目次
先進機能の標準装備はやっぱり便利だった
千葉県のキャンプ場を拠点に開催された試乗会では、ディーゼルターボと直噴ガソリンターボを両方試乗することができた。対面した新型カングーは、まず外観をパッと見ただけでも先代より大きく立派になったことがわかる。取材当時放送されていたマクドナルドのCMにたまたま先代モデルがちらっと登場するのだが、家族が朝マックを買って仲良く旅に出発するシーンに激ハマリ。頼り甲斐が増した新型もまた、そんなシチュエーションにピッタリだなというイメージが湧いてきた。
先に試乗したのは1.3Lのガソリンターボ車。車内に乗り込むと、外観もさることながら進化の度合いを実感するのはむしろインテリアの方だと感じた。7インチのデジタルメーター、8インチのディスプレイオーディオなどは先代と比べると隔世の感すらあり、iPhoneを繋げばApple Car Playが使えるのはフツーに便利である。
では、とアクセルを踏み込むと、正直なところガソリンターボ車の発進加速は非力な印象を否めない。だが、キャンプ場の敷地を出てタウンスピードに乗ってくると、昔の自然吸気車のように回転数でトルクを積み上げるような操作に徹すればいいと気がつくと、なんだか古典的な味わいにむしろカングーらしさがあって、少しホッとした。燃費を気にしなければドライブモードでPerfo(ペルフォ)モードを選択すると、逆に過剰演出かと思うほどにレスポンスが活発に変化。7速DCTの制御もタメを作って巨体をグイグイ引っ張る変速マナーに激変する。
試乗会場の周辺が山だったこともあり、ワインディングや対向車とすれ違いにくい道も多かったのだが、カングーならばドンとこい。大きくなったとはいえ、日常的に気兼ねするほどの車幅ではないし、最小回転半径も5.6mとそれなりに小回りが効く。しかも新型はステアリングレシオが17対1から15対1と、よりクイックな設定に改められており、商用バンがベースなのに積極的にハンドリングを楽しむことができた。
さて、もう一方のディーゼルターボに乗り換えると、こちらはガソリン車でネガに感じられた出足の遅さはまったくなし。低回転から盛り上がる豊かなトルクのおかげで、とても扱いやすい。また、高速道路に乗る際は好みの速度域で巡航するもよし、周囲の交通をリードするもよし。キャンプ道具を満載して家族フル乗車という状況でもバッチリ対応できる力強さだ。
そして予想外と言っては失礼だが、アダプティブ・クルーズ・コントロールとレーンセンタリングアシストの制御が、とてもスマートなことに驚かされた。ステアリングスイッチは初めてでも直感的に操作ができて、加減速や車線中央維持支援に嫌なところもない。きっと移動が長距離になるほど実用性を肌で感じることだろう。
ということで、主に一人乗りで街乗り中心の人にはガソリンターボ車、長距離移動が多く、後席の使用頻度も高い人にはディーゼルターボ車を推したいところ。外観もグレードによって異なるので、気になる人はできるだけ最寄りのディーラーで実車を確認しつつ、ガソリンとディーゼルを比較試乗してもらいたい。
CREATIF(クレアティフ)とINTENS(インテンス)の見た目の違いは?
充実した安全運転支援システム
多彩なマルチメディアシステム
室内には便利は収納類も装備
【車両本体価格】
▷ルノー・新型カングー まとめはこちら
STYLEWAGON(スタイルワゴン)2023年6月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]