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MIVECヘッド仕様のランエボIX用4G63に換装
第2世代のランエボもまだまだ楽しめる!
世界ラリー選手権、いわゆるWRCで勝つために、三菱がホモロゲーション取得条件となる2500台を目処に限定生産(※2006年のWRC撤退により、ランエボXのみカタログモデル生産)した2.0Lターボ4WDがランサーエボリューションだ。
1992年にデビューしたランエボIは250ps仕様だったが、ランエボII、ランエボIIIと心臓部の4G63だけでなく駆動系からボディまでトータルパッケージでの進化が重ねられて、1996年に大幅刷新を図った第2世代のランエボIVではメーカー自主規制上限となる280psを達成。
以降、最高出力280psは4B11搭載で第4世代に進化させたランエボX前期までキープされていたが、MIVEC搭載で4G63を完熟状態とした第3世代のランエボIXでは41.5㎏mもの最大トルクを3000rpmで発生させ、ラリーやダートトライアルといったオフロード競技だけでなく、スーパー耐久のようなオンロード競技でも常勝を誇る逸材へと鍛え上げられた。
さて、今回取材したのはギャランに搭載されていた頃から4G63と4WDのコンビネーションに惚れ込み、歴代ランエボを精力的に手掛けてきた名将“カンサイサービス”だ。
ヘッドやブロックなど細かく進化してきた4G63だが、基本設計は変わらない。ランエボⅨで採用された連続可変バルブタイミング機構の「MIVEC」は、チューニングを進めてもオールラウンドに使えるエンジン特性が確保できる4G63の最終形態。このランエボIVは、新品エンジンが供給されていた時代にランエボIXエンジンへと載せ換えたものだが、供給終了となった現在でもMIVEC用ヘッドやオイルライン追加などでMIVEC化は可能だ。
MIVEC制御にはHKSのバルコンを使用しているが、現在は廃盤となってしまっている。ただし、近年はLINKのようなプラグインタイプのフルコンが用意されているためMIVEC制御に問題はない。
ランエボの走りを左右するのが4WDセッティングだ。カンサイサービスではフロントを効かせすぎればアンダーステアが顕著となるため、フロント1ウェイ、リヤ1.5ウェイをベースに旋回性とトラクションを両立させていく。取材車両はGSRだが、経年劣化やグリップレベル向上によるトラブル回避のためAYCをキャンセルしてリヤを機械式LSDとしていた。
足回りはハイパーマックスMAXIIIスポーツ改を軸に構築。なお、この車高調はHKSでのオーバーホール対応も終了しているが、自社設備を用意するカンサイサービスなら対応可能。MAX IV GTへと内部構造を一新した上で、サーキットを安定して攻め込めるようにLSDと合わせてセッティングを煮詰めている。
ナローボディのままでは高出力化したチューンド4G63を活かせないため、バリスのGTフェンダーによるワイドボディ化で265/35-18サイズのアドバンA052をマッチング。18インチ化したことにより、ブレーキも余裕を持って大型化できたそうだ。
「ランエボはメーカーとチューナーが切磋琢磨して進化させてきた1台。今はタマ数も少なくなってきとるけど4G63はタフでチューニングノウハウも豊富やし、オーナーは保存モードに入らず走りを積極的に楽しんで欲しいですね」とは、カンサイサービス向井代表。
このようにチューナーの手で多彩にエボリューションさせられるランエボは、令和においても一線級の速さで活躍できる逸材と言えるだろう。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126記事が選択されていません
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