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マルチなマシンメイキングのノウハウが光る!
ドラッグ仕様ベースの異色タイムアタックGT-R
RH9にも所属する名門“アートテック花塚”が製作したBCNR33の登場だ。聞けば、元々はドラッグレースで使用されてきた個体をサーキット仕様へとリファインしたものだという。大幅なリメイクを経て仕上げられたこのチューンドの目標は、富士スピードウェイのホームストレート300km/hオーバー、タイムは1分43秒と設定されている。
心臓部のRB26DETTは、HKSのキャパシティアップグレードキットステップIIIで排気量を2.8Lへと拡大。その他、燃焼室やポート加工なども徹底的に行われている。
組み合わされるタービンは、ハイフロー加工を施したHKSのGT3037Sツインだ。これにより軽く1000psを超えるピークパワーを誇っていたが、現在は装着パーツをそのままに850psへとセッティング変更。サーキットで使い切れるハイパワーを維持しつつ、扱いやすい特性を持つタイムアタック仕様にリメイクしたのだ。この辺りのメイキングは、ドラッグとサーキットの両方を熟知していなければ到底成し得ないものだ。
助手席側のヘッドライトを加工して通風孔を作り、フレッシュエアをタービンへとダイレクトに送り込む。これだけでも、凄みを感じさせる雰囲気を醸し出している。なお、エクステリアはトラストのフロントリップを装着したシンプルメイクだ。
排気系はHKSの加工EXマニから始まり、フロントパイプ、マフラーまでワンオフにて製作。吸気系はトラストの大容量サージタンクや4層インタークーラーが投入される。しっかりとパワーを引き出せる吸排気パートに仕上げているわけだ。
ブレーキはRH9のキット(Fブレンボ8ポットキャリパー+380mmローター R4ポットキャリパー+355mmローター)を装着し、ハイパワーを確実に受け止めるスペックを実現。
サスペンションはHKSのハイパーマックスMAX IV(F12kg/mm R10kg/mm)で、前後の機械式LSD(F:クスコ1.5WAY R:ATSカーボン2WAY)と合わせて、トラクションを積極的に稼ぐセットアップが施されている。
フロアカーペットを剥いだ鋼鈑剥き出しのインテリアは、センタークラスター部にオートメーターのタコメーター、トラストの各種追加メーターを集中的に配置。快適装備品は一切なく、速さのみを追求する割り切ったスパルタンな仕上がりだ。ミッションはHKSのシーケンシャルドグ、ファイナルは4.1の設定。
パーツ構成を変えずとも、セッティングとアイディア次第でどんなシチュエーションにも対応させる技。アートテック花塚がトップチューナーたる所以を強く感じさせてくれるドラッグ改タイムアタック仕様だ。
●取材協力:アートテック花塚 栃木県那須塩原市上厚崎324-8 TEL:0287-62-3218
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アートテック花塚
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