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ホンダの軽バンが電気自動車に、仕事から趣味まで幅広くカバー!
ホンダは2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げており、四輪車は2040年に先進国全体でのEV/FCEV(燃料電池車)の販売比率100%を目指している。
その一環でもあるN-VANe:は、法人および個人事業主のニーズに応える軽バンEVとして開発された。近距離の宅配用途は1日の走行距離もある程度予測がつき、配送拠点や自宅に戻ってその都度充電する使い方であれば、航続距離をそこまで長くする必要がない。そこで開発チームはホンダのインターナビで蓄積されたビッグデータを活用し、商用軽バンの平均的な走行距離を検証した。
その結果、実用として100km(WLTCモードで245km)を確保できれば、ほとんどの用途をカバーできると結論づけ、そこから逆算してバッテリー容量を29.6kWhに設定した。
ベースとなるN-VANは軽バンとして一般的なキャブオーバー(エンジンが前席下に搭載されるタイプ)ではなく、エンジンが車両前方に搭載されるFFを採用している。荷室スペースを確保する上では不利なパッケージだが、ホンダ得意のセンタータンクレイアウトを活かしてフロアを低床化。助手席と後席をフルフラットにできるシートアレンジを採用したほか、助手席側のBビラーをなくした構造により、横からでも荷物を出し入れしやすくして、空間の広さと使い勝手を両立させている。
N-VANe:は、その基本構造を継承しながら、バッテリーと小型電動アクスルを搭載。6.0kWの200V普通充電および50 kWの急速充電に対応するほか、オプションのパワーサプライコネクターを接続すると、逆にバッテリーに蓄えた電力を家電などに使える給電能力も備える。
実際に街中で乗ってみると、モーター特有の踏み出しからすぐに大きなトルクが立ち上がる走りは頼り甲斐があり、急勾配の登り坂でもついつい鼻歌を唄ってしまいそうになるほどスムーズ。実際には荷物の荷崩れを防ぐため、トルクの立ち上がりはある程度マイルドに制御されているそうだが、ペダルに置いた足とモーターが一体化したようにすら感じるリニアな反応は、ちょっと病みつきになってしまった。
もちろんモーターなので車内も極めて静か。軽バンにありがちな賑やかな音や振動は皆無で、それにはエアボリュームを確保し、ブレーキの大径化にも対応する目的で13インチへとサイズアップされたタイヤの影響も大きいと感じた。また、サスペンションのバネレートと減衰力もN-VANe:専用のセッティングとなっており、バッテリー搭載による重量増に応えるシャキッとしたダンピング性能も効いている。
商用だけでなく、個人のホビーユースも想定した44人乗りモデルは「e:FUN」と「e:L4」をラインアップ。一方で、主に法人ユースを想定した1人乗りの「e:G」と2人乗りの「e:L2」も用意されている。
ただし、「e:G」と「e:L2」に関しては法人向けカーリースおよび定額制カーリースのホンダOMでのみの取り扱いとなる。乗用として使うなら、やはり装備も充実した「e:FUN」と「e:L4」から選択するのが現実的だろう。人生初のEVが軽バン! というのも、なんだか楽しそうだ。
様々なシチュエーションで大活躍するN-VANe:
STYLEWAOGN(スタイルワゴン)2024年12月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]