当時欲しかったあのクルマをプレイバック! 【スバル・レガシィツーリングワゴン 2.5GT tS(BR系 アプライドB型)編】

【当時は高嶺!? いま気になる中古車の新車当時レビュー】限定600台のスポーツワゴン! スバル・レガシィツーリングワゴンGT tS(2010年6月〜2010年11月)

クルマ選びで迷うことのひとつが、新車か中古車のどちらを選ぶか。新車であれば、最新の機能を体感できるうえ、購入時にある程度自分好みにオーダーすることも可能。しかし現実的な予算を考えると厳しい場合も。一方、予算的にグッと抑えられるのが中古車だ。年式やクルマの状態によって金額は変わってくるが、新車当時買えなかった憧れのクルマが手の届く可能性もある。そこで、いま狙ってみたいクルマが登場した当時の仕様、そして試乗レポートをプレイバック。今回はスバル・レガシィツーリングワゴン 2.5GT tS(BR系 アプライドB型)。主要諸元表付き! 全長・全幅・全高、室内長、車重、最高出力や最小回転半径、乗車定員をはじめ、燃料タンク容量までわかります。

目指したのは「強靱でしなやかな走り」

SUBARU/LEGACY TOURING WAGON
スバル/レガシィツーリングワゴン 2.5GT tS(BR系 アプライドB型) 2010年6月発表

STIから今年初のコンプリートカーとして登場したのがレガシィ・ツーリングワゴン2.5GT tS(セダンB4もある)だ。聞き慣れない名称“tS”とは、今年2010年から新たに冠されたネーミング。

これまでの“tuned by STI”シリーズではクルマに応じて複数のネーミングが与えられていたため、ユーザーに対して判りにくい側面があった。そのためこれを機にシャーシ&サスペンションチューンによるハンドリングを主体に磨きをかけたモデルを“tS”の呼称で統一。

今回の2.5GT tSはその第一弾だ。なお、エンジンまで含むSTIチューニングのモデル、Sシリーズ/Rシリーズは、いわばSシリーズグループとして継続する。つま今後は、SシリーズとtSシリーズという2シリーズ体制ということになる。

さて、本題のツーリングワゴン2.5GT tSは、STIのクルマ造りのコンセプト「Sport Always!」~すべての時、すべての道、クルマとの対話はいつも“スポーツ”だ!~を踏まえた上で「強靱でしなやかな走り」を目指した。

意味するところとしては、ドライバーにとって運転が上手くなった感覚をもたらしてくれたり、サーキットやワインディングなどではなく、日常シーンの中でもクルマとの対話、意思疎通を図れる快感、喜び。そんなパフォーマンスを指す。

そのために4輪の接地性の向上。ステアリング応答性の向上。挙動に対する応答性の遅れの排除。気持ち良く安心して曲がるために絶対にリアがでない、出る雰囲気すら感じさせない足。STI“なのに”ではなく、STI“だから”の静粛性と乗り心地の実現などを徹底的に追求したチューニングが施されている。

具体的なチューニングパーツ、アイテム等は別掲のリストを参照していただくとして、ともあれ新しい“tS”のエンブレムをフロント/リアともに携えた試乗車に乗り込んでみた。

ベースとなっている2.5GT Sパッケージも非常に出来の良いスポーツ&コンフォータブルなモデル。その上でSTIなのだからの先入観、期待感を持って走り出してみると、まず良い意味で拍子抜けするほど乗り心地が良く、キャビンは静かで快適だ。

路面を選ばずハーシュネスがここまで抑えられているとはまったくの予想外。こうした乗り心地の良さからだけで言えば、このクルマはとても質の良いコンフォートなGTワゴンだ。

ところが、これだけで終わらないのがSTIチューンたるところか。とりわけステアリング操舵に対する応答性の高さは際立つものがあり、たとえばレーンチェンジなどではステアリングを切るというよりも行きたい方向に対して手を添える(当てる)程度でクッとノーズが入って行く。

ボディの追従バランスも良く、一体感があるので、単にステアリングのギアレシオを変えて初期応答性だけが高められたような違和感やお子様的な乗り味は皆無だ。あるいはコーナーを多少攻めてみたところで、タイヤ鳴きはしないし、接地感は終始損なわない。リアが破綻する気配すらなく、かといって粘りすぎの感触も残らない爽快さがある。

実際、ステアリングのギアレシオ等は変更されておらず、この応答性の向上には驚くが、各所のブッシュ類など、別掲のリストには載っていないチューニングを随所に行っているとのこと。さもありなんなのだ。

プライスは418万7400円(税込み)。400万円オーバーの予算となると、選択候補は輸入車も含めてかなり多くなるが、これだけのチューニングにエクステリア&インテリアの専用仕様などを合わせ、ベース車に対してプラス70万1400円(同)は破格といえる。販売はツーリングワゴン、セダンB4を合わせ、11月7日受注分までの限定600台のみ。思い立ったら吉日!の1台だろう。
従来の剛性強化一本槍から適度に「いなす」動きに。無駄な動きを排除してタイヤの接地性が向上した。

フロント下部にはリップタイプのフロントアンダースポイラーを装着。より精悍な面構えとなる。


ホイールは軽量化が図られた鋳造タイプの18インチ。12本スポークがスタイリッシュに足元を装う。

リアルーフスポイラーはノーマル車のスポイラーの上に被せるタイプ。ハイマウントストップランプはノーマルのものを活かして使用する。

STIのスポーツマフラーは、65φデュアルの左右出しで、合計4本を装着。スポーティな雰囲気を否が応でも高めてくれる。

コクピットまわりは本革巻きステアリングをはじめ、ダークキャストメタリック色仕立てのコンソールパネルや、チタンカラーカーボン柄のドアトリム&グローブボックス等レーシーな佇まいを見せる。

通気性とホールド感に富んだパンチングアルカンターラと、柔らかな感触の浅シボ本革仕立てのシートは、まさにスポーティと心地よさを追求したもの。

機能を追求した専用仕様の260㎞/hフルスケールのスピードメーターを備える。

STIのロゴが奢られた赤色のプッシュエンジンスイッチは、その存在だけで充分に走りの高揚感が伝わってくる。



特別なクルマである証の「tS」ロゴはフロントグリルとリアの2カ所に、また社名である「STI」のバッジはリアに奢られる。

こちらはセダンバージョン
SUBARU LEGACY B4 2.5GT tS

今回の試乗会では、STI本社から河口湖までの往復の往路で、このB4に試乗。外観はフロントアンダースポイラーがツーリングワゴンと共通だが、トランクスポイラーはB4の専用品となる。チューニングの方向性は「Sport,Always」でツーリングワゴンと共通、「強靱でしなやかな走り」を目指している。

※記事の内容、価格、スペック等は2010年6月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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