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心臓部はHKSのGTS7040スーパーチャージャーで武装!
足し算の力学、引き算の美学。
BNR34純正ミレニアムジェイドでのオールペン。小振りながら洗練されたエアロパーツのセレクト。さりげなくワイド化された前後フェンダー。そして、抜群のローフォルムとアメ鍛ホイールによる最強ツライチマッチング…。
全方位に渡って隙なく手が入れられているにも関わらず、その仕上がりは極めて自然。決して派手すぎず、それでいて只者ではないオーラを放つ。そんな絶妙なバランスの上に成立しているのが、“エクシードジャパン”代表の下向氏が修行時代に製作したS2000である。
細部を見ていく。ベースはAP1だが、フロントバンパーはAP2純正を装備。フロントリップはJDPエンジニアリングのカーボン製を装備する。
フェンダーは前後とも叩き出しで片側40mmのワイド化を敢行。ホイールアーチの耳が延ばされており、切断はしていないが裏側に鉄板で補強も入れられている。
ちなみに、サイドステップは大阪のホンダチューナー“アミス”製、ディフューザーはJDPエンジニアリング、トランクスポイラーは大阪の気鋭チューナー、K1ラボラトリー…と、リヤパートは日米混合のアイテムで構成される。
ホイールは、CCW社製の鍛造3ピース『LM20』の18インチ。ディスクは元々ブラッシュド仕様だったが、レーシーな雰囲気を取り入れるため、パールホワイトをベースにブラウンメタリックを調合したオリジナルに変更。
エンジンルームも見事な仕上がりだ。配線や配管の取り回しを隠すワイヤータックや、サービスホールなど余分な穴をスムージングするシェイブドベイによって、ツルっとスッキリした印象にリメイク。Skunk2のビッグスロットル、HASPOPRTのエンジンマウント、Rywireのエンジンハーネスやアース、CIRCUIT HEROのプラグカバーなど、数多くのUSDMパーツがスタイリッシュさを際立たせる。
心臓部のF20Cには、バフ掛けを施したGTS7040スーパーチャージャーを装備。吸入量を制限するリストリクターを標準の37.5φから44φに大径化した上で、燃料系も650ccインジェクターと265L/hポンプで強化。最高出力は約300psだ。
AP1にGTスーパーチャージャーを装備する場合、制御はF-CON iSで行なうのが標準だが、このマシンでは80φビッグスロットルの装備などによって高度なセッティングが必要となったため、F-CON Vプロに変更している。
より高次元のワイヤータックを実現させるのに不可欠なのが、Rywire社製ミルスペックハーネス。不要なエンジンハーネスを間引いた上で、純正よりも細く高性能な配線を使用して集約、ワンタッチで脱着可能なカプラー接続となっている。
「アメリカじゃタイムアタックマシンでも、エンジンルームに魅せる要素がないクルマだと見向きもされないんですよ」と語るのは、エクシード下向代表。
見た目だけ、速さだけ…といったように、何かひとつに特化させるのはプロの手に掛かれば難しくはない。しかし、現在のUSシーンでは、より高いレベルのトータルバランスが求められていると言う。“美しくて速いマシンメイクが格好良さの軸”、そんな意識がチューナーやカスタムビルダーたちに芽生えているからだ。
ただ魅せるだけではなく、チューンドとしての速さも獲得する。単にスタンス系と聞けば「どうせ見た目だけだろ」と侮りがちだが、このS2000は強敵と渡り合える戦闘力をも有する。魅せることと隠すこと。USテイストと日本の美意識が融合し、極上の完成度で魅了する。チャラいようでハッタリじゃない。そんな粋な遊び心で構成されたマシンなのである。
PHOTO:南井浩孝
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