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ウエット路面だからこそ感じられたスタビリティの高さ!
ストリート仕様のまま痛快さを極めた135馬力パッケージ
軽自動車専門の老舗ショップとして多彩なモデルのチューニングに取り組む“KCテクニカ”。中でもHA36S型アルトワークスは、パーツ開発を進めながらスポーツ走行へも精力的に取り組み、パッケージチューンの提案も図っている注目の車両だ。当然ながらデモカー開発にも力を注いでいる。
アルトワークス用だけでも、200点に迫ろうというほどオリジナルパーツが充実する同社だが、最も注目すべきはステージ問わずの好スパイスになっていくパワーメニューだろう。
コンセプトはあくまで実用性重視。そのため、エンジン本体に一切手を入れず、R06Aを覚醒させるために独自のRHF3改タービンを軸にしたスポーツチューニングキットを開発。ECUやプラグまでパッケージングして工賃込みの33万8000円(純正タービン要下取り)を実現したのだ。なお、ターゲットパワーは80ps〜100psとなる。
また、さらにハイパワー指向のユーザーに向けてはRHB31改を使ったタービンキット(31万8000円〜)も用意。こちらは、インジェクターなど燃料系を容量アップすることでMAX130psが狙える(デモカーは135psを出力)仕様だ。
足回りは、デモカーで収集したデータを元にノーマル形状と車高調で6タイプの製品を展開。スポーティでありながらも乗り心地の良さが確保されていて、オールラウンダーに仕上げたいストリートユーザーには打ってつけだ。なお、テスト車両はKCストリート車高調整キットでセットアップしている。
また、パフォーマンスを高めると不安があった制動力も、アクレと共同開発した4ポットキャリパー&275mmローターのブレーキシステムで解決。 リヤにはハヤシレーシング製アルフィンドラムとKCテクニカ製シューからなるオリジナルのドラムキットでバランスさせている。
ストリートユースに必要な快適性をキープしながら、追加メーターやバケットシートなどを取り入れスポーティな走りを楽しめる環境を構築。ちなみに、レブリミットは7000rpmから8000rpmに変更。6000rpm付近で頭打ち感のあるノーマルタービンに対して、スポーツタービンキット仕様なら7000rpm付近までパワーがしっかりと追従するためだ。
リヤの剛性を高めるトルクロッドピラーゲージは、リジッドタイプの弱点だったピーキーな挙動変化をトルクダンパーで抑制しつつ、攻め込んだ際にも頼もしいリヤの剛性感を引き出すアイテムだ。
フロントバンパーに取り付けられた吸気ダクト「36-Rダクト」や、インタークーラーの冷却効率と空気抵抗の低減を両立するクーリングボンネットもKCテクニカのオリジナル。ダクトの奥にはオイルクーラー内蔵タイプのアルミラジエターも装着されている。
タイヤに関しては、以前はタイム重視で195/50サイズをマッチングさせていたが、現在はストリートでの乗りやすさを考慮して165/55R15をセット(銘柄はポテンザRE71RS)している。ホイールはボルクレーシングTE37KCR(FR5.5J×15+45)だ。
セントラルサーキットでのインプレッションを担当した井入宏之選手は「コースインする前は135psの軽でウエット路面はヤバイと思っていたけど、アルトワークルのスタビリティは予想以上に高くて、安心して攻め込めた。パワー感は5000回転付近からグイっと盛り上がってレブリミットまできっちり付いてくる中高回転強調の味付けなんだけど、純粋に速いよ」と、コンセプト通りの痛快さを高く評価した。
今後もストリート仕様としての快適性は残したまま、速さと楽しさを追求していくと語ってくれたKCテクニカ。アルトワークスらしさを伸ばすチューニングメニューの数々は、オーナーであれば見逃せないものだ。
●取材協力:KCテクニカ 京都府宇治市槇島町目川6 TEL:0774-28-5075
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