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心臓部は2JZ改T88-34Dタービン+NOS仕様!
1100馬力にも対応する強化ATドラッガー
「ATでドラッグに挑戦する」ことに拘り続け、JZX100マークIIで10年以上戦い続けているオーナーカーの登場だ。0-400mのベストタイムは9秒042。シームレスのAT仕様とはいえ、尋常ではない速さを持つモンスターマシンである。
心臓部は2JZ-GTEに換装した上で、HKSの鍛造ピストンやライジングのH断面コンロッドなどで内部を徹底強化。レブリミットは9000rpmに設定し、さらに圧縮比をノーマルの8.5:1から9.5:1へとハイコンプ化してレスポンスも高めている。このパワーユニットを製作したのは2JZチューンを得意とするマテリアルオート。1000馬力を想定したメイキングが施されている。
インテークはトラストのサージタンクにナプレックの100φスロットルの組み合わせ。メインのインジェクターはデンソー製の1000ccを使用し、ポンプなどの燃料系も強化される。
選択したタービンはT88-34D。このビッグシングルに最大ブースト2.2キロをかけて回し切るのである。ブーストコントロールはHKSのEVCを使用し、エンジンはF-CON Vプロで制御している。もちろんATの強度限界を確認しながらセットアップされるため、通常よりも手間がかかっているという。
さらに出力を上乗せするためにウエットショット式のNOSも追加。オリジナルのセッティングで、約300馬力のアドバンテージを発揮する。噴射タイミングはフルオート/マニュアルの切り替えが可能で、全噴射時のトータル出力はなんと1100馬力に到達している!
そしてミッション。ノーマルのATでは1000馬力に耐えられるわけもなく、強化ATで有名なシュヴェーレンに協力を仰いでスペシャルの強化ATを開発。
走行データを取りながら、クラッチの滑りや油圧の変動などを完全把握する作業は決して簡単なことではなかったそうだ。そこには、シュヴェーレンとオーナーの並々ならぬ執念と努力があったことは容易に想像が付く。
また、このマシンはボディの作り込みも見どころのひとつだ。1プライのサブライブ製ドライカーボンボンネットをはじめ、トランクやドラッグウイングなど超軽量パーツも目白押しだ。
リヤフェンダーは275のラジアルを履くために20mmのワイド化を敢行。そして8秒台に迫る超絶マシンのため、ブレーキ用パラシュートも装備する。タイヤはプロコンプクラスの中では少数派のストリートラジアルを装着しているのもポイントだ。足回りはオリジナルのアラゴスタ車高調でスプリングレートはフロント6kg/mm、リヤ4kg/mmの組み合わせだ。
一方の室内は、ストックのダッシュボードを使用しながらスタックメーターなどをシンプルに配置。エンジンストール時にメーターがリセットされることを防ぐため、セルスイッチをセンターに移植している。
AT仕様の限界突破に挑戦するJZX100マークII、いやはやハンパではない。(OPTION誌 2005年11月号より抜粋)
●取材協力:マテリアルオート TEL:042-798-1435
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