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エンジン搭載位置にまで拘った究極のエンジンスワップ術!
鋳鉄ブロックの3S-GTならハイチューンにも対応可能
S15シルビアは、改めて紹介するまでもないチューニングベースの王道だ。ありとあらゆる方向性の仕様が存在するが、ここまで強烈な個性を秘めた異端チューンドはそうはいない。なんと、日産が誇るSR20DETエンジンを捨て去り、トヨタの2.0L直4エンジン「3S-GTE」を換装しているのだ。
手がけたのはスワップチューンを得意とする“C&Yスポーツ”。かなり異色のスワップだが、その理由はエンジン強度にある。このシルビアは究極的なパワーが要求されるゼロヨン仕様として育ったため、チューニングベースとしてアルミブロックのSR20では耐久面に難があると判断、強度が高い鋳鉄ブロックの3S-GTを選んだというわけだ。
もちろん換装作業は一筋縄では行かず、横置きレイアウトの3S-GTを縦置きにするために各部を大手術。フロントサスメンバーはもちろん、EXマニやサージタンク、補機類に至る全てのパートをワンオフ製作して3S-GTを限界まで低く後方にマウントしている。
組み合わされるミッションは、強度アップとクロス化を図るためにHKSのS15用Hパターン5速ドグだ。エンジン搭載位置が変わっているため、プロペラシャフトもワンオフメイドとなっている。
搭載されたエンジンは、腰下にHKSの鍛造ピストンおよびH断面コンロッド、JUNのフルカウンタークランクなどを組み込んで2.2Lまで排気量アップ。ヘッドも高回転域のパワー追従性を高める策を講じ、ブースト2.0キロ時に650psもの出力を常用することに成功。
ミニサーキット仕様として活躍する現在は、GT2835Rタービンで最高出力を450psほどに抑えているが、ストレートの長いサーキットならタービンを変更してパワー勝負もできるスペックだ。
クーリングチューンも抜かりなし。インタークーラーは狭いスペースにも収められるようにトラストの小型コアを使い、3層アルミラジエターと組み合わせてオリジナルのVマウントを構築している。
足回りはエナペタルベースのC&Yオリジナル車高調(F14kg/mm R10kg/mm)でセットアップ。アーム類はイケヤフォーミュラ製に交換され、セッティングの幅を広げている。
タイヤは、プッシュアンダーを抑え込むために前後50mmのワイドフェンダーを装着した上で、フロントに265/35-18、リヤに295/30-18というサイズのハンコック・ヴェンタスTDをインストールしている。
軽量化も徹底。アクリルウインドウの採用やパワーウインドウおよびビーム類の撤去等で、車重は1200kgまで絞り込まれている。
ドラッグ仕様からミニサーキット仕様として華麗に転身し、美浜サーキットでは一時期FR最速レコードを保持したほどの戦闘力を有するS15シルビア。見せかけだけの3S-GT化ではなく、意味のあるエンジンスワップ。それがC&Yスポーツのチューニングなのである。
●取材協力:C&Yスポーツ TEL:0561-38-8325
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