「13年の眠りから覚めたAE86改SR20スワップ仕様!」サード取締役社長・近藤尚史【チューニング業界人の愛車】

30万円で入手した無事故車をベースにモディファイ!

ポテンシャルを高めるべくメカチューン仕様のSR20をチョイス

スーパーGTはもとより、チューニングパーツの総合サプライヤーとしても名高い“サード”。そんな名門パーツメーカーを陣頭指揮する近藤さんが溺愛する愛車、それが今回紹介するSR20DE換装仕様のAE86だ。

「18歳の時に、CR-XやMR2と迷った末に選んだのが2ドアのハチロクトレノ。以降、様々なクルマを乗り継ぎましたが、やっぱりハチロクが一番面白い。コイツは自身4台目となる個体で、手に入れたのは入社直前でした。それまでの経験から250psは欲しかったけど、4A-Gベースで目指すのは厳しい。そこで、当時では珍しかったNAメカチューンのSR換装仕様を製作したんです。もう20年前の話ですね」と、当時を振り返る近藤さん。

昭和60年式のスプリンタートレノGTVはサード入社前に友人から30万円で譲ってもらった無事故車。ワインレッドにオールペンされていたが、オールブラックが精悍かつ重厚なバーフェンスタイルへリメイクしている。

しかし、完成直後こそ嬉々として乗り回していたものの、日々の業務に追われるうちに徐々に乗る機会が減っていき、気づけばハチロクは会社側に借りたガレージで冬眠状態へ…。

「ハチロクがまた欲しくなることは分かっていたので、手放さずにガレージで13年ほど眠らせていました(笑) ただ、最近は付き合いのあるレーシングドライバー達がハチロクで楽しく遊んでいる。また乗りたいなぁって考えていた時に、眠らせたハチロクを知っている若手スタッフが“起こしましょうよ”って言ってくれたんです。で、2022年9月から作業に取りかかって最近復活しました!」。

細部を見ていく。歴代のハチロクで様々な4A-Gチューンを手掛けた経験から、ベストバランスは250psと判断してエンジンスワップを決意。ハイコンプ仕様で組み上げたSR20に東名パワードの4連スロットルやハイカム(IN264度 EX272度)を組み合わせ、ハイレスポンスなメカチューンスペックを完成させた。

ガレージ保管とはいえ13年間も眠らせていたため、各部のコンディションは大きく低下していた。復活のきっかけとなった若手スタッフの勉強も兼ねてレストアを進めつつ、テックアートのドリキンマフラーなどチューニングパーツの更新も積極的に行なっている。

15インチのロンシャンから履き替えたばかりというのが、RSワタナベのエイトスポーク(8.5J×16-6)だ。リベット留めのバーフェンやポテンザRE-71RSの逞しいショルダーと相まって、ブラック基調のスタイリングに映える足元に仕上がっていた。

インテリアはリフレッシュ&バージョンアップを行う前段階。ちなみに、このハチロクはミッションもSR20用を使っているが、そのままではシフト位置が後方に大きくズレてしまうため、レバー加工で純正と変わらないポジションにリメイクしていたりする。

純正メーターがそのまま使われていることもあり、エンジン換装というハードメイクが行われていることを全く感じさせない。ステアリングはナルディクラシックだ。

こうして“眠れる獅子”が再び目覚めたわけだが、同時に近藤さんのハチロク愛も再燃焼! タワーバータイプのサードダンパーやチタン仕様のスポーツキャタライザーといったパーツ開発に愛車を使用するだけでなく、「フェンダーを手直ししよう」、「VEヘッドを使ってモーテック制御にしても面白そう…」など、若い頃の気持ちで盛り上がっている。

「再び走り出して再認識しましたが、僕の原点はやっぱりハチロク。自身で楽しむだけでなく、パーツ開発にも積極的に取り組んでいきたいですね」と楽しそうに話す近藤さんの表情は、社長というよりも若手スタッフのような輝きを見せていた。

●取材協力:サード TEL:0565-53-1166

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