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ラジエターとインタークーラーはグループA用の本物!?
LINK制御で電子制御スロットル化も実現
19歳で初めて手に入れ、4台のDR30を乗り継いだ小松さん。2.1L+TO4E仕様だったFJ20ETは歴代DR30に搭載され、最後はTD06-25G仕様まで進化した。その後、BNR32、BCNR33、BNR34とGT-Rオーナーになったが、20代の頃に乗っていて一番楽しかったDR30へと再び戻った。
「高校生の時、富士インターテックをテレビで観て。DR30の印象が強烈でした。グループAというとBNR32のイメージが強いと思いますけど、僕はDR30なんですよ」と小松さん。
自身5台目となるこのDR30はRS。始めはNAキャブ仕様で乗っていたが、高校生の頃から憧れていたグループAマシンをストリート仕様として再現したいと思い立った。
知っての通り、グループAマシンは最終型ターボCがベースだ。そこで、まずはフロントエプロンパネルをインタークーラーダクト付きのターボC用に交換。小さな違いだが、マニアにとって重要なポイントだ。また、外装で言えばワークマイスターM1を選んだことにも小松さんなりの理由があった。
「以前は16インチのSSRフォーミュラメッシュでしたけど、インナーリムにクラックが入るなど耐久性が低かった。そこで似たようなデザインのワークに交換したんです。17インチにすればグループAの雰囲気も出しやすかったので」。
また、グループAと言えば当然、ターボエンジン。そこで、仲間から譲り受けて手元にあったターボC用FJ20ETに換装。排気量2.0LのままHKS製カムとTD05Hタービンを組み、燃料系や点火系も強化された。
注目は、LINK G4Xでのフルコン制御と電子制御スロットル化。40年以上も前に設計されたFJ20ETに現代のパーツと技術を投入と言えば聞こえはいいが、実はその理由が切実だったりする。アクセルワイヤーやエアレギュレータ、AACバルブなどの純正パーツがすでに製造廃止になっているからだ。「それと、アンチラグをやってみたいというのも理由の一つです」と小松さんは言う。
その言葉通り、スロットルにはボッシュ製60φ電子制御式を導入。インマニに装着された圧力&吸気温センサーやイグニッションコイルはKTD製を使用する。また、点火系ではディストリビューターの中身をSR用に組み替え、トリガープレートも目の大きいものに交換して高回転域での追従性を高めている。
一方、ラジエターとインタークーラーはまさにお宝パーツと言える、当時のグループAマシンで実際に使われていたものを装着。いずれも横長のコアを持ち、インタークーラーの上にラジエターを重ねる独特なレイアウトが採用される。
ステアリングホイールとシフトノブが交換され、1DINサイズのオーディオが装着されるくらいでほぼノーマル状態を維持するインパネ周り。メインメーターをLINKダッシュディスプレイに置き換え、車両情報を一括管理することで追加メーターが不要になった。ジェネシスオートのキットを使い、パワーステアリングの電動化が図られているのもトピックと言えよう。
足回りにはR31ハウスMスペック車高調をセット。フロントはハブをR31用に交換し、テンションロッドはD-MAXのシルビア用、ブレーキキャリパーとローターはRPS13用を流用する。
リヤサスはロワアームをR31用に交換。ファイナル比はNA純正4.1のままで、ドライブシャフトもR31用B90D90を使用する。マフラーは当時物のHKSリーガルだ。
車高を落とすとオイルパンと路面のヒットが心配のタネになるDR30。小松さんはオイルパンをワンオフ製作して路面とのクリアランスを稼ぎ、さらにリンク交換でスタビライザーの位置を下げることでもオイルパンを保護する。サスペンションメンバーも短縮補強済みだ。
ノーマルの雰囲気を壊さないよう現代の技術をフルに活用し、飽きのこないチューニングを存分に楽しんでいる小松さん。それでも、6速MT化やエンジンルームの見栄えを考えた社外エキマニへの交換、ラジエター&インタークーラーへの導風板追加、ボンネットとトランクのFRP化など、まだまだやりたいことは山積みだ。
「このDR30が“アガリの1台”だと思ってます。同時に“走る実験室”でもあるので、今後もあちこち手を掛けていきますよ。憧れは…レイトンハウスカラーにすることですかね」。
まだまだ進化は止まりそうにないDR30。その原動力は10代の頃から変わらず抱き続けてきた、グループAマシンに対する小松さんの強い憧れにあるのだと確信した。
OWNER:小松義典
●取材協力:小松モータース 山口県宇部市大字西岐波2323-3 TEL:0836-51-9657