純正との無加工換装型
アルファード&ヴェルファイア界でもブレーキチューンの注目度は極めて高く、とくに大口径を好むハイエンドユーザーを中心に人気となっているが、今年5月に曙ブレーキが発売した「AWPブレーキキャリパー」は、ガシガシイジるハイエンド系ではなく、アル&ヴェルをスマートに楽しむ過程で、なにか新しいモノが欲しいというクルマ好きを狙った新製品だ。
商品はキャリパーと、専用パッドのみ。16インチブレーキ標準のアル&ヴェルが対象で、ローターやブレーキホース等は純正を流用。装着に専用ブラケットもいらない単純置き換え型となっている。ビッグキャリパー然とした貫禄の見た目から、対向!? と思えるが、カテゴリーとしては純正の大半を占める"浮動(フローティング)式"、いわゆる片押しタイプの派生だ。詳細は別項に譲るが、内蔵ピストンの数が、1つではなく2つとなる新構造を採用した、 純正以上対向未満な、"踏んだらサッと早く効く" "効き始めと停止際が違う"、レスポンスの良さが持ち味となっている。
特筆すべきは、浮動式の弱点の1つである、"チルト"と呼ばれるキャリパー本体のわずかなブレを特許技術で抑えていること。アンカービームと呼ぶ構造により、チルトを、そしてパッドの偏摩耗を抑え、スタビリティや操縦性を高めた応答性の良さが自慢だ。
ただし注意したいのは、(ピストンサイズが純正同数で、ローターも純正であるため)オリジナルパッドを使うとはいっても、制動力に関してはあくまで純正同等であること。ラグジュアリー性の高いアル&ヴェルのキャラクターを鑑み、過度な味付けはあえて行っていないが、低ダストパッドの採用や、汚れが付きにくい粉体塗装でキャリパーを仕上げるなど、オーナーが重視する"愛車をキレイに保ちたい"という気持ちに答える、見た目のカッコよさにも大きなウエイトを置き開発されている。
ビッグキャリパーといえば、装着にあわせたホイールの選択にも注意する必要があるが、新製品は横へは広がっているものの、ホイール側への厚みの増加はナシ。バックプレートとの干渉もナシと、純正ホイールにも合わせることができる。取り付けも無加工と体制は万全だが、それもそのはず。曙ブレーキは自動車メーカーへ純正を納めるOEMで有名だが、なんとアル&ヴェル純正は曙製という。他社では知り得ないより詳細なデータを保有しており、干渉を交わすコツなどはお手の物。新作の対応に20系が含まれるのも、30と20のブレーキが同じであることを知っているから。ビッグキャリパー化を行うと冬場が問題となるが、これであればスタッドレス時でも問題なし。オールシーズンでイバれるキャリパーなのだ。
AWP BRAKE CALIPER produced by akebono
■対応:20系&30系アルファード&ヴェルファイア/フロント専用
■価格:33万円(工賃別)
■保証:3年、または6万㎞/保安基準適合品
■販売店:「GRガレージ」「アルパインスタイル」各店
安心の長期保証!
アフターパーツでは1年2万㎞といった保証も珍しくないが、新キャリパーは3年6万㎞と保証を長期に設定と、製品に絶対の自信あり。もちろん安心安全の保安基準適合品。
What’s akebono?
創業は1929年と、100周年も目前に迫った「曙ブレーキ」は、国内全自動車メーカーのほか、海外メーカーにも供給する業界の老舗。クルマに限らず、例えば新幹線「はやぶさ」のブレーキも同社製と、分野は多岐に渡る。レース用も手がけており、現在はトヨタWRCや同WEC、以前はF1のマクラーレンへと実績抜群だ。ちなみに新作ブレーキは、欧州の超高級車の純正と同じ羽生で生産される。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]