだ。端的な例を挙げると、ホンダのオデッセイ。初代は自動車史にその名が刻まれるほどの大ヒット車で、日本にミニバンを定着させたモデル。2代目こそキープコンセプトだったが、3代目では低重心化を打ち出した。ところが5代目では背を高くして室内スペースを稼ぎ、初のスライドドアを採用……と変化してしまった。初代モデルの印象はほぼない。
これはユーザーニーズの変化に依るところが大きい。ミニバンらしからぬ走行性能で人気を得たオデッセイは、その長所を高めるべく低重心化されたが、ユーザーはそれよりもスペースの広さを重視した。クルマもお客様あってのものなのだ。
(1)HONDA オデッセイ
爆発的な大ヒット車となった初代オデッセイは、日本にミニバンを定着させた立役者。3代目から低重心化路線を採用するもこれがイマイチ。5代目では大型化して室内スペースを拡大するとともに、一般的なミニバンのようにスライドドアを初採用した。
(2)マツダ MPV
北米で始まったミニバンブームに合わせて登場。初代はFRベースで当時としてはハイパワーなV6を搭載した。2代目は大きく様変わりしてFFに。広い室内スペースもあって高い人気を得ることに成功。
(3)トヨタ ノア
ワンボックスのライトエース&タウンエースの後継モデルとして登場。ワンボックス時代と同様に、エンジンを1列目シートの前方に搭載し、後輪を駆動するキャブオーバー方式を採用していた。
(4)日産 セレナ
衝突安全性に対応した、短いボンネット付きワンボックスとしていち早く登場したセレナ。だが2代目以降はFFに変更され、ノア/ヴォクシー、ステップワゴンと三つ巴の戦いは現在まで続いている。
(5)日産 エルグランド
FRの高級大型ミニバンとして大ヒットした初代エルグランド。2代目もFRを踏襲したが、2002年にFFのアルファードが登場すると人気が逆転。エルグランドも3代目でFFモデルへと変更された。
(6)三菱 シャリオ
日産プレーリーと並び、登場が早すぎたモデルが三菱シャリオだ。初代同様2代目もコンパクトな3列シート車だったが、3代目でグランディスのサブネームが付き大型化。これはオデッセイの影響だった。
変わらないことが人気の秘密〜ランクル70〜
1984年登場のランドクルーザー70。日本では2004年に一旦終了したが、海外では存続し続け、2023年、日本でも復活した。なぜ変わらないのか? 世界中でタフな使い方をされるクルマゆえ、もしどこかが壊れてもパーツが手に入りやすく整備性に優れることもその理由のひとつだ。
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STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年3月号 より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]