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日産のコンセプトは「自宅も充電をルーティンに」
「自宅の充電をルーティンに」を提唱する日産と三菱は、さまざまな充電インフラプランを用意しています。充電機器のタイプもさまざまありますので、日産と三菱ではまずはそうした機器の違いをユーザーに提示しています。次に、実際に充電器を設置するには、新車販売店を通じて地元の電気工事事業者や電力会社との間でどのようなプランが可能なのかを提案します。まずは、ユーザーの自宅の電気設備に関する現状を把握することから話が始まります。その上で、ユーザーがどの程度のコストを負担することで、どのようなメリットが得られるのかを丁寧に説明します。プランの組み合わせは、地域の電力事情によってもさまざまな違いがあることも想定されます。こうした社会実情を踏まえて、今回は日産が提案している自宅での代表的な普通充電プランのいくつかをご紹介したいと思います。繰り返しますが、状況は地域差があるためあくまでも概要であることをご承知おき下さい。
200Vコンセントタイプ
ユーザーにとってもっとも導入コストが安いのが、交流200Vを使ったコンセントタイプです。このコンセントとは、一般的に使われているさまざまな電気器具を充電するためのコンセントという意味です。
ただし、日本の場合、一般家庭では交流100Vが使われているため、その2倍の200Vに対応には電気工事が必要です。その費用については、自宅での電気関連設備によって異なりますが、工賃は10万円前後である場合が多いと言います。また、200V専用コンセントは数千円から1万5000円程度と比較的価格が低い商品となりますが、これをユーザー自身で取り付けたり、DIYで電気の配線改良をすることは法律で禁止されていますので注意が必要です。
まずは、新車BEVを購入するカーディーラーを通じて、地元の電気工事者から見積りを取りましょう。また、最近の新築一戸建ての場合、すでに200V電源を導入している場合もありますが、200Vコンセント設置についてはカーディーラーとしっかり相談しましょう。
6kWの普通充電器
200Vコンセントタイプは、スマホ充電器などでも付いているコントロールボックスがあり、それが結構大きなサイズで重さもあります。また充電ケーブルの安全性の考慮などもあり、電流は14.5A〜15Aに抑えてあります。そのため、出力は200V×15A=3000W(3kW)となっています。
これに対して、壁掛け式や自立式の普通充電器では、ケーブルにコントロールボックスはなくケーブルだけですっきりしています。また、電流も30A対応が多く、出力は200V×30A=6000w(6kW)となり、200Vコンセントタイプに比べると出力が2倍になるので、実質的に充電時間を1/2に一気に短縮できます。
ただし、こうした普通充電器の価格は設置費用を含めて30〜50万円と少し高めになります。また、200Vコンセントに比べると設置場所を選んだり、場合によっては設置の工賃がかさむ場合もあります。
そのため、普通充電の出力を上げるメリットを、ユーザーそれぞれの立場で新車販売店や電気工事者と協議することが重要です。
V2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)
サクラの開発者と意見交換していて、筆者がちょっと驚いたのが「V2H機器について、最近リーフやアリアなど日産BEVを購入者のうち約1割が購入している」という点でした。
V2Hとは、充電することに加え、場合によってはBEVから自宅側に放電(給電)する機能を持った機器を指します。
充電の出力としては、壁掛け式普通充電器などと同じ6kWですが、V2H機能があることで充電器の価格はその2倍近くに跳ね上がります。それでも、年度によっては国や自治体から購入補助金が出る場合があるため、「中長期の視点で見れば、災害時のことも考えるとV2Hは必要だというユーザーが増えている」と言います。近年、全国で豪雨災害による長期的な停電が発生したことが影響しているようです。
充電器で購入補助金が設定しているのは、こうしたV2Hタイプのみである場合が多いのです。ただし、当然ですがBEV本体の購入補助金を含めて、充電器に対しても補助金は予算がある期間での暫定措置です。
日産自動車ホームページより
著者PROFILE●桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]