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ミニバンチューンの可能性を示したザウルスのE51エルグランド兄弟に迫る
「ミニバンだって走りを楽しめる」。それを証明してくれたのが、名門“ガレージザウルス”が手がけた2台のエルグランド(E51型)。2.3トンもの車重をものともしない450psのターボ仕様と、軽快感を追求した270psのNAメカチューン。それぞれのメイキングに迫っていく。
450馬力ターボチューン仕様
心臓部のVQ35DEはシリンダーを0.2mmホーニングした上で、HKS鍛造95.7φローコンプピストンと東名パワードのH断面コンロッドを組み、さらに純正では10.0の圧縮比を東名0.7mm厚メタルガスケットで9.4に調整。
そこに、VQ25DET用EXマニを介してGT3037S-56Tタービンをセットし、450psものパワーを引き出している。
燃料系はリターンパイプの増設や、VQ25DET用フューエルポンプへの換装が行われる。さらにサードのレギュレーターで燃圧を高めることで、ニスモの480ccインジェクターを全噴射させている。
燃調や点火時期のリセッティングは、メインCPの書き換えで対応。元々はF-CON Vプロ制御によるエアフロレス仕様だったが、エアフロ制御の方が純正ATとのマッチングに優れるということでこのスタイルに。
また、純正エアフロセンサーが飽和するのを防ぐため、サクションパイプを100φに大径化することでエアフロ電圧を低下させ、測定吸気量=対応馬力を高めている。
ターボ仕様ということで前置きインタークーラーも装備。トラストのシルビア用スペックR-HGを加工装着したスペシャル品だ。
オイルクーラーはエンジン用、AT用ともにトラストの汎用13段コアを装備して冷却チューンを徹底。ブースト圧はエンジンやタービンのキャパシティ的に1.4キロも可能ではあるものの、ATの耐久性を考えて1.2キロに抑えているという。
排気系はフルワンオフ仕様で、フロントパイプは70→80φ、以降は80φのストレート構造となる。ストリート走行を考慮し、消音のための大型サイレンサーを装備する他、スポーツキャタライザーもセットされている。
270馬力メカチューン仕様
VQ35DE本体はストック状態のまま、オカダプロジェクツのプラズマダイレクトによる点火系強化と給排気チューン、そしてメインCPのリセッティングによって純正比+30psの270psまでパワーアップ。
純正インジェクターを使い切っている状態のため、燃料系の大容量化を行えばさらなるパワーアップも可能だという。
吸入効率アップのためにサクションパイプをワンオフ製作し、同時にエアクリーナー位置の適正化と導風板をセットすることでフレッシュエアを積極的に導入させている。また、スロットルは内径を3mm拡大したビッグスロットル仕様だ。
排気系は、上流から45φ等長EXマニ、キャタライザー、第2触媒ストレートパイプ、65→60→70φマフラーというレイアウト。排気効率やレスポンスはもちろん、音質まで徹底追求されたスペシャルエキゾーストだ。
ホイールはBNR32純正の16インチ鍛造。あえてインチダウンすることによって軽量化と乗り心地のアップを実現しているのがオーナーの拘りポイントだそう。ファイナルギヤを純正の3.133から、Z33用の3.538に換えてローギヤード化することで加速性能を高めている。
ファミリカーではあるが、VQ35エンジン+FRレイアウトというパッケージングでチューニングも楽しめてしまうE51型エルグランド。方向性はまるで異なるが、どちらも魅力的すぎるハイスペックチューンドだ。(OPTION誌2010年9月号より抜粋)
●取材協力:ガレージザウルス 埼玉県狭山市入間川4-8-16 TEL:04-2968-9212
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