目次
NAメカチューンで仕上げられたサーキット仕様
多大な苦労によって実現したVプロ制御の初代M3
数多くのテクニカルな複合コーナーに、900mと長めのバックストレートを擁する九州のオートポリスをホームコースとしているE30型M3の登場だ。メイキングを担当したのは、オートポリスを走るアタッカー達が集まる“テイクワン”。ピークパワーよりも、軽量化と足回りのセッティングに拘ったスペックが特徴的だ。細部を見ていく。
エンジンはシュリック製ハイカム(IN296度 EX286度)の投入を軸に、燃焼室加工、ポート研磨、重量合わせなどの加工を施した280ps仕様となる。SR20DET用の点火系パーツを流用してダイレクトイグニッション化されているのもポイントだ。
セッティングはHKSのF-CON Vプロが担当。インストールにあたってはハーネスを全て引き直した上で、SW20のスロットルポジションセンサーとSR20用のクランク角センサーを移植するなど、大加工が必要だったそう。
足回りは特注のアラゴスタ(F16kg/mm R22kg/mm)に、オリジナルの調整ピロブッシュで細かいセッティングを施す。ブレーキ系は全てアルマスピードのキットで統一されている。
エクステリアはオリジナルのフェンダーを製作して、前後とも片側15mmほどワイド化。リヤは元々のブリスター形状を生かして造形している点も見逃せない。これにより、9.5J+28というワイドサイズのボルクレーシングTE37の装着が可能に。組み合わされるタイヤはフロントが245/40-17、リヤが255/40-17のアドバンA050。デフはカーツのLSD(1.5WAY)を装着している。
エアロパーツは、ボルテックスのGTウイングにワンオフのフロントカナード、そしてリヤにFD3S用の社外ディフューザーを加工流用。とてもE30型のBMWとは思えない迫力を醸し出す。
初代M3に現代的なデジタルチューニングを施した欧州版のネオ旧車スペック。数多くの輸入車や、珍しいベースマシンのチューニングを手掛けてきたテイクワンならではのアプローチが光る1台だ。
●取材協力:プロショップテイクワン 宮崎県都城市下長飯町376-13 TEL:0986-39-4810