「あまりにも微妙すぎるギャランとの違い」三菱はエテルナサヴァを発売する意味はあったのか!?

Cピラーの絶妙な角度の違いを見抜くべし!

ギャランVR-4のNA版=ギャランVX-4のボディ違い

まったくもって謎のクルマだ。エテルナサヴァのルーツを辿れば、確かに初代VR-4が設定された6代目ギャランに行き着く。

これには、兄弟車として1988年10月に発売されたカープラザ店扱いの5ドアハッチバックモデル、エテルナが存在し、翌1989年10月になって4ドアセダンのエテルナサヴァが追加されるのだが、単なるギャランのバッジ違いではなく専用ボディが与えられていた。そこできっと思うはずだ、「同じセダンなのになぜ?」と。

外装におけるギャランとの最も大きな相違点はCピラーの角度だ。エテルナサヴァはギャランよりもリヤクォーターウインドウの底辺が長く、それに伴ってCピラーとリヤウインドウの傾斜角もなだらかになっていることが分かるだろう。

ただし、同じ角度での比較だからこそ分かる違いであって、単独で見た場合、それがエテルナサヴァだと自信を持って即答できるほどの違いとは言えない。それ以外はフロントグリルとリヤコンビネーションランプのデザインに違いが見られるくらいだ。

もちろん、三菱的にはギャラン店で販売するギャランとカープラザ店で販売するエテルナサヴァの差別化を図りたかったのだろうが、「なにもそこ(Cピラー角度)で違いを出さなくても良かったのでは?」と強く思う。だったらギャランと同じボディを使いながらフロント&リヤ周りをうまく化粧直しする方が、分かりやすくてコストも抑えられたのではないだろうか、と。

しかも、ギャラン→エテルナ→エテルナサヴァ…という発売順から想像するに、ギャランではなく、もしエテルナをベースにエテルナサヴァを開発していたとしたら、「本当で三菱は頭がおかしい」としか思えない。なぜなら、4ドアから派生した5ドアをベースに、もう一度4ドアを作ったことになるからだ。エテルナ発売からエテルナサヴァ登場までのタイムラグはちょうど1年。なんとも絶妙なその間に、5ドアベースで4ドアを急造した可能性は否定できない。そう、「やっちゃった」のは日産でなく三菱の方が先だったのだ。

存在だけでなく生い立ちまで謎めいたエテルナサヴァだが、取材車両はNA2.0L直4DOHCの4G63型にフルタイム4WDが組み合わされたLX-4なのだからマニア指数も5割増し。乱暴に言えば、ギャランVR-4のNA版=ギャランVX-4に相当するということだ。

フロントバンパー左右に装着された純正フォグランプ。後期型ではバンパー内蔵タイプとなり、見た目の印象が大きく変わる。また、アウタードアノブを始め、バンパーモールやサイドウインドウモールにはメッキタイプが採用される。

標準の14インチスチールホイール+フルカバーに代えて、純正オプションとなる15インチアルミホイールを装着。そこに組み合わされるのはヨコハマのスタンダードタイヤ、195/60R15サイズのエコスES31だ。

取材車両は前期型のため、レギュラーガソリン仕様で145ps/17.8kgm の4G63を搭載する。1990年10月の一部改良でハイオクガソリン仕様に改められ、圧縮比アップ(9.0→10.4:1)やプロフィールを見直したカムシャフトの採用などにより、スペックが160ps/19.0kgmに向上した。

インパネは基本的にギャランと同じデザイン。多少なりとも独自性を出していればエテルナサヴァとしての存在意義もあっただろうが、そこまで詰め切れなかったところに当時の三菱の限界が見える。

ベロア調生地によってラグジュアリー感を演出するシート。座り心地はソフトだけど、芯がしっかりしているため長距離ドライブでも疲れなさそう。グレーの内装色が落ち着いた雰囲気を醸し出す。

運転席からの眺めは目の前のメーターパネルもフロントウインドウ越しに見えるボンネットも、全く持ってギャランそのもの。エテルナサヴァに乗っていることを実感できるのは、左への車線変更やバックでの車庫入れで斜め後方に振り返った時、「あ、リヤクォーターウインドウがちょっと大きい…かも」と思う、その一瞬だけだ。だからといって、そこで優越感に浸れるわけではないし、前に向き直ればまたギャランな感じに包まれるのだが…。

4G63型エンジンはNAであってもトルクフルで好印象。ターボ仕様=スポーツユニットというイメージばかりが先行している4G63型だが、NAは実用エンジンとして完成度は高い。今回は一般道から高速まで100kmほど走ったが、4速ATでも動力性能に不満を覚えることはなかった。

むしろ4WDならではの優れた直進安定性が強く印象に残っていて、高速クルージングがとても楽。それには30年近く前のクルマとしては比較的ボディがしっかりしていて、足回りに大きなヤレを感じなかったことも決して無関係ではないと思う。

三菱で言えば、ランサーV6やエメロードもそうだが、中古車両が激減しているエテルナサヴァ。絶滅回避のため、勇気ある三菱ファン、もしくはマニア車好きにぜひ立ち上がってもらいたい。

■SPECIFICATIONS
車両型式:E39A
全長×全幅×全高:4560×1695×1415mm
ホイールベース:2600mm
トレッド(F/R):1460/1450mm
車両重量:1360kg
エンジン型式:4G63
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ85.0×88.0mm
排気量:1997cc 圧縮比:9.0:1
最高出力:145ps/6000rpm
最大トルク:17.8kgm/5000rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR195/65R14

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