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分子結合部がスライドする環動ポリマー構造を導入 東レ、金属のように衝撃を吸収する繊維強化プラスチックを開発

  • 2018/03/23
  • Motor Fan illustrated編集部
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東レは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の伊藤耕三プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、分子結合部がスライドする環動ポリマー構造を導入した新たな繊維強化プラスチックを開発。

今回開発に成功した「分子結合部がスライドする環動ポリマー構造を導入した新たな繊維強化プラスチック」とは、分子設計に加えナノアロイ®技術を適用し、ポリマー材料へ環動ポリマー構造を導入した「しなやかでタフなポリマー」開発技術を、繊維強化プラスチックに応用したもの。繊維強化プラスチックの繊維表面に環動ポリマー構造を選択的に配置させることで、従来の技術では困難だった高強度と高靱性の両立に成功し、従来材料と比較して約4倍のエネルギー吸収性と、繊維強化プラスチックでありながら15%超の引張破断伸びを実現した。

分子結合部がスライドするポリロタキサンを、繊維強化プラスチックのプラスチックと繊維の境界面に選択的に配置することで、従来の繊維強化プラスチックでは困難だった強度と靱性の両立に成功。ポリロタキサンはリング状の分子をひも状の分子が貫通した、数珠やネックレスのような構造を持ったポリマー【上図(a)】。このリング状の分子とポリマーの分子をつなぎ合わせ、分子結合部がひも状の分子に沿ってスライドする環動ポリマー構造を組み込むことを可能にした【上図(b)】。
この技術では、ポリロタキサンの分子設計に加え、繊維表面をポリロタキサンとの親和性が高くなるよう設計することで、繊維表面に高濃度のポリロタキサンを選択的に配置することに成功し、変形時に受けた力を繊維表面で「いなす」ことによって、繊維強化プラスチックのもつ高剛性、高強度を保ちながら高靱性化を実現している。

本技術をポリアミド(ナイロン)に適用することで、材料の破断伸びは環動ポリマー構造を組み込まない場合と比較して5倍以上の15%超にまで向上し【右図(a)】、さらに箱状成形品を用いた衝撃試験では環動ポリマー構造を組み込むことで全く異なる破壊形態となり、4倍以上のエネルギーを吸収する【右図(b)】。硬さ、強度を保ったまま、これら特性を向上させた材料は、従来の、柔軟材料を添加する手法では得られなかったもの。

環動ポリマー構造の強化繊維表面への導入は、繊維強化プラスチックが持つポテンシャルを最大限に引き出せる可能性があり、自動車、家電、スポーツ用品など、幅広い分野への応用展開と繊維強化プラスチック市場の拡大が期待される。

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