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天才タマゴ、画期的な内容で登場!
1983年、クライスラーがダッジ・キャラバンを発売。比較的コンパクトな3列シート車だった。これが大ヒットし、この手のクルマがミニバンと呼ばれるようになり、北米でミニバンブームが到来した。
日本の自動車メーカーにとって北米は極めて重要な市場だ。このブームにも乗るしかない。トヨタにはダッジ・キャラバンのようにFF車ベースのミニバンか、あるいは日本で親しまれてきたワンボックスカーのようなミニバンという2種類の選択肢があった。普通に考えれば確かにこうなる。だがしかし、トヨタは第3の道を選んだ。
話は少しさかのぼる。この当時、トヨタは2ストロークエンジンの研究・開発を行っていた。その名の通り、2ストロークは通常の4ストロークエンジンに比べて半分の行程なので、よりコンパクトでしかもハイパワーが得られることもあって、その可能性に着目していたのだ。実際1989年の東京モーターショーには、2代目ソアラをベースにして2ストロークエンジンを搭載したS-2 XVというクルマを出展していた。
初代エスティマは2ストロークエンジンの搭載を目論んで開発されていたのだ。なるほど小型でハイパワーのエンジンなら、室内スペースを大きく確保できるし、走行性能も期待できる。そこでエンジンのスペースがコンパクトな床下に搭載するという、ミッドシップの採用に至った。
だが、うまくはいかない。肝心の2ストロークエンジンは排ガス規制などクリアできず開発を断念してしまう。とはいえミッドシップは活かしたい。そこで4ストロークにしつつ、2.4L 4気筒エンジンに手を加え、75度傾けて狭いエンジンルームに強引に押し込んだ。
こうして通常スーパーカーが採用するミッドシップの初代エスティマが誕生した。「天才タマゴ」というキャッチフレーズの通り、未来感の漂うモノフォルムは斬新。3列シートを備える明るく広い室内も新鮮で、ミッドシップならではのシャープなハンドリングも魅力だった。
主戦場の北米ではプレビアを名乗ったが、残念ながら人気は今ひとつ。この頃、ミニバンはV6モデルが主力となっており、4気筒のプレビアは非力と見なされたのだ。日本でもエスティマは高価で大きすぎるという理由から、残念ながら爆発的な人気を得ることはできなかった。
ミッドシップレイアウトに加え、丸みを帯びた近未来感漂うワンモーションフォルムから「天才タマゴ」と謳った初代エスティマ。搭載エンジンは135psの2.4Lのみだったが、1994年に160psのスーパーチャージャー仕様を追加設定した。室内も未来感にあふれた斬新なデザインで、コラムシフトを採用することで後席へのウォークスルーもできた。国内においては爆発的な人気、とはならなかったが、約10年間愛されロングセラーとなった。
前代未聞!弟分のエスティマ ルシーダ/エミーナ追加登場
前代未聞、エスティマを5ナンバーサイズに縮小した通称「子エスティマ」。親と同様の2.4Lに加え、こちらは2.2Lのディーゼルターボも搭載し、なんとMTも設定した。大人気だったが、あるクルマの登場でセールスは急降下する。
MCでエアロ仕様アエラス追加
▷スタワゴ的名車ヒストリー【エスティマ】編 まとめはこちら
STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年9月号
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]