「FD3Sとは思えない圧巻のシルエット!」RE雨宮のスーパーロータリーコンセプトを振り返る

業界に衝撃を与えた“幻気-7”という超大作

独創。このスーパーロータリーチューンドには、まさにその言葉がピタリと当てはまる。2009年の東京オートサロンに登場した“幻気-7”、RE雨宮の叡智を結集して作り上げたそのメイキングは今見ても刺激的で感動的だ。(OPTION誌2009年3月号より抜粋)

心臓部はタイムアタック号と同等のハイスペック仕様

ロータスエリーゼ風のシャープなヘッドライトを軸に再構築されたフロトセクション、前後ホイールを大胆に覆い隠すエアロスパッツとエッジの効いたキャラクターラインによって華麗に描かれたサイドシルエット、そしてオーバーハングが詰められ別物に生まれ変わった圧巻のリヤプロポーション。その装いは、FD3SにしてFD3Sにあらず。言うなればイマジネーションの塊、まさに傑作だ。

寸法はFD3Sが全長4285mm×全幅1760mmなのに対し、幻気-7は4294mm×1976mmと大幅なワイドトレッド化が図られている。

「納得するまで何度も造形をやり直してこのカタチに辿り着いたんだけど、かなり良い感じでまとまったと思うよ。まっ、ホイールカバーについては好き嫌いがあると思うけどさ!」とは、製作総指揮をとった雨さん。

そんな雨さんの拘りは、パワーユニットにまで及ぶ。内部のムービングパーツ類は全てFD3S純正だが、アペックスシールだけはシングルターボ化に合わせてオリジナルの強化3ピースにスイッチされている。

また、重要な冷却パートも、3層式のインタークーラーとアルミラジエターをVの字(レベルマンD1スペック)に配置した上で吸気経路を作り直し、高出力を許容できるクーリングレイアウトを構築。ここまでのハイスペック仕様ながら、純正触媒部にSDコンバーターを配置した完全合法仕様というから恐れ入る。

タービンはTD07S-25G。EXハウジングはサイドポート仕様との相性が良い21センチをチョイスしている。組み合わせるウエストゲートは、50φでステンレスハウジングとヒートインシュレーターを持つトラストのタイプCだ。最大ブースト1.1キロ時に460psを発揮する。

ちなみに、これら一連のパワーチューニングは、近年のRE雨宮デモカーに必ずと言っていいほど採用されているメニューなのだが、その理由は“どんなシチュエーションでも安定して速いから”に他ならない。2002年に、筑波で56秒862を叩き出して他のエントラントに衝撃を与えた伝説のチューンドロータリー『RE雨宮・風林火山μアドバンRX-7』と全くの同仕様と書けば、そこに秘められているポテンシャルがいかほどのものなのかは察しがつくだろう。

サスにはクァンタムダンパーとスウィフトスプリング(F16kg/mm R18kg/mm)からなる同社自慢のクァンタム雨宮スペックを装備し、アーム類もサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的にフルピロ化。

フロントで存在を主張しているブレーキはORCの4ポットキャリパーシステムだ。ちなみに、リヤブレーキはFD3S純正17インチ+オリジナルキャリパーカバーのセットとなる。

サスメンバーは、前後とも当て板による補強を行った上でボディ同色に塗装。この他、PPFやフロントストラット周りの応力集中箇所にも同様の補強術が敢行されている。

ホイールはエンケイのGTC-01(F8.5J R9.5J)で、タイヤにはヨコハマのアドバンネオバAD08(F235/35-19 R265/30-19)をインストール。フロントホイールのリム部に立てられているタップは、エアロスパッツをボルトオン装着するためのものだ。

特殊なブルーバックスキン塗装によって鮮やかに生まれ変わった室内空間には、オーディオを始めとする快適装備が満載。機能パーツは、ステアリングコラム部に52φブースト計が、助手席エアバッグ位置にデフィリンクBFメーター(水温、油温、油圧)が、グローブボックス内にプロフェックe-01がそれぞれレイアウトされている程度だ。

シートはドライバーズ&ナビともにブリッドのローマックスVIOSIIIに変更。カラーはインテリアとの調和を図るためにブルーをチョイスしている。

見た目のみならず、 抜群の速さも併せ持つスーパーロータリーチューンド。東京オートサロンでの発表後、幻気-7は公認車検を受けてナンバーを取得。現在は新しいオーナーの元で、第二の“車生”を送っているとのことだ。

●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007

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