こういうクルマを待っていた人も多いかも?
ホンダの最新SUVである「WR-V」に触れると、そんな気持ちになってくる。スタートダッシュも好調で、仕様によっては今注文しても納車は「年内に間に合うかどうか」という状況なのだとか。
全長4325mm×全幅1790mmとコンパクト。ホンダのコンパクトSUVといえば「ヴェゼル」があるけれど、それとほぼ同じ車体サイズである。
「だったらヴェゼルがあればいいのでは?」と思う人もいるかもしれない。でも答えはNO。むしろヴェゼルと比べることでWR-Vのキャラクターが際立つので、まずはヴェゼルと比べながらWR-Vの特徴を見ていこう。
まず、見た目がぜんぜん違う。滑らかなデザインで都会的なヴェゼルに対して、WR-Vは直線基調でいかにもSUVらしい力強い雰囲気。国内向けのホンダ車でこういう雰囲気を持つSUVは、時代を先取りしすぎた「クロスロード」以来ではないだろうか。
そんな見た目は好みの問題だけど、実用面でもヴェゼルに対するアドバンテージがある。それは室内の広さ。後席空間も荷室も明確にヴェゼルより広く、クラスをリードしているのだ(ヴェゼルだって広いけれど)。つまり、ヴェゼルよりも実用性の高いコンパクトSUVなのである。
もうひとつの注目ポイントは手が届きやすい車両価格帯であるということ。「軽自動車のN-BOXを買うと200万円」なんていう昨今だが、WR-Vのベーシックグレード「X」はなんと209万8800円。本革巻きステアリングホイール、合成レザーのシート表皮、後席センターアームレスト、そしてアルミホイールなどが備わる「Z」でも234万9600円。最上級グレードの「Z+(プラス)」だと248万9300円だ。
オススメは「Z」。なぜなら「Z+」でもクロームメッキのドアハンドルやベルリナブラックのフロントグリルなど5点のわずかな外装装飾しか違いがないからだ。今回の撮影車両も「Z」である。
ヴェゼルに対して車両価格帯が安い理由も当然ながらある。たとえばパーキングブレーキ。ヴェゼルは電動式のパーキングブレーキだけど、WR-Vは従来ながらのサイドレバー式だ。
その影響で停止保持機能(信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても停止状態を保つ)もないし、ACCは渋滞時停止保持も低速域にも対応していない。「今どきそんなの物足りない」という意識が高い人がいるのも事実だ。
ハイブリッドや4WDがないのも、仕様をシンプルにしてコストを下げる戦略によるもの。もっといえば、生産拠点がインドであるのにもコストの話が絡んでいる。
でもそういう"ネガ"な部分の判断は、ユーザー次第ではないだろうか。電動パーキングブレーキやハイブリッド、それから4WDが欲しいという人はヴェゼルを選べばいいし、そこを受け入れられるというのであれば価格の安いWR-Vを選べばいいだけのこと。
ユーザーの選択肢が多いのはうれしいことだし、「安い価格を実現しているクルマ」は十分に選ぶ理由になり得るだろう。
走りはどうか? 結論から言えば好印象。サスペンションは適度な締まり具合で、SUVとはいえホンダらしいキビキビとした走りが楽しめる。高速安定性も良く、直距離ドライブも疲れにくいことがよくわかった。
強いて言えばエンジン音が少しうるさく感じるかな……と思ったが、それは試乗して判断すべし!
STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年7月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]
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