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ドリフトにタイムアタックに仕事の足まで
全て1台でこなせる670㎰のフルチューン
BNR34の影に隠れてしまった感が強いER34型スカイラインだが、その潜在性能は侮れない。280psのRB25DET(NEO6)を搭載し、ボディ剛性も先代のR33から大幅に飛躍している。さらに、セダンモデルなら家族グルマとしてオールマイティに扱うことが可能だ。
今回取材させていただいたER34のオーナーである坂巻さんも、そんなFRスカイラインセダンの万能性に魅かれた一人。このベイサイドブルーの個体は2台目で、ER34歴は12〜13年になるという惚れ込みようなのだ。
「JGTCで活躍していたレーシングカーや、D1GPでのむけんが乗っていたR34を見たのが好きになったきっかけです。実用性があるからと4ドアセダンを選びました。走りはもちろん、買い物や仕事まで全てこれ1台でこなしています。建築関係の仕事をしていて、道具をたっぷり載せて現場に行っていますよ」と坂巻さん。
毎日乗る通勤快速仕様のため、快適性は妥協できない。エアコン付きなのはもちろん、カーオーディオもハイエンドなインストールを施し、臨場感ある音響空間を構築している。
一方のパワースペックも抜かりなし。6年ほど前にドリフトからグリップへと転向したそうだが、「筑波サーキットでタイムを短縮するためにもっとパワーが欲しい…と思っていた矢先に、装着していたGT2530Kaiタービンのフランジが歪んでしまって仕様変更を決意。それを機に、シャフトオートサービスでフルチューン化をお願いしました」とのこと。
坂巻さんが拘ったのは、レースシーンで実績のある本格パーツを使用すること。パワーの要となるエンジン本体は、ニスモ400Rにも採用されたレイマックス2.8Lキット(RB26用)で強化。ヘッドにケルフォード272度カムやナプレックのビッグバルブ(ハイレスポンスキット)を組み込んだ上で、ギャレットGT3582 GEN2タービンをドッキング。最大ブースト圧2.0キロ時に670ps&71.8kgmと、GT-R顔負けのパワーを手に入れている。
クランク角センサーは純正を撤去。代わりに、HKSのコンバージョンキットを使ってクランク軸上に専用センサーを設け、より正確なピックアップ信号をECUへと伝達する。インジェクターはDW1000ccで、エンジン制御はLINKプラグインが担当。
「以前のGT2530Kai仕様は360psほど。ピックアップは前の方が良かったですが、ターボが効き始めてからの加速力はヤバいですね。上まで一気に吹け上がります」と話す。
溢れんばかりのパワーを受け止める環境作りにも余念はなく、ミッションはナガオテクノの3速クロスで強化。機械式LSDはカーツの2ウェイで、ファイナルギヤは幅広いステージで扱いやすいように4.1を組む。
足回りは、ジールファンクションの別タンク式車高調とハイパコのスプリングでセットアップ。スプリングレートはフロント14.3kg/mm、リヤ11.6kg/mmだ。さらに、イケヤフォーミュラのピロ調整式アームに変更してアライメントを最適化する。
ユーラスのタイプRワイドボディキットやカーボンリップスポイラーで迫力を増したエクステリア。シャフトオートサービスのカーボンボンネット&トランクも装着するが、ボンネットの一部を残してボディ同色にペイントした。ホイールはエンケイNT03RRの18インチ(F:8.5J&R:9.5J)で、タイヤはポテンザRE-71R(F235/40−18&R265/35−18)を組み合わせる。
「目標は、快適装備付きの車検対応スペックで筑波1分切りです」と、大幅なアップデートが完了したばかりの愛車を前にやる気満々な坂巻さん。
普段乗りは快適なのに、ひとたびアクセルを踏み込めばアッという間にライバルを点にできる。そんな「羊の皮を被った狼」的な仕上がりに憧れる人も多いのではなかろうか。
●取材協力:シャフトオートサービス 東京都八王子市鑓水2129-1 TEL:042-677-3915
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