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効果的なパーツチョイスで色褪せない魅力を放つ和製スーパーカー
名門ショップの二代目が受け継いだチューンドNSX
1991年にオープンした“アドバンス”。車種を問わず、ストリートとサーキットを両立するチューニングを得意とする名門だ。1996年に、Dai(稲田大二郎)所有のNSXを使ったOPTION本誌とのコラボ企画を担当していたこともあり、この頃からNSXに力を入れたチューナーとしての地位を確立。
そんなアドバンスに転機が訪れたのは2010年6月。先代代表の新堀進氏が仕事中に心筋梗塞で倒れてしまい、帰らぬ人となってしまったのだ。そこで、アドバンスは先代夫人が代表を引き継ぎ、息子の将大さんが“ショップの顔”として立つカタチで同8月から再開。2011年には店舗を現在の場所に移転し、NSX以外の車種も積極的にチューニングするようになった。
RUF・CTRのイエローバードで全身を覆い尽くしたこのNSXは、言わば先代の忘れ形見。現在は、将大氏がその手綱を握り、偉大なる父親の幻影を感じながら、新たな道を模索している最中だ。
搭載されているC30Aは、戸田レーシングの強化ムービングパーツで3.1Lまでスープアップした腰下に、全域でのパンチ力アップを狙ったフルチューンヘッドおよび6連スロットルシステムをセットするスペシャルだ。ヘッドにも戸田レーシング(Pri250度 Sec295度 Mid250度)のハイカムが投入され、F-CON Vプロによる綿密な制御で348ps/35kgmというスペックを獲得している。
補機チューンに関しても抜かりは無く、電動ポンプ式のツインオイルクーラーや大型コレクタータンク、大容量オイルパンなど高出力を安定発揮させるチューニングを全方位に展開している。
排気環境は上流からフジツボEXマニ→フラットアウトスーパーメタルキャタライザー→フラットアウトチタンGTマフラーという組み合わせ。なお、アドバンスでは2タイプのマフラーをラインナップしているが、チタンGT=効率重視、ステンレスGT=音色重視となっている。
そんな至宝のユニットを受け止める足回りは、各部をピロ化した上で、エナペタルベースのオリジナルダンパーにハイレートのアイバッハスプリング(F15kg/mm R19kg/mm)を組み合わせた富士スピードウェイ用セットアップとなる。そこに、潰しやすく荷重もかけやすい前後17インチという、ハイトの高いアドバンA052を合わせている点は特徴的だ。
「自走でサーキットへ行き、タイムアタックをして自走で帰ってくる」ことがコンセプトのため、ナビやオーディオなどの快適装備は残したまま。先代が15年をかけて完成させたマシンだが、大切に乗られていることが強く印象付けられる室内だ。追加メーター類は装備しておらず、車両情報はデフィのスポーツディスプレイFにて一元管理を行なう。
ミッションを後期NA2の6速MTに換装し、1〜5速をクロスレシオ化。ATS製の4.4ファイナルギヤとの組み合わせで、富士スピードウェイのコーナーに合うようなギヤ比にセットされている。
一方のエクステリアは、マルガヒルズのリヤフェンダーおよびを、サード製のGTウイングFUJIを除くエクステリアの主要パーツは、全てオリジナルのフラットアウトで統一。
「足回りは富士スピードウェイに合わせた固めのセッティングですが、ナビやオーディオも装備して、通勤にも使えるし、サーキットでタイムアタックをして自走で帰ってこられる、そんなクルマですね」とは将大さん。先代の意志を受け継いだ、ショップの理念そのものと言えるスーパーチューンドだ。
●取材協力:アドバンス 横浜市都筑区池辺町3947-1 TEL:045-932-0656
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アドバンス
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