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今までにない4タイプ! 予想しなかった展開
1955年に初代が登場して以来、約70年にも亘って、日本の高級サルーンをリードしてきたクラウン。「いつかはクラウン」というキャッチコピーは、そのキャラクターをうまく表していると言っていいだろう。
しかし、時代はミニバンやSUVが人気となり、セダンは各社ともに非常に厳しい状態が現在進行形で続いている。クラウンも例外ではなく、ここ最近はオーナーの平均年齢が70歳を突破しているというから驚きだ。
それゆえ、モデルの廃止も含めて様々なウワサが飛び交った。一番信ぴょう性が高いと思われていたのがセダンからの脱却とSUV化である。意表を突かれた感じで衝撃度はかなり高かったが、座して死を待つよりも的な感じで妙に納得できたのも事実だ。
そして16代目の発表会を迎える。場所は東京モーターショーも行われてきた幕張メッセで、新型モデルの発表会としては異例の広さだ。そこでベールを脱いだのが、SUV化どころの話ではなく、なんと4車形だった。
具体的にはセダン×SUVのクロスオーバー、ハッチバックのスポーツ、そしてセダン、さらにワゴン×SUVのエステートとなる。
ありがちな、ベースは一緒でボディの一部を伸ばしたり、車高を変えたりではなく、見た限りではすべて別モノ。これらをひっくるめてすべてクラウンという、想像すらしなかったことが目の前で起こったのだった。
王道の継承、そして進化へ【クラウン クロスオーバー】
新型クラウンの発表会には4タイプが登場したが、そのなかでまずはクロスオーバーと呼ばれるSUVが先行されて発売される。この点は事前のウワサ通りだ。
そのスタイルはトヨタによると、セダンでもSUVでもない、新種とも言えるもの。20歳代中心のデザイナーが担当し、固定概念に縛られることなく、自分たちが欲しいものを作ったという。「大径タイヤを履いてリフトアップしたクロスオーバースタイル」という新しいクラウンに行き着いた。また、開発担当者に聞くと「運転すると味わいはやっぱりクラウン」というから、DNAはしっかりと受け継がれているようだ。
実際のところ、SUVのエッセンスは採り入れられており、その恩恵はじつに多岐に渡る。シャーシを一新することで、大径タイヤ装着も含めたクロスオーバー化に対応。パッケージングでも、たとえば乗降性のよさや各シート、とくにリアシートのスペースは余裕たっぷりで、文句なしにくつろぎの空間をしっかりと確保している。
走りについては、まず伝統のFRを廃止しているのが大きなトピックス。衝撃的でもあるが、新時代を見据えて4WD化することで、安定した、上質感あふれるハンドリングを実現している。システム的には2タイプ用意されているが、注目なのはデュアルブーストハイブリッドシステム。2.4Lターボとモーター、さらには6速ATも組み合わせているだけに、爽快な走りに対して今から期待は大きい。
グレードは大きくわけて3タイプハイブリッドエンジンはNAとターボの2種類
人気のSUV感を大きく高めた【クラウン エステート】
クロスオーバーとともにスタイルワゴン的に注目なのがエステート、つまりワゴンだ。
トヨタ的にはSUVとも言っているだけに、従来からのセダンを延長したタイプではなくて、専用デザインならではの伸びやかなシルエットが特徴となる。その結果、メルセデスなどの海外勢が得意とするシューティングブレーク的なプレミアム感あふれるワゴンに仕上がった。大人の雰囲気で、余裕の走りが楽しめるという。
ミドルSUV!?走りの予感も!【クラウンスポーツ】
スポーツという名称からわかるように、エモーショナルな雰囲気と運転しやすいパッケージが特徴で、スポーティな走りを楽しめるという。スタイルは4ドアハッチバックで、カローラスポーツの兄貴分的な存在と言える。
実車を見るとボリュームはかなりあるので、車高を低くしたスポーツSUV的なエッセンスもミックスされた印象。
伝統継承セダンはどうだ?【クラウンセダン】
セダンについてもデザイン面で大胆な変身をとげた。新しいフォーマル表現を提案しつつ、運転手付きのショーファーカーにも応えられるキャラクターとしている。今までのハードトップサルーンを守りつつも、レクサス的なエッセンスも多く採り入れられていて、今までの保守的なクラウンとは真逆のキャラクターとなっているのが印象的だ。パトカーベースになるのかも話題になっているが、この点も今後の展開に注目したい。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]