「往年のマークIIバン&ワゴンも立派なチューニングベースなんです!?」2台のエンジンスワップマシンを捕獲!

マーバンの可能性は無限大だ!

70系カローラやAE86を中心に、ドリフトできるマシンメイクやエンジンスワップなどを得意としている岐阜県岐阜市の“motorFIX(モーターフィックス)”。AE86は言うに及ばず、旧車全体が高騰する中、いじるベースとして今注目しているのがGX70型マークIIバン&ワゴンの通称「マーバン」だ。代表の堺 望さんと奥さんが個人的に所有する2台のマークIIワゴン改バンを、ある意味、実験台として実現されたエンジンスワップ。それはV8の1UZ-FE型と、横置き用直4の3S-GE Beamsの縦置き搭載という、どちらもハードな内容だ。だが、その弛まぬトライ&エラーこそが、走って遊べるマーバンの新たな扉を開く。

1UZ-FE型V8換装仕様

過去に70系カローラでの1UZ換装は経験があったモーターフィックス。X70マークIIバンへの換装にチャレンジすることになったのは、ちょっとした偶然がきっかけだった。

「神奈川県のS&Aオートクリエイトさんから、引っ越しを機に不要になったエンジンとミッション、専用のベルハウジングを譲っていただくことになったんです。以前からマークIIバンのV8スワップは構想していたので、渡りに船でした」。

ATの設定しかない1UZをMT化するには変換アダプターを使うか、ベルハウジングそのものをどうにかする必要があるが、今回使用したのはタイのメーカーが製作した鋳造品で、専用のフライホイールも付属されたものだった。

また、過去の経験から重量のある1UZを載せると、エンジマウントへの負荷が大きいことも分かっていたので、R32型スカイラインGT-R用のニスモ製を流用した強化型マウントを採用している。

トランスミッションはトヨタ車ではポピュラーなアイシン製のW57型5速MT。5速ギヤのみハイギヤード化して、高速のクルーズ性能を確保した。

エンジン制御にはUZS131型クラウンの純正ECUを流用。画像は1UZ純正の油圧ファン(エンジンに油圧ポンプを装備)を制御する別体のファンコントローラー。

ストレートなテールを採用したステンレス製60φマフラーを装備。中間パイプにはノア・ヴォクシー純正を流用しており、コスパに優れたエキゾースト環境を実現している。

アメリカでは「P-type」と表現されるトヨタの純正ホイール。日本での設定は15インチのみだったが、アメリカにはこのマシンが装着している14インチが存在し、ディスクがほんの少しコンケイブしているのも特徴。見る人が見れば分かる、ちょっとした差別化ポイントだ。

パッと見でエンジンスワップ車両と気づかれない自然なインストールを実現しており、これぞスリーパーという印象。下からモリモリ湧き出るトルクで痛快な走りを実現する、高速ワークホースへと生まれ変わったのだ。

3S-GE Beams換装仕様

3S-GEビームス換装仕様は、横置きエンジンを縦置きに変換し、アルテッツァのトランスミッションや各種補機を流用したバージョン。V8よりコンパクトな直4コンバートだが、結果的にはよりチャレンジングなエンジンスワップとなったそうだ。

「ST202型セリカを1台ストックしてあったので、いつかマークIIバンで挑戦してみたかったんです。1Sのマウントを流用すると割と簡単に載るという噂も聞いたことがあったんですけど、いざやってみると違うことだらけでしたね(笑)」。

セリカやMR2に搭載されていた横置きの3S-GEを利用できれば、エンジンスワップの幅が広がるかと挑んだが、インテークマニホールドは縦置き化に伴って取り回しの方向を変えるため、フランジから先を切り離し、上下を反転させて溶接し直すという難工事を実施。その他にも意外と手数がかかることが分かった。

エアコンのコンプレッサーなどもアルテッツァから流用。ECUはドナーのST202がAT車だったため、別途SW20型MR2のMT用を調達して流用している。

ミッションは、アルテッツァに採用されるJ160型の6速。堺さん曰く「トヨタはシフトレバーのリテーナー(台座)やプロペラシャフトの設定が無限にあるので、根気よく探せばぴったり合う物を見つけられます」とのこと。GX70の純正位置とほぼ変わらない場所にシフトレバーを設定できる。

4本揃えるのが逆に難しい、純正の14インチ鉄チンホイールを綺麗に塗装して装備。スペアタイヤ用などからかき集めたそうだ。ちなみに、4輪に備わるマッドガードもマークII純正品だ。

純正載せ換えで200psと、しっかり違いを体感できる速さを得られるため、やはり魅力ある選択肢であることに違いはない。なお、この車両は元々1G-FEを6速MT化して走らせていたそうだが、それにも勝るパンチと操る楽しさを実感できるとのこと。6発から4発への換装だとデチューン感もあるが、乗るとそんなことを一切感じさせない実力こそ、マーバンの新境地と言えるだろう。

Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI

●取材協力:モーターフィックス 岐阜県岐阜市石谷429-14 TEL:058-235-7776

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