「L型エンジン進化論」話題のチューニングヘッドを搭載したS30Zにヴェイルサイド横幕宏尚が緊急試乗!

超高精度の加工済みヘッドが新品で手に入る!

JMC&PAMSのL型チューニングヘッドを試す

黎明期のドラッグレースでその名を馳せ、トップチューナーとして確固たるポジションを築いた“ヴェイルサイド”の横幕代表。その後、エアロパーツのデザイナーとして世界に羽ばたき、映画「ワイルドスピード」に登場する車両も手掛けてきた。そのため、現在ではデザイナー的なイメージとして捉える若年層は多いだろう。

しかし、その実はL型チューンを原点とし、まだ手法の広まっていなかった時期にいち早くターボチューンを確立。その後はRB26チューンで無敵の速さを見せつけた、問答無用のレジェンドチューナーなのだ。

今回はそんな横幕代表に、L型エンジンチューニングの最先端とも言える「JMC&PAMS製L型チューニングヘッド」搭載車のインプレッションをお願いした。

JMC&PAMSのL型チューニングヘッドとは、理想的な燃焼室形状と容積、ポート径&形状を実現しつつも、十分なポートの壁厚を持たせ、冷却のためのウォータージャケットも最適化された完全新規設計のL型用ヘッドだ。

燃焼室へのアルゴン溶接盛りによるヘッド本体の熱変形や、ポート研磨拡大加工時におけるウォータージャケットへの貫通といったヘッドチューン時のリスクを回避できるだけでなく、アルミブロックから削り出して製作される製品となるため、状態の良い純正ヘッドを探す必要も無いという夢のような逸品なのである。

そんな高性能ヘッドをインストールしたL28エンジンは、フルカウンタークランクやI断面コンロッドなどを組み込んで3.2Lまで排気量を高めた370ps/9500rpm仕様。スロットルはTWMの50φ(ツインインジェクター仕様)で、マネージメントはモーテックm84が担う。なお、ドライカーボン製のサージタンクはサブライブ製だ。

EXマニはWAKOの6-1タイプ、エキゾーストマフラーは消音を重視した76.3φのステンレス製で、厚みのあるパイプを使ってあえて共鳴音を抑えているそうだ。

一方の駆動系は、高出力化に合わせてR200デフと等速ドライブシャフトをセット。デフメンバーはアメリカのアルミ製だ。ミッションはニスモのSRエンジン用6速MTを使用する。

シンプルながら超スパルタンに仕上げられたコクピット。コーナリング時にゆがみやすいボディの弱点部分にスポット溶接増しによる補強を入れ、ボディの基本剛性をアップ。その上でロールケージをボディ溶接していき、ピラー部はガセットを多用して補強済みだ。

最新のハイグリップタイヤを難なく履くきこなすべく、ステアリングシャフトを改造して電動パワステを装着。電動タイプは省スペース設計で油圧タイプに比べてパワーロスも最低限だ。

ハブを5穴化した上で9.0Jのグラムライツ57XRを組み込み、タイヤにはS30系としては大径の235/45-17サイズ(ディレッツァZIII)を前後通しでセット。ギヤ比やグリップの増強で加減速時のレスポンスは多少落ちるが、スタビリティは大幅に向上。ブレーキはポルシェ964ターボ純正のブレンボを流用する。

横幕尚宏’sインプレッション

僕がL型に取り組んでいた当時は、ヘッドチューンが肝でさ。300psを超えるL型チューンを達成できたのは、ごく一握りのチューナーだけだったんだよ。

当時のヘッドは精度が悪くて、同じ加工を施しても水穴貫通なんて事態に見舞われることも多かった。つまり、チューニングの再現性が低かったんだ。そんな苦労の証だったヘッドの理想系が令和に誕生した。興味持たないわけないよね。

試乗に用意してもらった車両は、オーナーさんのスキルに合わせ、レスポンスを少し落としているとのことで、極まったレーシングフィールでは無かった。でも、踏めば回っていく感覚とパワーの伸びは本当に凄くて感動しちゃった。

久しぶりに乗ったL型は、期待を裏切らず、ワクワクさせてくれるものだった。50年も前のNAチューンなのに、今でも一級品の魅力と戦闘力を味わうことができた。可能だったら、ゼロヨンとか試してみたいな。かなり速いとお思うからさ!

ところで、フルチューンヘッドが新品で手に入るのは嬉しくて期待しちゃう反面、完成品ばかりでなく、あえて未完成の、チューナーごとに味付けできるバージョンも展開して欲しいという気持ちもある。なにせ、最後の仕上げで個性を引き出し、風味を際立たせるのは、僕たちチューナーの腕の見せ所だからね。

JMC&PAMSは、ヘッドだけでなくカムホルダーを筆頭に多彩なアイテムを開発中とのことだから、そっちにも期待大。僕もまたL型を本気で始めたくなっちゃったなぁ!

●問い合わせ:JMC 横浜市港北区新横浜2-5-5 TEL:045-477-5757/PAMS 横浜市都筑区早渕1-24-17 TEL:045-595-2223

「L型エンジンはまだまだ進化できる!」加工済みの新品チューニングヘッド発売へ

記事が選択されていません

「これは現代版S30Zの理想形だ!」正統派レストアラーが“脱定番”に挑んだ意欲作

【関連リンク】
JMC
https://www.jmc-rp.co.jp
PAMS
http://www.pams-japan.com

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption