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心臓部はRB26DETT、走行性能はオリジナルを遥かに凌駕する
S30ベースで国宝級スーパーカーを完全再現
トヨタ2000GTと言えば、コンディション次第では1億円以上で取引される国宝級の和製スーパーカーだ。生産台数は世界累計で337台。その9割近くが日本国内に現存しているというが、街中で見かける機会すらほとんどないレアな存在だ。
そんな名車中の名車のレプリカモデルを製作したのが、レストア&スーパーカーレプリカを専門とする“ロードスターガレージ”だ。
「トヨタ2000GTは私にとって遠い存在でした。その名車を復活させたなど到底言えないですが、今まで自動車業界で取得した知識と技と想いを駆使し、製作しました」とは、ロードスターガレージの小林代表。
ベース車両に選んだのは、ディメンジョンの近いS30型のフェアレディZ。外装は実車で採寸を行い、細かなディテールまで徹底的に再現。S30本来のヒップラインは路面に対して水平なものだが、2000GT特有のカール状を再現するためフレームから作り直している。
また、S30はホイールベースが10cm長く、ルーフも10cm前方にあり、本来は10cm短いフロントノーズを15cm延長することでバランスを整えている。
リトラクタブルヘッドライトは日産テラノのフォグケースを流用。ドアハンドルやフェンダーミラーは初代セリカから流用している。
インパネは本物の2000GTと同じローズウッド(しかも無垢!!)から削り出した逸品。タコメーターはBNR32純正、スピードメーターはニスモ製と、部品取り車のBNR32から移植している。なお、2000GTのサイドブレーキはコック式となるが、デザインの近いものが見つからなかったため、S30のレバー式をそのまま使用している。
また、2000GTのシートはコロナ1600GTのものが使われていたが、AKIクーペは同じシートデザインの4代目コロナ純正を流用し、シート厚を半分にすることで再現。
一方のメカニカルパートは、現代のスポーツカーにも負けない戦闘力を求めて、2.8L化したRB26DETTのN1エンジンを換装。同時に、BNR32のメインコンポーネントをABSとアテーサE-TSを除いてごっそりと移植。エアコンも問題なく使用でき、見事、コンセプト通りに快適で速い“現代の2000GT像”を創出したのだ。
車高調はS30用をベースとし、16cmものローダウンを実現するためにワンオフ加工。また、ブレーキはマスターバックごとS15シルビア純正を移植して容量アップを図っている。
ホイールはオリジナルの雰囲気を出すため、センターロックのフォルテックス製ワイヤーホイールをセレクト。
市販時の登録のしやすさを考慮し、ベース車両はL26エンジン搭載のアメリカ仕様をセレクト。エンジンと合わせてバルクヘッドも移植し、配線の取り回しに苦労することなく、各ペダルもスッキリと換装することに成功している。
ミッションやリヤデフもBNR32純正を搭載。リヤマフラーは装着されているが、フロアレイアウトの関係でフロントパイプ以降の排気管は装着されていない。
ちなみに今回取材したモデルはプロトタイプの“AKI”で、後にオリジナル度をさらに高めたNA8Cロードスターベースの“龍妃FINALクーペ”、ボンドカーさながらのオープンモデル“龍妃FINALボンドカーモデル”を開発。世界中の2000GTマニア達を大いに喜ばせたのだ。
●取材協力:ロードスターガレージ 愛知県幡豆郡吉良町吉田東郷9 TEL:0563-32-0212
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ロードスターガレージ
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