プラットフォーム継続ながらも熟成が進んだ新型ステップ
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6代目となる新生ステップワゴンが5月27日よりいよいよ発売となった。2月4日から事前予約を受け付けていたが、4月末時点で約1万5000台を受注し、なかなかの滑り出しだという。近年は苦戦を強いられていたステップワゴンだが、果たして新型はシェア奪還となるのか?
プラットフォームは旧型からのキャリーオーバーとなり、ガソリンモデルもハイブリッドのe-HEVもユニット自体は旧型からのスライド展開だ。だが、いずれも細部にわたるまで刷新を図り進化したところがポイントだ。その事前情報を得ていたため、今回の試乗前に旧モデルを1000㎞以上に渡って試乗してから試乗会に向かった。今回は市街地想定のテストコースで速度をそれほど出さない環境下となるが、どこまで違いを感じられるか?
走り始める前にインテリアをじっくりと見てみると、これでもかという質感アップが感じられた。視界がとにかく広がり、死角がかなり少なくなったことがドライバーズシートでまず感じられる。シートはウレタン密度を27%アップしたことで、ウレタン厚が23ミリアップ。2列目、3列目もクッション性はかなり増しており、特に3列目の上質さは飛躍的に向上した感覚が伝わってくる。ワクワクゲートを廃止したことで、フロアを下げる必要がなくなり、シートの厚みを増すことに成功したことが大きいのだろう。フロントシートに対して2列目は40ミリ、3列目は90ミリ着座位置が高くなるシアターレイアウトを採用したほか、ヘッドレストを小型化したことで、どのシートに座ったとしても開放感は旧型よりかなり増している印象がある。2列目シートにはオットマンやシートヒーターを装備するモデルを展開するあたりは、ライバルとも太刀打ちできそうな雰囲気。前後左右スライドを与えることで、3列目を使わない時には中寄せ状態にすることで865㎜もの前後スライドを可能としている。
また、シートベルトがピラーではなくシートに埋め込まれたことで安全性が高まったところもポイントのひとつだ。さらに、スライドドアの扱いやすさも進化し、上下シーソースイッチをBピラーに備えたことで、スライドドアの開閉が振り返らずに出来るようになったところは扱いやすかった。
走ってみると視界の良さは扱いやすさにも繋がっていることが伝わってくる。カメラ頼りで動かすことなく、車両感覚が掴みやすいところはマル。ボンネットフードも適度に視界に入ってくるから、そんな感覚を得られるのだろう。
今回はハイブリッドモデルのみの試乗だったが、そこにもまた進化が見られた。フワッとエンジンが吹け上がることなく、回転を堪えながらも滑らかに加速する感覚はグッド。クランク剛性アップとクランクダンパープーリーによって5dbも低減できたというエンジンの静粛性も高い。また、ミッションのギアやモーター、ジェネレーター音なども改良が与えられ、無駄な音が感じにくくなったところも目新しい。
シャシーはタウンスピードで感じられたフロアやシート背もたれに伝わっていた微振動がかなり軽減されていた。サイドシル断面の大型化、ドア開口部に与えた構造用接着剤、リアスプリング取り付け点剛性アップなどが効いている。しなやかな乗り味は確実に熟成が進んだことが伝わる。
関心したのはステアフィールだった。シャシーが進化したことはもちろんだが、パワステも改良が施され、分解能が旧型の10倍となったことがその要因だ。切る方向と戻す方向を独立してアシスト制御できるようになったことで、オンセンター付近のフリクション感がなくスッと切り込むことが可能。戻す方向もアシストが強すぎた感覚が無くなり、ジワリと戻せるようになったところが好感触だった。
新規プラットフォームではなくとも、熟成でここまで好印象になるとは驚きだった。
【e:HEV車】
AIR WLTCモード20.0㎞/L
SPADA WLTCモード20.0㎞/L
【e:HEV車】
AIR WLTCモード13.9㎞/L
SPADA WLTCモード13.7㎞/L
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]