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コロナエクシヴGT-4WDツーリングバージョンという存在
車両型式に思わず萌える超大穴モデル!
もしクルマ好き同士の会話で「俺、ST205に乗ってるんだ」と聞いたら、100人中100人がセリカGT-FOURを頭に思い浮かべるだろう。そこに疑問を持つ余地など当然あるはずもない。
ところが、そんな常識を根底から覆す事実が発覚した。今回捕獲に成功したコロナエクシヴGT-4WD(と、兄弟モデルのカリーナED GT-4WD)の車両型式が、実はST205だったのである。
そんなコロナエクシヴGT-4WDは1994年に登場。エクシヴ=EXiVとは『Extra Impressive』の略で、直訳すると「特別に印象的な」という意味だ。シャシーや、ビスカスセンターデフ式(5速MT車/4速AT車はECハイマチック式)フルタイム4WDシステムなどはセリカGT-FOURと共通で、実際ターボとNAの違いがあるにしろ、車検証上のエンジン型式としては同じ3Sを搭載。となれば、車両型式がST205ということにも納得だろう。
搭載される3S-Gはステンレス製EXマニを採用。5速MT車の最高出力はFFモデルが180ps、4WDモデルが175psで、カムプロフィールの違いから4速AT車ではそれぞれ10ps低い数値となる。つまり、FFのMTとAT、4WDのMTとATでカタログ上の最高出力が全て違うということだ。
取材車両は1996年式の後期型で、スーパーストラットサスペンションやスポーツABSなどを標準装備。しかも、切削光沢タイプのホイールやリヤ間欠ワイパー、リヤセンターアームレストなどを標準装備するツーリングバージョン装着車なのだから、レア度はさらに3割増しだ。
実車を前にしてまず思うのは、「全高がこんなに低いの!?」である。手元のカタログを開いてみると、全高わずかに1325mm。セリカGT-FOURの1305mmに肉薄する数値で、立体式駐車場に入れられるギリギリのセン(1550mm前後)を狙った今時のセダンに比べると、驚異的に低いという印象しかない。
アフターのハーフスポイラー装着でスポーティ度アップ。取材までに塗装が間に合わなかったそうだが、インパクトは抜群だ。ヘッドライト周りをアップで見ると、90系マークIIに見えなくもない。
ツーリングバージョンに標準装備となる切削光沢タイプのアルミホイール。リム幅は7Jで、205/55-15サイズのタイヤが組み合わされる。
フロントバンパー裏に空冷式コアを発見。パイピングを辿っていくと…どうやらミッションオイルクーラーのようだ。が、カタログにはその手の記述が一切なし。こういう装備を、なぜトヨタはアピールしなかったのだろうか。
ハイマウントストップランプ内蔵型リヤスポイラー、リヤワイパー、ボディ同色サイドマッドガードが標準装備となるツーリングバージョン。リヤスポイラー&ワイパーや切削光沢アルミホイールなどは素のGT-4WDにもオプション装着できるから、外装でツーリングバージョンを見分けるポイントはズバリ、サイドマッドガードがボディ同色か否か?だ。
室内に目を移してみると、明らかにドライバーを中心に考えられたであろう、メータークラスターからセンターコンソールにかけて一体感を持たせたデザインがやたらとスポーティ。「もしや!?」と思ってセリカGT-FOURのインパネ写真と見比べてみたら、さすがにダッシュボードは共通ではなかったものの、デザインの方向性は同じだと誰もが思うに違いない仕上がりとなっている。
メーターは右から水温、タコメーター、スピードメーター、燃料計が並ぶ。また、メーターパネルはFFの200GTをベースとした限定モデル、JTCCバージョンのカーボン製に交換。超レアなアイテムだったりする。
上からデジタル時計、2DINオーディオスペース、エアコン操作パネル、シガーライターが並ぶセンタークラスター。細かなデザインは違うが、基本レイアウトはセリカGT-FOURと同じだ。
シフトレバーやステアリングホイールが本革巻きタイプとなるのがツーリングバージョンの特徴。
後席は予想通り天地方向が窮屈で、ヘッドスペースを稼ぐため座面に大きなくぼみが設けられる。センターアームレスト付きとなるのが素のGT-4WDとの違いだ。
運転席に収まってみると、予想通り着座位置が低く、適度なタイト感も手伝って思わずニヤリ。スペース効率追求型の今時のセダンとは一線を画すドライビングポジションが、まずはコロナエクシヴの個性だ。
1速を選んでスタート。全体的に力強く「ずいぶんトルク感があるな…」と思ったら、なんのとこはない、ミッションギヤ比もファイナル比も相当にローギヤードな設定としているだけのこと。
実際、セリカGT-FOURに比べると1~3速は6%、4~5速は10%以上も低く、さらにファイナル比も6%少々ローギヤード化されていたりする。車重は3S-Gを載せたFFモデルの200GT(車両型式ST202)に対して150kgも重い1360kgなので、こういうギヤ比設定になるのもよく分かる。
そんな車重に輪をかけて、フルタイム4WDならではの路面に張り付くような安定感を披露。そのフィーリングはまさにセリカGT-FOURを彷彿させるもので、フロンヘビー感はあるものの、スーパーストラットサスのおかげか、ノーズがグイグイと入っていくハンドリングもまたしかりと言っていい。
スタイリングに話題が集中しがちなコロナエクシヴだけど、GT-4WDの走りは想像していた以上にスポーティだった…というのが率直な感想。同じ時代の同じクラスで言えば、走りが高く評価されてたP10/11プリメーラにもまったく見劣りしないものだと思う。
■コロナエクシヴGT-4WDツーリングパッケージ
車両型式:ST205
全長×全幅×全高:4500×1740×1325mm
ホイールベース:2535mm
トレッド(F/R):1510/1480mm
車両重量:1360kg
エンジン型式:3S-GE
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
排気量:1998cc 圧縮比:10.3:1
最高出力:175ps/7000rpm 最大トルク:19.5kgm/4800rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/ストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ(FR):205/55-15