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RE雨宮ADデザイン、ここに極まれり!
東京オートサロン2013出展車両の登場だ!
初代のSA22C、2代目のFC3S、そして3代目のFD3Sと、RX-7は一貫してホイールベースをほとんど変えていない。
搭載するエンジンの前後長が一定で、乗る人間の規定寸法が決まっているなら、FRピュアスポーツとして成立する長さはココしかないというところに、ドンピシャでホイールベースを合わせたクルマ。バブル期の甘い風に惑わされず、寸法を極力動かさなかったことでRX-7のスポーツカーとしての成功は約束されていた。
もちろん、運動性能を高めるべく拡大されたトレッドや、強化されたボディやブレーキがもたらす重量増はまぬがれなかったが、それを根性で吸収していることはFC3Sとの重量差を見れば明らかでもある。色褪せる事のないシルエットの中には、孤高の存在であるロータリーに対するマツダの執念があったのだ。
そんなFD3SはRE雨宮の歴史の中で、最も長く深く使い込まれたRX-7でもあるはずだ。その過程で様々なスーパーチューンドを世に送り出してはファンを驚かせ、そして感動させ続けてきた。
ここで紹介するマシンもその例に漏れず、2013年の東京オートサロンで発表するやいなや、その日本車離れした独創フォルムが大きな話題を呼んだストリートモデルだ。
細部を見ていく。エンジン本体はポートの段付き修正に留めて、吸排気チューンを徹底。まず吸気側はHKSパワーフローに、オリジナルのレベルマン(Vマウント式のインタークーラーキット)を装着。コアサイズは大型だが、これはタービン交換へのステップアップも考慮した結果だ。
車高調はDG-5雨宮スペックで、単なるDG-5のFD3S用というわけではなく、しっかりテストして完全に雨宮テイストに仕上げられた逸品だ。スプリングにはスウィフト(F16kg/mm R18kg/mm)を奢る。
ホイールは18インチのエンケイPF01(FR10.5J)、タイヤにはアドバンネオバAD08(F255/35-18 R265/30-18)をセットする。
エクステリアを覆うパーツは、電動ガルウイングを含めて全てRE雨宮のオリジナル。フロントセクションは06ボディキットでイメージを一新。ポルシェ997ヘッドライトを軸に構築されるそれは、驚くほどスマートなシルエットを見せ、やっていることの凄まじさを一切感じさせない。この辺りのさじ加減と細部フィニッシュの妙こそ、RE雨宮のADエアロブランドが世界中から愛される理由かもしれない。
美しいワイドフェンダーは、爆発的な人気を誇るRE雨宮オリジナルのAD-GTキット。FD3Sの流麗なフォルムにマッチしたブリスターラインは芸術的だ。
スーパーリヤバンパーとLEDテールランプフィニッシャーで攻撃的にまとめあげたリヤセクション。リヤウイングはあえて設置せず、都会に映えるストリートスタイルを構築する。
ドア開閉は、完全オリジナルで創出した電動ガルウイングを採用。フォークリフト用のダンパーを使い、圧倒的な強度を実現。横方向にスライドしてから天高く跳ね上がるアクションは感動すら覚えるレベルだ。
室内は純正のチープな質感を嫌い、各部にブルーカーボンをあしらってドレスアップ。メインメーターおよびコラムメーターはオリジナルアイテムだ。シートはエクステリアのカラーに合わせてコーディネイトした、ブリッドとRE雨宮のダブルネームを装備する。
「セブンはもともと性能が高いからね。このくらいでも楽しめちゃうんだよ。まだまだ新型車には負けないよ!」。元気ハツラツの雨さんが吠える。
モデルデビューから30年以上が経過し、円熟期を迎えた感のあるFD3Sチューニングだが、このようなチューナーがいるかぎり進化はまだまだ続くはず。中古相場は値上がり傾向にあるが、それは当たり前だ。今後このような純血ピュアスポーツが誕生することなど二度とないのだから。FD3Sとは、存在自体が奇跡のようなものなのだ。
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007