「VG30ETエンジンで700馬力は異次元すぎ!」30年もの歳月をかけてZ31を徹底チューン!!

これぞ究極のVG30ET!

VGエンジンの弱点を踏まえた効果的なチューニング

V6と直6のエンジン二本立てで展開したZ31。モデル末期の300ZR(VG30DE搭載)だけは例外だけど、基本的にV6=VG系には“ZX”、直6=RB系には“ZR”というグレード名が与えられた。チューニングカーとして現存するのはもう圧倒的にZRの方が多く、ZXは超少数派。そこで情報網を駆使し、チューンドVG30ETを搭載する現役マシンを探し出した。

「親戚から譲ってもらったのが、僕がまだ学生だった30年前。それから乗り続けてます。ATをMTに載せ換え、エンジンやボディ、足回り、ブレーキと手を入れながら今に至ります」とオーナーの大津さんは言う。

見所はやはりエンジンだ。ピストンピン径が合わないため、まずブッシュを打ち替えた上で東名Z31用90φ鍛造ピストンとトラストZ32用H断面コンロッドを組み合わせ、クランクシャフトにはVG30DETT純正を流用。腰下を強化しつつ、排気量を3.3L近くまで拡大している。

ヘッド周りはノーマルの油圧ラッシュアジャスターを廃してソリッドリフター化。72度カムとローラーロッカーアームはアメリカ・エレクトラモーティブ製のIMSA用パーツが投入される。クランクプーリーはダンパー機能を持つATI製ドラッグ用。本来はRB26用だけど、センターボスを加工して装着される。「排気量アップで大きく変わったのが燃費。以前3.1L仕様の時は90km/h巡航で5km/L台だったんですが、今の3.3L仕様は6~7km/L。これには驚きました」と大津さん。

そこにセットされるタービンはトラストT88-34D。ブースト圧1.1キロ時に500ps弱、1.5キロでNOSを併用すると700psに達する。ステアリングラックとコンプレッサーハウジングのクリアランスはギリギリだ。パワーステアリングのユニットはSW20純正の電動油圧式を流用。エンジン本体の負荷低減が図られる。

マシンメイクを手掛けたバレットワークス代表の西峰さんいわく、「VG系は無理に高回転まで回すと、必ずと言っていいほど親メタルが流れてしまいます。それでブローしたエンジンを過去に何度も見てきました。なので、このZ31では1速8500rpm、2速以降は7000rpmをレブリミットに設定。それさえ守ってもらえれば、簡単に壊れることはありません」。

排気系はフロントパイプからマフラーまでワンオフ。排気抵抗の低減を重視したため、メインパイプ径はオール90φの設計となる。また、デフにはニスモLSDを装着。ファイナル比は3.545に改められる。

ミッションはHKS製Z32用Hパターン6速ドグMTを搭載。クラッチはフライホイールを含め、Z32用を使用する。プロペラシャフトはワンオフとなるけど、ミッションとエンジンはボルトオンでの装着が可能だ。

フロントバンパー開口部の奥に装着されたインタークーラー。冷却性能を高めるため、アルミの導風板が設けられる。また、開口部下面にはエンジンオイルクーラーを水平マウント。スペース効率を考えたレイアウトだ。

運転席の目の前にオートメーター製タコメーター、HKS製ブースト計、ウルトラ製デジタル式スピードメーターを装着。シフトタイミングライトは7000rpmで黄色が、8000rpmで赤が点灯する。センターコンソールに並ぶ追加メーターは燃圧/水温/油温/油圧計。その上には昔の名残と言える空燃比計と排気温度計も確認できる。ステアリングホイールに付くスイッチはNOS噴射用。

シートはFD3SタイプRZ純正のレカロ製フルバケ。「安く買えたので」と大津さんは言うけど、技ありのチョイスだ。また、室内にはワンオフロールケージが張り巡らされる他、各部にスポット溶接増しも施すことで十分なボディ剛性を確保。

安全タンクやコレクタータンク&燃料ポンプ、NOSボンベ、消火器などが配置されラゲッジスペース。テンパー式スペアタイヤはアルミホイール採用で軽量なFD3S純正を搭載する。

外装にも注目。純正加工フロントバンパーにはF50シーマ純正ヘッドライトがフォグランプとして仕込まれ、フロントフェンダーはワイドな輸出モデル用を2枚使って30mmの拡幅を実現。それに合わせてリヤフェンダーは鈑金作業によってブリスター形状とされ、前後のバランスを整える。

さらに、輸出モデル用ドアミラーやZ34純正サイドウインカーの流用、BNR34純正リヤウイングの加工装着など、Z31の雰囲気を残しながら、個性をプラスすることに成功しているのだ。

●取材協力:バレットワークス 愛知県小牧市弥生町36-1 TEL:0568-42-6507

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