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狙いはターボでは実現し得ないコーナリングバランス!
トップレースカテゴリーで戦い続けるRE雨宮にしか出来ない芸当だ。JGTC参戦用のFD3Sを筑波仕様へとモディファイ。心臓部もGTマシン同様のNA3ローターとし、開発途中ながらアッサリと58秒110をマークした“風林火山3ローターNA”。その宝珠のメイキングに迫っていく。(OPTION誌2003年2月号より抜粋)
ストリート要素を廃したRE雨宮渾身のタイムアタックマシン
チューニングカーに関しては、どんなシチュエーションでもストリート仕様を意識した作りに拘っていた“RE雨宮”。しかし、ここにきてスーパーラップに出場する他のマシンのレベルアップぶりにその姿勢を軌道修正しなくてはならなくなったようだ。
そこで雨さんは考えた。「置き場においてある、昔使っていたGTマシンのボディを使おう」と。そう、1995年シーズンを戦ったGTレースボディを使って、タイムアタック仕様を製作したのだ。
言うまでもなく、ボディは完全フル補強。スポット増し、鉄板を二重にして補強するガゼット補強が施され、ロールケージもフロントバルクヘッドを突き抜けてストラットタワーへ直に接続されるなど、作り込みは完全にレーシングカーのそれだ。
さらに、エンジンを限りなく後方にずらしてマウントするため、フロアトンネル部を拡大。そこにエンジン後部をめり込ませるようなカタチで収めている。また、エンジンマウント周辺のメンバーにも直付けのクロスメンバーが渡されるなど、その作りは徹底している。
パワーユニットは、GT選手権用エンジンの先行開発を兼ねた3ローターNAのサイドポート仕様だ。パワーを出しやすいペリフェラルポートではなく、なぜサイドポート拡大に留めているのか? もちろんそこにも明確な理由がある。
GT選手権では吸気を制限するリストリクターの装着が義務付けられている。つまり、ペリだろうがブリッジだろうが到達馬力はイコールだ。ならば、サイドポート拡大仕様の方がトルク特性に優れる上に、高回転まで回さなくて済む分、耐久性の面でも良好。さらに、発熱量も抑えられるため、冷却系統をシンプルかつ軽量に仕上げることが出来るのだ。
エンジンの上部にはMデバイス製の3連スロットルを装着。フィルターを装備しないレーシーなスタイルは見た目の迫力も満点だ。
インマニはオリジナルで製作されたものを装備する。当初は280psほどの出力だったが、インマニとポート形状の見直しで360psまでパワーアップを達成している。
超スパルタンなコクピットからも、ベースが生粋のレーシングカーであることが伺える。ミッションはヒューランドの6速シーケンシャルドグ、ファイナルは4.1だ。
燃料タンクは、純正を廃してATLのレースタンクをリヤシート位置にマウント。燃料系パーツやバッテリーまで含めて重量バランスを考えた配置となる。
ボディそのものはGT仕様でも、外装はお馴染みのフルエアロ。フェイサーN1の02モデルにアンダースウィープ、スリークダクトを追加したフロントフェイス、AD-GTキット、GT2のハイマウントタイプリヤウイングでエクステリアをまとめる。
足回りはRE雨宮が絶対の自信を持つクァンタムベースのオリジナル車高調を装備。アーム類はサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的にフルピロ化している。
ホイールは17インチのエンケイRP-F1(F9.5J R10.5J)でタイヤにはアドバンA048(255/40-17)をセットする。ブレーキはGT用のレーシングブレンボだ。
筑波でのベストは58秒110(ドライバー:谷口信輝選手)。ただし、これはエンジンパワーが280psだった時のタイムだ。360psまでパワーアップした今、記録をどこまで伸ばすのか期待が高まるところだ。(OPTION誌2003年2月号より抜粋)
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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