「600馬力のアウディTT RS、420馬力のゴルフR！」輸入車の真価を引き出すプロショップの調律術

エンジン本体ノーマルでも驚異的な速さ！

ハイパワーでも驚異的な扱いやすさ

ユーザーのニーズに合わせた『セレクトショップ』をコンセプトに、輸入車のカスタマイズを展開している“ジェイファクトリー”。今回、輸入車のパフォーマンスを披露すべく用意してくれたのは、フォルクスワーゲンゴルフ7RとアウディTT RSクーペの2台だ。

ゴルフ7Rは5ドアハッチバック、TT RSは2ドアクーペとスタイルは異なるが、どちらも共通のプラットフォームにフルタイム4WDの駆動方式を採用した2卵生双生児とも言えるモデル。異なるのはエンジンで、ゴルフRの2.0L 4気筒ターボ（CJX型）に対し、TT RSは2.5L 5気筒ターボ（DAZ型）を搭載している点だ。

ちなみに、ノーマルの最高出力はゴルフ7Rが310ps、TT RSが400psだが、両者のポテンシャルを引き出すための策としてジェイファクトリーが選んだのが、米国APRのパーツを中心としたオリジナルプログラム。

APRでは補機類はノーマルのままECU書き換えのみで潜在能力を引き出すステージ1、エアインテークとマフラーなど補機類を変更するステージ2も選択できるが、ジェイファクトリーのゴルフ7RとTT RSに導入されたのは最強のステージ3だ。

ゴルフ7Rから見ていく。422ps＆53.9kgmを発生させるエンジンは、本体ノーマルのままAPRのステージ3メニューで補機類を高効率化。タービンもAPRのDTR6054に変更する。それら高性能パーツの能力をフルに発揮させるECUチューンは、ネット経由でOBD2ポートから直接ECUにアクセスできるAPRの特許技術だ。

同様の方法でミッションコントロールユニット（TCU）も最適化され、シフトスピードが向上。タービン交換に合わせたシフトポイントの変更も行われている。さらにジェイファクトリーでは、許容トルクを高めるべくクラッチの油圧アップも実施している。

車高調は米国のレーシングサスペンションメーカーMCSの減衰力2ウェイ調整式で、スプリングレートは柔らかめとしている。リヤ挙動の改善のためサブフレームマウントのリジッド化とトレーリングアームのピロブッシュ化もポイントだ。

さらに駆動系では、米WAVETRACK製のLSDを装着。ゴルフ7RはXDS（コーナーでの加速時にイン側のブレーキを作動させ、疑似的なLSD効果をするシステム）が装備されているため、ブレーキの負荷がネックとなるが、このXDSをキャンセルしつつトラクションを得るための策だ。

ブレーキはフロントにエンドレスMONO6キャリパーを投入。ホイールはボルクレーシングZE40（8.5J＋43）で、タイヤはトーヨーのプロクセスR888R（245/45-18）を合わせる。

一方のアウディTT RS。横置き直列5気筒のDAZエンジン本体はノーマルで、TTE700タービンやエアクリーナー、インテークパイプ、インタークーラーなど補機類をAPR製に変更。980ccの大容量ポートインジェクターも含め、APRのECUチューニングプログラムにより596ps＆72.3kgmというスペックを引き出す。マフラーはジェイファクトリーがプロデュースするドイツのiromを装着し、効率的な排気環境を整えた。

足回りはVERKLINE製の前後サブフレームとフルアームを投入し、安定志向の純正サスジオメトリーをスポーツ方向へ適正化しつつ剛性アップを図る。さらに、前後メンバーをパイプ製のフルピロタイプに変更。車高調はオーナーの希望でオーリンズ製が選択された。こちらもゴルフ7R同様に米WAVETRACK製のLSDを装着。ブレーキ負荷を減らしつつ、トラクション向上を狙う。

試乗インプレッションを担当した佐々木雅弘選手は「驚いたのはTT RSの速さで、マフラーサウンドも含めてまるでR8に乗っていると思うほどの加速感。4WDとのバランスも良く、ブレーキも安定しているので600psが使い切れるのが素晴らしいね。ゴルフRはクルマを動かして楽しむというより、4WDも含めた絶対的な安心感を生かして走る特性でした」と評価。

製作を担当したジェイファクトリーの横塚さんは「TT RSはストリートからサーキット走行までを想定してセットアップしたユーザーカーで、ほぼ同仕様のマシンが今年のAttack筑波で58秒台を記録しています。ゴルフRはストリートでの快適・快速を目指したデモカーですが、ゴルフ7は中古車も豊富で価格も手頃、パーツもたくさんあるのでベース車両としてお勧めです」と語る。

ゴルフ7Rはストリートメインの快速マシン、TT RSはサーキットまでをターゲットとしているが、高速ワインディングでの走りはどちらも我々の想像を遥かに上回るもの。国産フルチューンと言えども、ナメてかかると痛い目に遭いかねない。

●取材協力：ジェイファクトリー 群馬県みどり市笠懸町阿左美972-1　TEL：0277-77-0588

【関連リンク】
ジェイファクトリー
http://www.jfac.co.jp

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