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パワーバンドが広い2.8L化+GT-SS仕様が楽しすぎる!
ドラテクの進歩に合わせて足りない部分を補完
同じエンジンでも、目指す方向性によって様々なチューニングアプローチが存在する。例えばタービン交換する場合。ビッグシングルタービンを組んでピークパワーを狙うか、それとも小径タービンでピックアップ重視でいくか…。このGT-Rは完全に後者のパターンだ。
「このクルマのオーナーは、サーキットを走っている方ですが“GT-Rで一番のタイムを出すんだ!”という感じではなく、“前回の自分よりも速く走れれば良いな”という思考の持ち主。ですので、腕のレベルに合わせて足りない部分を補うようなチューニングを、かれこれ10年以上続けて今の状態に仕上がっています」とは、テイクワン竹松代表。
エンジンはHKSのステップ2キットを組み込んだボア87φ×ストローク77.7mmの2.8L仕様で、ヘッドには可変バルタイのVカムシステム(ステップ1)を装着。RB26DETTの弱点である低速トルクを補いながら、高作用角ハイリフトなカムでさらなる高回転の伸びも獲得している。燃料系は、ニスモ660ccインジェクターとサードの燃料ポンプで強化する。
タービンはあえて小振りなGT-SSツインをチョイスすることで、3000rpmでピークブーストの1.5キロに到達し、そのまま7000rpmまで力強い加速が持続するワイドなパワー特性を獲得。最高出力は550ps/65.0kgm。土地柄、桜島や新燃岳の降灰があるため、必ず湿式のエアフィルターを装着しているという。
点火系はパワーチェック中に純正がパンクしたため、スプリットファイア製のダイレクトイグニッションコイルに交換。高回転時のプラグ失火を防ぎ、高回転の伸びを引き出すパーツだ。
高速サーキットでの連続周回を可能にするため、トラスト3層式インタークーラー&13段オイルクーラー、コーヨーアルミ3層ラジエターなど冷却系チューンにも余念がない。
足回りは、レーシングギア車高調でセットアップ。スプリングレートは前後14kg/mmの設定だ。アーム類はリフレッシュをかねてニスモ製の強化品を多数投入。ブレーキはフロントがGREXアルコンキャリパー+350mmローター、リヤがアルコンキャリパー+320mmローターで強化済みだ。
BNR34のボリュームに負けない6本スポークホイールは、ボルクレーシングTE37(FR10.5J)。タイヤにはヴェンタスR-S3(265/35R18)を組み合わせる。LSDはフロントにATSカーボンを、リヤにOS技研のスーパーロックをそれぞれセットしてトラクション性能を引き上げている。
室内はシートやステアリングまで含めて、あえて純正をキープ。もちろんエアコンもオーディオもナビも健在だ。サーキットでの強烈なGに耐えられるよう、シートベルトはタカタのレーシングハーネスを導入している。
「サーキット走行中にミスをしても、すぐリカバリーできるくらいトルクバンドの広いエンジン特性が特徴ですね。街乗りはもちろん、サーキットの走行会まで楽しめて壊れない作り込みもポイントです」と竹松代表。
タービン交換となるとピークパワーばかりに目がいきがちだが、こういった低回転からトルクフルでなおかつ耐久性を重視した仕様は、実際は速くて乗っていて楽しいものなのだ。
●問い合わせ:プロショップテイクワン 宮崎県都城市下長飯町376-13 TEL:0986-39-4810
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