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フル公認を取得した600馬力超えのストリートマシン!
ステップアップを重ねてフルチューンRB26仕様まで進化
この漆黒のZ31型フェアレディZは、30年の年月を費やしてオーナーである粕谷さんが育て上げたストリート&ドラッグ仕様だ。
「Z31は僕が小学生の頃にデビューしたのですが、完全に一目惚れでしたね。その後、自転車で川越のストリートゼロヨン会場に通うようになるのですが、そこで全開で走り抜けるZ31を見てさらに惚れ直しちゃって」とは粕谷さん。
続けて「免許取得後、すぐにZ31を購入しました。でも、調子に乗りすぎて首都高でクラッシュ。その後、シルビアに乗り替えて峠を走ったりしましたが、やっぱりZ31が忘れられず前期のナローボディ(RB20DET搭載モデル)を再購入。そのまま、当時ストリートドラッグ会場で目立っていたブラックラインに通い出したんです」。
重要なパワートレインは、粕谷さんのゼロヨンテクニックの向上に合わせるかのようにスペックアップ。しばらくは、同型ながらアップデートされたHCR32のRB20DETへと載せ換えてチューニングを進めていたが、ガスケット抜けを機にBNR32のRB26DETTへと換装。最高峰のRBチューンを目指したのだ。
心臓部に収まるRB26DETTは、HKS製の鍛造ピストンとライジング製のH断面コンロッドで強化したRB26改2.7L仕様だ。高回転での伸びが鈍るストロークアップを嫌い、あえて87φピストンでのボアアップという方向性を選んでいるのがいかにもドラッグ仕様らしい。
組み合わせるタービンはトラストのT88-33D。これに最大ブースト1.5キロを掛けて630ps&75kgmを叩き出している。インタークーラーはGT-Rサイズを組み込んで過給時の加熱を取り除く。
ロングポートを意識したサージタンクや、100φのスロットルなどはブラックラインのワンオフメイド。パイピングの抜け防止ステーを始めとする細かい作り込みの数々は、『トラブルフリー』を信条とするブラックライン流のフィニッシュだ。
ハイチューンドは高回転域での失火が命取りになる。そのため、ブラックラインでは16Vまで昇圧する点火システムを開発。RB系のイグニッションコイルと日産イグナイターを6個ずつ使い、これを昇圧機で16Vまでアップさせるのだ。「点火系が劣化している個体も増えてきているから、どんなクルマにもお勧めだよ」とはブラックライン鈴木代表。
足回りは、ストリート仕様でありながらもセットアップはかなりドラッグに傾倒したものとなる。トラクション不足に陥りやすいリヤのセミトレーディング式サスはキャンセルし、BNR32のマルチリンクをごっそりと移植。
もちろん、Z31とBNR32ではフロア形状が異なるため、サスメンバーやボディを現物合わせで大加工しながらフィッティング。車高調はトラストのコイルオーバーがベースで、スプリングレートはフロント5kg/mm、リヤ3kg/mmが基準となる。加速に合わせて荷重がリヤへと瞬時に移動し、トラクションを高める仕様だ。
販売されてから40年近く経過している車両だが、ダッシュボードなどは良好なコンディションをキープ。シートはBNR32純正を組み合わせている。ダッシュ上に確認できる大型メーターは、オートメーターのシフトランプ付き120φタコだ。
室内のミラー位置にはブラックラインで製作されているミラーメーターホルダーを設置。視認性に優れ、ファッション性も非常に高いことから人気となっているメニューだ。製作や対応車種に関しては要問い合わせとのこと。
エクステリアを覆うエアロパーツは、アバンテオートの製品をセレクト。また、フロントバンパーにはMA70型スープラ3.0GTターボAの3連ダクトを組み合わせてクーリング性能を底上げしているのもポイントだ。
ここまでのハードチューン仕様でありながら、粕谷さんは街乗りを捨て切れなかったため、エンジンから足回りに至るまで全て公認を取得。さらに、ゼロヨン全盛期に勢いで捨て去ったエアコンユニットも再度セットするなど、純然たるストリートスペックとして仕上げられている。
子供の頃の憧れを現実のものとし、ドラッグレースでは11秒4のベストタイムを刻む。粕谷さんにとってこの200ZRは、一生涯をかけて楽しみ続ける壮大なプロジェクトなのである。
●問い合わせ:ブラックライン 埼玉県川越市下広谷690-1 TEL:049-239-6667
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ブラックライン
http://www.blackline-racing.com