ミニバンナンバーワンに君臨した日産セレナ、その歴史を振り返る!【スタワゴ的 名車ヒストリー/日産セレナ 後編】

2007年、クラストップに躍り出た3代目『日産セレナ』、その後も着実な進化を遂げライバル達を圧倒!

2005年/3代目セレナ
1990年代に入ると、ワンボックスは衝突安全性を確保するため、クラッシャブルゾーンとなる短いノーズを備える
スタイルへと進化していった。いち早く対応したのが、1991年に登場する日産のバネットセレナである。

3代目セレナが、3年連続で3列シートミニバンの販売台数ランキング1位

販売面で比較的好調だったセレナだが、あるクルマの登場で潮目が変わってしまう。それが1996年に登場するホンダの初代ステップワゴンである。ワンボックス市場への参入を目論んだホンダは、その経験がないために掟破りともいえるFFのアコードをベースにワンボックスを製作してしまった。FFゆえの低いフロアがもたらす広大な室内、商用バンを設定しないゆえの乗用車的ドライバビリティなどが重なり、ステップワゴンは大ヒットする。結果的にこのことがワンボックス進化型ミニバンのその後を決定づけるターニングポイントとなった。

つまり「ミニバンはFFベース」という不文律である。ステップワゴンの成功を機に、各メーカーのミニバンは我先へとFF化していく。セレナも1999年、いち早くFFベースの2代目へとスイッチした。

2代目はFFゆえの広い室内スペースを誇り、このクラス初のCVTを搭載したし、またライバルに先駆けて両側スライドドアを採用するなど先見の明もあった。だが2001年になるとステップワゴンの2代目が登場し、トヨタからはやはりFFベースのノア/ヴォクシーが登場と強力なライバルが現れ、やや苦戦を強いられてしまう。

ターニングポイントとなったのは3代目だ。3代目セレナはライバルを研究し、主なユーザー層であるファミリーを徹底的に意識したモデルだった。長いホイールベースを採用しクラス最大級の室内スペースを獲得し、大面積のサイドウインドウで明るい室内を達成した。シートアレンジも多彩で「ベビーカー丸ごとモード」や「ベビーフレンドリーモード」など、子育てファミリーを意識したモードを揃えた。

そのような甲斐もあり、2007年から3年連続で3列シートミニバンの販売台数ランキング1位を獲得している。

ミニバンに限ったことではないが、クルマという工業製品は社会の要求に大きく左右されるものだ。ワンボックスカーがミニバン化したのはまさにそうだし、さらに2000年代以降は地球温暖化による環境対応が迫られてきた。事故を減らす効果が期待できる自動ブレーキなどの先進安全運転支援システムも、社会の要求によるものだ。

4代目セレナでは通常のガソリンエンジン搭載車に加え、バッテリーと小型のモーターを搭載するマイルドハイブリッド車を2012年に追加し、これをS-ハイブリッドと呼んだ。2013年にはエマージェンシーブレーキや車線逸脱警報などの安全運転支援システムにも対応させている点にも注目だ。

5代目セレナでは自動化レベル2に相当する同一車線自動運転技術「プロパイロット」を日産車でいち早く採用している。またエンジンで発電を行い、モーターで走行し低燃費が自慢のシリーズ式ハイブリッド、e-POWERも新搭載した。これは日産車ではノートに次ぐものだ。

FFベース&スライドドアを装備した2代目

キャブオーバー型を進化させたFRから、FFベースへと大転換。またライバル車に先駆けて両側スライドドアを採用したこともポイントだ。FFのメリットで旧モデルよりも70mm低いフロアがもたらす広大な室内スペースを獲得。また商用バンを廃止し、乗用ワゴン専用車とすることでドライバビリティも著しく向上した。2.0Lガソリンに加え、2.5Lの直噴ディーゼル(マイナーチェンジで廃止)を搭載。ミッションにはハイパーCVTだった。

ミニバンナンバーワンに君臨した3代目

ファミリー向けとして徹底的な見直しが行われた3代目。当時のクラストップとなる広大な室内空間だけでなく、大面積のサイドウインドウを採用し、広く明るい車内を実現した。シートは広いだけでなく、セカンドマルチセンターシートを採用。これは2列目ベンチシート中央部をたためばテーブルに、さらに前方へスライドさせれば1列目シート用のテーブルにもなる凝ったものだった。片手で跳ね上げられるサードシートなど使い勝手に考慮。このモデルでついにミニバンNO1の座に躍り出た。

ミニバンとマイルドハイブリッドの組み合わせた4代目

使い勝手の面で、スライドドア開口部を拡大し、14通り以上のシートアレンジが可能になるなど、好評だった3代目セレナをブラッシュアップしたのが4代目。通常モデルに加え、ハイウェイスターやカスタムモデルのライダーも設定。燃費向上が叫ばれるなか、当初はアイドリングストップ機構付きの2L直噴ガソリンエンジンを搭載した。さらに2012年には、サブバッテリーを搭載し、エンジン出力にモーターアシストを加えるマイルドハイブリッドシステム「S-ハイブリッド」を追加設定。JC08モード燃費は15.2km/Lを達成している。また2013年のマイナーチェンジでは自動ブレーキも搭載した。

e-POWERの採用など、着実に進化した5代目

現在の日産車にも通じる「Vモーション」のフロントフェイスをした5代目。量産車世界初のハンズフリースライドドアや、ウインド部のみも開閉可能なデュアルバックドアなどを新採用。目玉は同一車線自動運転技術のプロパイロットをミニバンとして世界初採用したこと。2Lエンジンを搭載し、そのマイルドハイブリッドを用意していたが、2018年、発電用1.2Lエンジンを搭載し、136psのモーターで駆動する「e-POWER」を追加。JC08モード燃費26.2km/Lを達成した。

そして現行型へ

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