軽快感すら感じさせる、快適なドライブフィールを体感
いつのまにかレクサスは、SUVのイメージの強いブランドになった感がある。実際、全ラインアップにおけるSUVの販売比率は非常に高く、とりわけ欧州市場では約9割にも達したというのには驚くが、それだけ秀作が揃っていることの表れでもある。
そんなレクサスSUVの頂点に位置するのがLXだ。実はもともと海外向けにはだいぶ前からラインアップされていたが、日本に正式に導入されたのは2015年のこと。ひとつ前の世代のマイナーチェンジから。その際も大いに話題となったものだ。
そしてこのほど、ランクルに続いてモデルチェンジしたわけだが、開発関係者としては、「ランクルのレクサス版」とは言わせたくないそうだ。むろんメカニズム面での共通性はそれなりに高いとはいえ、あくまでレクサスのフラッグシップSUVとして相応しく仕上げられていることは、1000万円をゆうに超える価格にも象徴される。
さらに大きくなったスピンドルグリルを備えた顔面はもとより、ボディパネルもそこまでやるかと思うほど専用にデザインされている。
インテリアのクオリティもさすがはレクサスSUVのフラッグシップだ。装備も非常に充実していて文句のつけようもない。
4人乗り仕様の〝EXECUTIVE〟の設定も、海外の超高級ブランドと肩を並べて渡り合おうという意気込みをうかがわせる。価格も凄いが中身も凄いことを、ぜひ機会があれば見てみて欲しい。
公道での試乗はまだおあずけなのだが、オンロードとオフロードを模した特設コースで従来型のLX570と乗り比べたところ、違いは想像以上だった。
新開発プラットフォームや約200㎏もの軽量化、パワートレインの搭載位置の最適化などにより基本的な素性がよくなっている上に、※AHCやAVSといったLXならではのアイテムに加えて、新型ではランクルには設定されなかった電動パワステを採用した点も特筆できる。
これらも効いてドライブフィールはラダーフレーム車とは思えないほど快適で、軽快さすら感じるほど。軽くなったとはいえ2.5トン級の車体を、これほど重々しさを感じさせることなく走らせることができているのには恐れ入る思い。レクサスのフラッグシップSUVとして相応しい仕上がりとなっている。
従来型で見受けられたゴツゴツした感覚も払拭されていて、新型は22インチタイヤを履きながらもしなやかで当たりもマイルド。
コーナリングも従来型はロールを抑えようと少々無理をしているように感じられたのに対し、新型は軽やかに回頭し、自然な印象に仕上がっていて動きが掴みやすい。
エンジンについては好みの別れそうなところ。従来型のV8の緻密な吹け上がりとサウンドも捨てがたいが、やや線の細さを感じるのに対し、新型のV6ターボの方がドライバビリティとしては上。低中速域のトルクが太く、10速に多段化したATとの組み合わせで守備範囲が広くなったことも効いている。
一方オフロードコースでは、前後デフロック等の専用装備により走破性を高めた新設定の〝OFFROAD〟をドライブした。走破性能自体は従来型だって十分すぎるほどの実力の持ち主であることをあらためて確認できたものの、新型はとにかくすべてがラク。運転しやすくて快適だ。
これには車両周辺の状況を伝える表示機能の充実や、スイッチ類が操作しやすい位置に配されたことも一役買っている。車高調整に要する時間が大幅に短縮されたのもありがたい。
決して誰でも簡単に手を出せる価格帯のクルマではないが、とにかく良いものは良い。見た目も中身もレクサスのフラッグシップSUVとして相応しい、すばらしい洗練ぶりであった。
【EXECUTIVE】
【OFFROAD】
ホイールは22、20、18の3サイズ
モデリスタからディーラーオプションがリリース
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]