目次
アゲトラ必勝法
上げ幅別リフトアップ方法を徹底解剖
リフトアップの特性を理解しアゲトラライフのスタートを
但東自動車が展開するサムライピックアップシリーズでは2インチアップの静波、4インチアップの嵐と歌舞伎を展開。予算や上げ幅に応じて選べる。ではリフトアップする上で気を付けるべきはどんなことだろうか。「気にされるのは車検のことですね。2インチも4インチも構造変更が必要になります。今乗っているクルマでカスタムするなら車検が切れるタイミングがベストですね」と但東自動車の岩出さん。注意すべきなのは車検の基準が各地域によってバラつくこと。「兵庫ではOKでも他県ではだめということもあります。そういう心配がないのが車検に通した状態で納車する新車コンプリートです」。
またリフトアップには、デメリットがあることもわかった上でカスタムして欲しいという。「燃費や直進安定性は悪化することもありますし、タイヤが大きくなっているのでブレーキをかけても純正と同じようには止まりません」。カスタムがゴールではない。大切なのはその先にあるリフトアップした軽トラで仕事をしたり、遊んだりする日々だ。そのためにもリフトアップ車の特性はしっかりと覚えておきたい。
講師
但東自動車 岩出さん
CASE1 ▶ 2インチリフトアップ
MODEL CAR ▶ DA16T CARRY
SUSPENSION●2インチリフトアップキット
WHEEL●MLJ・エクストリームJ(15×4.5J)
TIRE●ナンカン(165/60-16)
カスタム料金●10万円(税抜き)
※タイヤ&ホイール別
パーツ点数が少なくコスパに優れる
2インチアップキットの場合、4インチとの比較からいわゆる“チョイ上げ”などと呼ばれるが、そのコトバに騙されて侮ってはいけない。キットによる上げ幅は2インチ≒5cm。しかし車高が上がったことで、純正よりも外径の大きなタイヤが履けるため車高はさらに上がる。デモカーでは純正145R12-6PR=外径542mmから165/50-16=571mmへと変更したことで約15mmほど車高が上がっている。結果的に約7cm上がっているのでリフトアップ効果を強く感じるはずだ。2インチアップのメリットはやはりコストだろう。4インチと異なり前後メンバーと同時にエンジンやミッションを下げなくてもシャフト類への負担は少なく、その分キットにかかるコストが下がるというわけだ。
FRONT MEMBER
ハブ面が下がるので、フロントメンバーもスペーサーで下げる。ドライブシャフトに負担をかけないためだ。
TRANSMISSION
プロペラシャフトの角度を保つため、ミッションも下げる。吊り下げているブラケットにスペーサーかませる。
リーフとホーシングの間にブロックをかませれば、シャックルの位置が上がる。結果、ボディが持ち上げられる。
フロントはスプリングを交換、純正ショックのストローク内でショックを伸ばした状態にすることでリフトアップするキットもあり。リフトアップ量は3cm程度が多い。
STRUT
フロントはストラット上にスペーサーをかまけてリフトアップする。スペーサーの高さの分だけボディが持ち上がる仕組みだ。
LEAF
リアはリーフスプリングとホーシングの間にフロントと同じ高さのブロックをかませる。それに伴いUボルトもロングタイプに変更。
CASE2 ▶ 4インチリフトアップ
MODEL CAR ▶ S510U PIXIS TRUCK
SUSUPENSION●4インチリフトアップキット
WHEEL●エオニア・デイトナタイプK(14×5J)
TIRE●BFグッドリッチ(195/75-14)
カスタム料金●26万円(税抜き)
※タイヤ&ホイール別
フォルムと走破性がなによりの魅力
4インチアップする場合、現在市販されているキットのほとんどがメンバーダウン方式を採用している。この方式で4インチ上げようとすれば前後のメンバーだけでなくエンジンやミッションも下げるため、クルマへの負担は減るが、自然と部品点数は増える。当然パーツ代、工賃も2インチに比べ高くなる。しかしそれを踏まえても、スタイリング、踏破性、純正の足まわりを使うことによる乗り心地の良さは魅力。またより乗り心地にこだわるなら、フロントはショックの全長を伸ばすことでアップさせたい。ブロックやソーサーが入らないことで、より安定した走りやハンドリング性能の向上が期待できるからだ。但東自動車では他社と共同でリフトアップ車高調を開発。今後オプションとして採用されるそうだ。
STRUT
フロントはブロックをかませるのではなく、純正よりも全長が4インチ長いショックに交換している。
FRONT MEMBER
フロント側も、片側合計3つのブロックをかませ、メンバーダウンをおこなう。
MUFFLER
エンジンが下がれば、マフラーも下げる必要が。専用のゴムブッシュを用意している。
REAR REAF
リアは2インチと異なりシャックル側に専用ブラケットを用いてリーフごと下げる。
REAR SHOCK
リアもフロント同様に専用のロングショックを装着。ストローク量をしっかりと確保。
STEERING GEAR BOX
ステアリングギアボックス内のキレ角抑制スペーサーが、全切り時のインナー干渉を防ぐ。
STEERING SHAFT
フロントメンバー位置が下がったことにより対応するためステアリングシャフトを延長している。
BRAKE HOSE
リフトアップした分だけブレーキホースの長さが足りなくなる。フロント、リアともに延長し、対応している
ENGINE MEMBER
前後のメンバーが下がるのに伴い、エンジンメンバーにもブロックをかませて下げる。
TRANSMISSION
同じように、トランスミッションを下げる必要がある。専用のミッションハンガーを用いる。
リフトアップしたら気をつけたいこと
車高が上がり、外径が大きいタイヤを履いている以上、余裕を持ってブレーキをかけるなど運転にも少し気を付けよう。そして、一番の敵が腐食。いつもの洗車時に、かさ上げ部分に水をかけてやるだけでも十分だ。雪が降る地域や海に近い場所で使うなら防錆処理をしたいところ。
左前の死角
車高が上がれば見晴らしは良くなるが死角も大きくなる。特に左側の巻き込みには注意。
キャンバー補正
リフトアップに伴うネガキャンは補正しよう。デモカーではブラケットの長穴化で対応。
ロール
車高が上がった分、ロールも大きくなるのは避けられない。高速での急ハンドルは転倒する恐れがあるので注意。
ハブベアリングの劣化
タイヤの外径が純正よりも大きい分、ハブベアリングの負担も大きくなる。劣化が早まる原因に。
ブッシュの劣化
バネ下重量は純正よりもはるかに重い。ストラット上のブッシュは通常より早く劣化し、異音が発生する。
かさ上げ部の腐食
かさ上げ部が腐食は致命的。特にボルト部分が腐食するとキットが抜けてしまうことも。
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