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スポーツカーとしての素性はBNR34と同等以上
ノーマルライクな雰囲気ながら650馬力のハイチューン仕様
時は1995年1月、場所は東京オートサロンが開催されていた晴海の東京国際見本市会場。そこで正式発表されたのが、BCNR33スカイラインGT-Rだった。それまで自動車メーカーがチューニングカーのイベントで新型車の発表会を行なったという前例はなく、非常に画期的な出来事だった。
RB26DETTを搭載し、アテーサE-TSで駆動するパワートレーンは基本的にBNR32と変わらなかったが、ブレーキはグレードを問わずブレンボ製キャリパーが標準となり、VスペックのリヤデフにはアクティブLSD(と協調制御されるアテーサE-TSプロ)を採用。ボディはBNR32に対して全長で125mm、ホイールベースで105mm、車重で50kgほど大型化したにも関わらず、走りのパフォーマンスは確実に向上していた。
それをよく表していたのが、カタログやCMなどで謳われた『マイナス21秒ロマン』というキャッチコピー。全長20.8kmのニュルブルクリンク北コースで、BNR32のタイムを21秒上回る7分59秒をマークしたのだ。
ちなみにBNR34もニュルに挑んでいるはずだが、日産はそのタイムを公表しておらず、確認できたのは後にニスモが手掛けた限定20台のコンプリートカー、Zチューンが記録した7分54秒のみ。これはあくまでも推測だが、BNR34はBCNR33のタイムを超えられなかった…と考えるのが妥当だろう。なぜなら、それ以外に日産がタイムを公表しない理由など見当たらないからだ。
第二世代GT-Rとして、BNR32から大きな進化を遂げたBCNR33。ここで紹介するのは名門“オーテックツカダ”が仕上げたストリート&サーキット仕様。オーナーの馬場さんが言う。
「19歳の時に初めて買って、実はこれが2台目なんです。1台目は2.7Lのニスモルマンタービン仕様、今のは2.8LでGCG製タービンを組んでます。走りに行くサーキットは菅生と本庄。家族ができたので、今は年に3回くらいのペースですね」とのこと。
BCNR33を購入したということは当然、BNR32やBNR34も候補に上がっていたはず。そう思って尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。
「検討したのは中古のZ33です。今では考えられませんが、15年ほど前はBCNR33が大体150万円、Z33が200万円くらいでした。丸みを帯びたスタイリングが好きで、GT-Rなら33しかない思っていたので、32や34は全く頭になかったです」と馬場さん。また、BCNR33と並行して過去にはFD3SやEK9などを所有し、今はEK4とJB23が手元にあるという。
外装は、ニスモバンパーとボディ同色に塗られたカーボンボンネットに交換されるくらいで、ノーマルに近い雰囲気を漂わせる1台。
それでいながら、ボンネットの下にはATTKDチューンのRB26DETTを搭載している。HKS2.8Lキットの中でも、レスポンスを重視したSTEP ZEROで排気量を拡大。カムシャフトはJUN(IN/EX280度、10.5mmリフト)、タービンはGCG製GT2860R-2がツインで組まれ、ATTKD Vプロエアフロレスシステムで制御される。ストリートではブースト圧を1.5キロ以下に抑えているが、最大1.8キロでピークパワーは650psに達する。
ATTKDオリジナルチタン美響マフラーを装着。メインパイプ径90φで排気抵抗を低減するのはもちろん、大幅な軽量化にも貢献する。また、チタン材特有の乾いたエキゾーストサウンドを奏でるのも魅力の一つだ。
ロールケージを組み、ステアリングコラム上にシフトタイミングランプ、ダッシュボード中央にHKSサーキットアタックカウンターをセット。サーキット走行に備える。メインメーターは320km/h、1万1000rpmフルスケールのニスモ製に交換。ブースト圧制御はHKS EVC6が担当する。
ホイールは10.5Jプラス15のレイズTE37 SAGA。そこに295/30−18サイズのディレッツァZⅢを組み合わせる。足回りはATTKDオリジナル車高調を軸に、アームやリンク類も交換した仙脚サスペンションシステムのフルキット仕様。ブレーキもフロント8ポット、リヤ6ポットキャリパーと355mmローターで構成されるATTKDオリジナルで強化。
バブル景気が崩壊した時代的背景もあって、販売台数はBNR32の4割弱となる1万6400台に落ち込んだBCNR33。拡大した全長やホイールベース、1.5トンを超える車重などが、どうしてもマイナス面として取り上げられがちだ。
しかし、走りや速さの面では確実にBNR32を上回り、ステージによってはBNR34が相手でも互角以上に渡り合える。それがBCNR33の実力であり、真実でもあるのだ。
●取材協力:オーテックツカダ 長野県長野市大豆島5862-1 TEL:026-221-3086
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