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シェイクダウンを兼ねたアタックで1分4秒台に到達!
スポーツカーとしての素性は先代を大きく凌駕
本格的なデリバリーが開始され、いよいよ幕を開けた“GR86&BRZ”チューニング。そんな中、HKSの旗艦店である“HKSテクニカルファクトリー(以下HKS-TF)”が早くもデモカーを筑波サーキットに持ち込んだ。
今回はデータ取りの意味合いが大きく、「ハードなチューニングというか、究極を望むような仕様はHKS本体に任せようかなと。我々はお客様に直接触れる立場ですので、ユーザーライクな仕様からステップアップしていって、血の通った提案やアドバイスができるようにしたいんです」とは、HKS-TFの菊池さん。
その言葉通り、筑波サーキットに持ち込まれたGR86は、吸排気環境をHKSのスーパーエアフィルターとハイパワースペックLIIで最適化する程度に留め、あえてライトなチューニングアプローチとしているのがポイントだ。
車高調はHKSの最新ラインナップであるハイパーマックスSのプロトタイプをインストール。スプリングレートはフロント5.5kg/mmのリヤ7kg/mmの設定で、車高はフロントがHKS推奨値、リヤはそこからさらに10mm落とした状態となる。
現状でチューニング指数が高いと言える唯一のポイントがブレーキだ。これはエンドレスがGR86用として開発を進めている製品(2022年発売予定/予価56万9800円)で、フロントが6ポットキャリパー+340mmローター、リヤが4ポット+326mmローターという組み合わせ。パッドはストリートユースを想定したSSMプラスをセットする。
ホイール&タイヤは前後同一サイズで、9.5Jプラス45のアドバンレーシングRS-DFとアドバンA052(255/35−18)のコンビだ。なお、GR86で255以上を履く場合にネックとなるリヤフェンダーの干渉だが、HKS-TFでは潔く当該部分をカットして対応。キャンバー角はフロントがネガ3.2度、リヤがネガ2.2度の設定としている。
シートはホールド性が高いレカロのSR-7に交換。リヤシートや内張りなど、内装パーツは全て残されており軽量化は一切行われていない状態だ。この辺りもユーザーフレンドリーというコンセプトに則ったポイントと言える。
こうした仕様で挑んだ筑波サーキットテスト(12月9日)。セッティングがまだ煮詰まりきっていない状態だったにもかかわらず、なんと1分4秒240をアッサリとマークしたのである。
ドライバーを務めた菊地靖選手は「2.0Lターボ車レベルの速さですね。リヤがロールしていってオーバーが出るような状態だったので、リヤを固める方向でセットアップしてもらいました。先代よりパワーもトルクも出ているのでオーバーになりやすい印象です。リヤをさらに硬くして、車高をもう少し落とせばもっとタイムが出ると思いますよ」とコメント。
タイムだけを追求するのであれば、ファイナル変更などで4秒切りも可能だったかもしれないが、それは今回のテスト趣旨とは異なるもの。次なるメニューは、HKSのエアロキット追加や新型アドバンネオバAD09の投入などで、HKS-TFのGR86チューニングはユーザーの一歩先を行くレベルで進行していく予定だ。
「ウチは良いものであればHKS以外のパーツも使っていくスタンスです。駆動系やアームなどは他メーカーさんが力を入れていますしね。その辺りのパーツはリリースされたらいち早く取り付けて、エンドユーザーに情報提供できるようにしていきたい。“市販パーツで組んだお手本仕様”が理想です」とのこと。
なるほど、HKS-TFのデモカーはあくまでユーザー目線で、スキル問わずに走りを楽しめるGR86が目指す頂というわけだ。
PHOTO:金子信敏
●取材協力:HKSテクニカルファクトリー 埼玉県戸田市美女木5-2-8 TEL:048-421-0508
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HKSテクニカルファクトリー
https://www.hks-tf.co.jp