質的進化が見られたJMS2025

連日大賑わいだったセンチュリーブース。センチュリークーペ・コンセプトが、今回のJMSの“華”だった。

「東京モーターショー」が「ジャパンモビリティショー」に生まれ変わったのは2年前の2023年。2年毎の開催は変わらないが、間の年(2024年)は、「ジャパンモビリティショー2024 Biz-Week」が行なわれた。入場者数の推移を見てみると

東京モーターショー時代
2011年@東京ビッグサイト   84.3万人
2013年@東京ビッグサイト 90.3万人
2015年@東京ビッグサイト 81.3万人
2017年@東京ビッグサイト 77.1万人
2019年@東京ビッグサイト 130.1万人

ジャパンモビリティショー
2023年@東京ビッグサイト 111.2万人
2025年@東京ビッグサイト 101万人

2023年と比較したら10万人減っているではないか? と見る向きもあるだろう。
前回は2023年10月26日(木)~11月5日(日)まで(一般公開は10月28日土曜日から)
今回は2025年10月29日(水)~11月9日(日)まで(一般公開は10月30日木曜日から)
で休日は前回が7日間、今回が5日間というハンデがあったし、ビッグサイトの改修工事のため東展示場で使えないホールがあった(ちなみに、東京ビッグサイトの大規模改修工事は今後も続き、全館がフルで使えるようになるのは、2027年2月中旬以降となる。そもそも東京に大型展示場がひとつしかないのが問題なのではないか?)。

筆者は、会期中5日間、JMSの会場へ赴いた。そこでは「前回以上の入場者が詰めかけているのでは?」という印象を受けた。

入場者の年齢や性別、属性についてはおそらく主催者の自工会がこれから分析するのだろうが、前回のJMSの反省点を踏まえて非常に良いイベントになったと思う。ここで言う「良いイベント」とは、多様な来場者のニーズに応えられる多様なプログラムが前回よりブラッシュアップされたカタチで提供された、という意味だ。

サプライヤーのブースも多くの人を集めていた。展示方法も内容もよく考えられたものが多かった。

従来のクルマ好きの層には、各自動車メーカーが力を入れたコンセプトカーやこれから販売する予定の次期モデルの展示に満足しただろうし、技術好きには多くのサプライヤーのブースの展示が刺さったと思う。子ども連れのファミリーにも楽しめるゾーン(Out of KidZania キッザニアなど)もあった(子供向け職業体験型施設「Out of KidZania in Japan Mobility Show 2025」体験者数:26,906 人)。モータースポーツファンにはレーシングカーなどのデモランも楽しめたはずだ。

JMSの目玉企画として前回から始まったTokyo Future Tourもだいぶ「こなれた」ものに進化していて、体験した人は充分に満足したはずだ(Tokyo Future Tour 2035:311,235 人来場)。

おそらく高年齢層向けのプログラムとして用意されたMobility Culture Program タイムスリップガレージは、意外に若者層にも受けていた印象だ。

ダイハツブースの最終日・最終のショーの様子。素晴らしかった。

最終日の夕方も会場を回ってみた。18時の閉幕前にトヨタ・グループ館(南1-2ホール)に行ってみた。センチュリーブースには、依然として多くの人が詰めかけていたし、ダイハツブースのショーも素晴らしかった。あらためて、JMSが従来のモーターショーの要素を内包しつつ、新しいショーの進むべき方向を見せてくれたと感じた。

こちらはトヨタブース。トヨタ、ダイハツ、レクサス、センチュリーの各ブースのパフォーマーがステージに集合。

トヨタブースでフィナーレの様子を見守ったが、クルマや技術だけでなく、優れた表現者たちの素晴らしいパフォーマンスで大いに盛り上がっていた。

「モーターショーはもうオワコン」と言われて久しいが、今回のジャパンモビリティショーは、オワコンではなくモビリティから始まる新しいエンターテインメントの提案として大成功を収めたと言えるのではないだろうか。会場を後にする多くの来場者の表情からも、それが感じられた。

JMSに関わった皆さん、お疲れ様でした。素敵なショーでした。2027年にまたお会いしましょう!